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魔女の娘と共に街を歩く ⑫

「ここが……」

 レモニーフィアは目の前の、こじんまりとした建物を前に声をあげる。

 お店で確認出来たその場所は、街の中心部から少し離れていた。そこに向かうまでの間に、魔女の噂はそれなりに囁かれていた。というより急にまたその噂が出てきた感覚があるので、この噂を流しているであろう人たちの間で何かしらの心境の変化があったのかもしれない。

 その家は、しばらくの間は誰も足を踏み入れてないというのにも関わらず――、まるでつい最近まで人が居たかのように、綺麗なままだった。

 何かしらの魔法が使われているのではないかとは想像がつく。

 それにしてもこういう街中で魔法を使って保っている状況は、よほど自分の魔法に自信がないと出来ないだろう。普通ならこんな場所で魔法を使う人というのは居ない。だからそれだけでも知られたら騒ぎにはなるだろうし、魔女がひっそりと街を訪れるなんて出来なくなっていたはずだ。

 だから魔女は、この家にかけられた魔法が感知されることはないと、そう自信があったのだろう。

 そんなことを考えている俺達の前で、レモニーフィアが鍵を開ける。

「魔女は凄いね」

「ああ。そうだな」

 俺、こういう隠れ家みたいなの結構好きだなと思う。

 今は俺とネノは移動式宿屋を経営中でどこかに定住することは考えていないけれど、いくつかの場所にこういう場所作ってもいいかもな。ただずっとそこに居られるわけじゃないし、作るとしたら人気のないところか?

 魔女とレモニーフィアの家のように森の中にひっそりとあるのもいいよなぁ。

 持ち運びできる家で別パターンも今度作ってみるか? 今、《時空魔法》で持ち運んでいるのって俺達のプライベートな家と宿ぐらいだし、もっと他の建物も持ち運んでもいいかも。

 扉が開いてレモニーフィアが中へと足を踏み入れるのを見て、俺達も続いた。

 外観よりも中の方が広い。これも魔法を何かしら使っているのだろう。死んだ後もこうして続いている魔女の魔法はどのくらいあるのだろうか? 長生きをしているようだし、きっともっと沢山あるんだろうなとは思う。

「ここが魔女の隠れ家? なんだか普通の家なんだけど!!」

 メルはそう言って少しつまらなさそうにしていた。

 どんな家を想像していたのだろうか。外見は普通でも中はもっと凄い事になっているとでも勝手に期待していたのか?

「この家に何があるか探そうと思うので、手伝ってほしいです」

 レモニーフィアにそう言われて、俺達はその広い家の中を捜索することにした。一見すると普通の、生活するのに問題がない家でしかないのだけど……魔女がわざわざ残したものだからただの家ってことはないとは思うけれど……どうなんだろうな。

「魔法についての本、沢山」

「そうだな。本当に数え切れないほどの本だ」

 一つの部屋は書斎になっていて、壁一面が本棚だった。

 そこには隙間なく本が並べられている。そのほとんどが魔法に関するものばかりだった。あとは魔女が研究していたであろう魔法や魔道具についてなどの資料も残っていた。それらの資料は流石に人に勝手に見られないように処置がされていた。

 とはいっても俺とネノは解くことが出来るものだったので、レモニーフィアの許可を得て中身は確認した。

 こういう研究資料の一つでも、人によっては重要なものだったりするんだろうなと思う。魔女の残したものは今の所派手なものはない。だけれどもよくよく考えてみると周りに知られたらまずそうなものも多々あった。これが全てレモニーフィアの財産だと思うと凄いものだ。所謂魔女の遺産みたいなものだろうしなぁ。

「魔女、凄い。こんなにたくさん、研究してたんだ」

「そうだな。これだけのものが中途半端に残されているのは少しだけもったいない」

「うん。研究終わってるのもあるけど、まだ途中なのもある。これ、研究の続きをレモニーフィアするかな?」

「どうだろうな。しないなら買い取ってもいいけれど」

「それ、あり」

 俺の言葉を聞いて、ネノが楽しそうに笑っている。

 この研究資料はまだ完成されていないものも多い。魔女はきっとこんなに早く亡くなるつもりなどなくて、長命種だからこそのんびりと研究を続けていたのだろうなと思う。そんな魔女がこうして亡くなっているのだから命というのは失われる時は一瞬なのだろうとそんなことも実感した。

 レモニーフィアが研究の続きをしないなら、買い取りたいなぁ。そうしたらお金が手に入ってレモニーフィアからしても喜ばしいことだろうし。うん、提案してみよう。

 今はまだ魔女の残した家の中を調べている最中だから、それがひと段落してからいおうかな。

 書斎を見て回った後は、別の部屋を俺とネノで見て回った。ちなみにレモニーフィアとメルは別の部屋を見ている。メルには何か分からないものがあるときは相談してから触れるようにとは言ってある。

 さて、そうやっていくつもある部屋を探索していると――明らかな魔女の私室のような場所を発見した。



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