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王子 4

 ぽかんとした表情をしていた第二王子は頷く。それを確認して、俺は長剣をしまった。

 それからネノの方を向く。ネノとメルは俺の方へと近づいてきた。

「レオ、流石。かっこいい」

「レオ様流石だよね!! ふふふん! 変な人間、ざまーみろ!! レオ様は強いんだからな」

 嬉しそうなネノは可愛いけど、メルは挑発するのやめようよと思ってしまう。何で戦った俺じゃなくてメルが自慢げにしているんだか。

「テディ様が負けた!?」

「……あれだけ魔法を使いこなせるなんてっ」

「テディ様に勝てるなんてっ。流石、『勇者』様の夫と言うべきなのか」

 周りの騎士達は騒いでいるし、見物人達も煩い。とりあえずネノの頭に手を伸ばして、「負けるわけないじゃん」と口にして頭を撫でる。撫でられたネノが気持ちよさそうで可愛い。

 俺は昔から普通とは違うネノに置いて行かれたくなくて頑張ったんだ。その結果が、今の俺だ。頑張り続けたからこそ、ネノが俺のお嫁さんになってくれたし、今の俺がいる。本当にずっとネノを追いかけ続けて良かったと思ってならない。

「はっ」

 変な声が聞こえたと思ってそちらに視線を向ければ、声をあげていたのは茫然としていた第二王子だった。ようやく正気に戻ったらしい。

 何か面倒な事を言い出さなければいいが、と思っていたら第二王子と目があった。

「俺が負けただと!? なんだ、あの魔法はっ!! 俺に勝てるとは、貴様、凄いな!!」

 ……言いがかりをつけられるかと思えば、何だかキラキラした目で見られた。

 何だか予想外の反応で、意味が分からない。この第二王子、やっぱり変な男な気がしてならない。

「レオ様は凄いんだぞー!!」

 そして何で、メルが自信満々に返事をしているかは不明だ。美しい見目の少年姿のメルがにこにこと得意げに笑っているからか、見物人達がキャーキャー言っている。

「うむ。凄いな。俺に勝てるとは、なんという実力よ! あれは《時空魔法》か。俺の魔法に対してあれだけの《時空魔法》を使えるとはびっくりだぞ!!」

「ふふん!! レオ様の《時空魔法》は凄いんだよ!!」

「うむ。凄いものだ。これだけ強い男がいるとは俺は思わなかったからびっくりした。こんな風に簡単に負けてしまったのはネノフィラーにやられた時以来だ」

「変な人間、ネノ様とも戦ったの? なんて身の程知らず。ネノ様にもレオ様にも勝てるわけないじゃんか。二人は凄く強くてお似合いなんだから。変な人間が間に入る隙間なんてないんだからね!!」

「……うむ。これほどの使い手ならば、仕方がないだろう。敗者が勝者に文句を言えるはずもない。それより、あの魔法とか、剣技とか、どうやって身に着けたのだ!?」

 ……なんだろう、第二王子とメルって結構気が合うのではないか? そして思ったよりも簡単に引き下がるか。なんだ、負けた相手には文句を言わない所は潔いと思う。そしてあれだけ突っかかってきたくせに負けたからと、キラキラした目で色々と聞いてくるのには不思議だ。

「どうやってもなにも、ネノに置いて行かれないように頑張っただけです」

「うむ? 貴様はネノフィラーとは昔からの知り合いなのか? ネノフィラーは昔からこんなに強かったのか!? 俺よりも強い存在が二人もそろうなんて面白いぞ!!」

「第二王子、レオの事、貴様貴様言わないで。レオにはレオニードって、かっこいい名前ある」

「おう。ネノフィラーの旦那はレオニードというのか!! レオニードよ、もっと先ほどの戦いで見せた技について語ろうではないか!!」

 語ろうではないかって、俺、全然返事してないんだけど。……というか、この第二王子、ネノの事好きとかじゃなっったのか? 案外すぐに引き下がっているし。

「……えーと、その前に、第二王子様は」

「テディで良いぞ! 俺に勝ったんだから敬語もいらん!!」

 王族なのに、勝ちさえすれば呼び捨て、ため口でいいらしい。さん付けで呼ぼうとしたらしゅんとした顔をされたので、いいのかなと思いながらも呼び捨てとため口にする。

「ネノの事を好きだったんじゃ? 簡単に引き下がるのは何で?」

「ネノフィラーの事は俺の伴侶として相応しいとは思っていたぞ。見た目も美しいし、何よりも強い!! 俺よりも圧倒的に強くて、魔法も武器の扱いもすべてが俺より上だろう! こんなに強くて美しい存在ならこの俺の花嫁にふさわしいと思ってただけだ! 俺より弱い奴がネノフィラーの旦那とか許せんと思ったが、レオニードは俺より強かったからいいのだ!!」

 ……テディってちょっと頭が弱いのかもしれない。何よりも自分より強い事を結婚相手を決める際の第一にしているようだ。恋愛的な好きというより、自分より強いから相応しい! と言う感じなのかもしれない。

 自分より強いネノは花嫁にふさわしい。ネノの旦那が弱いなら認められない。でも強かったから認める。って感じの思考?

「変な人間、馬鹿でしょー」

「なっ、馬鹿とは何だ。俺はテディと言う名がある! しかも、貴様はさっきから無礼だが、何者だ?」

「僕はメルだよ。ネノ様ともレオ様とも仲良しなんだよ!! 無礼とか知らないし。僕、人間の順列とか興味ないもんねー」

「なっ、ななななな、貴様、勝負だ!!」

「ふん! 受けて立つよ!!」

 そして、気づけばなぜかメルとテディが戦う事になっていた。まぁ、メルがテディに勝てば、色々と煩わしい事なくなりそうだし、まぁいいかと見守る事にする。

 騎士達が子供とやりあうなんて大人げない!! とか騒いで、テディを止めようとしているがそれは俺とネノが止めた。

 幼体とはいえ、ドラゴンであるメルが負けるとは思わなかったので、俺とネノはのんびり見学する事にした。





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― 新着の感想 ―
[一言] 王子の声、某金ピカ慢心王の声で自動再生される。どうしよう。
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