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冒険者の街からの旅立ちと、道中 ⑮

「これから『勇者』様の魔法が見れるんだね」

「楽しみ! どんな感じなのかな?」

 目の前では俺や料理人達の作った料理を食べながら、そんな風に楽しそうに声をあげる人々。

 うん、こういうのを見るのはいいよなぁ。

 ネノの魔法をこれだけ楽しんでもらえると思うと、俺は嬉しくなる。だって俺のネノがこれだけ周りから好かれているって証だから。

 ネノと魔法使いたちが、美しい魔法を展開する。

 戦いではなく、周りに魅せるための魔法なのだ。

 色とりどりの魔法が、その場を彩る。

 魔法に触れたことのない人たちが、こうやって魔法を見る機会があるのって良いことだと思う。実際に彼らが魔法を使えるかどうかはその人自身の素質にもよるけれど、こうやってネノの魔法を他の人に見せるというだけで色んな影響が与えられる気がする。

 魔法に興味がなかった人が、魔法に興味を持つようになったりもするだろう。いずれネノのように魔法を使いたいとそんな風に目標を立てる人も出てくるだろう。

 ただ魔法は危険なことも多いから、これから魔法に触れる人たちがそういう面で危険なことに足を踏み入れる状況にならなければいいなとそう思う。

 俺の得意な《時空魔法》も使い方次第によっては大分危険だしなぁ。

「『勇者』様、すごーい!」

「『勇者』様の魔法ってこんな感じなんだ」

 ネノの魔法のことを皆、目を輝かせてみている。

 俺もネノの魔法を見るのが好きだ。

 幼い頃は特に、《時空魔法》もまだまだ極められていない状況だったからネノの魔法を凄いなと思ってみていた。

 昔からネノは魔法を使うことが出来た。今よりももちろん練度はなかったと言えるけれど、それでもその当時から凄いものだった。

 まだ俺のことをどうでもいいと思っていた時期だと、俺がせがんでも魔法を見せてはくれなかった。そんなネノに俺はついて行った。ネノという存在に興味を持ち、その魔法をもっと見たいと思っていたから。

 最初の頃は力もないのにネノについていこうとしていた俺のことをネノは呆れた目で見ていたっけ。

 そういう過去の事を思い起こすと、思わず俺は笑ってしまう。

 ネノが俺のことを好きになっていなかった時期の記憶も、俺にとっては大事な思い出である。

 それにしてもこの街の魔法使いたちの魔法も、街の人々に楽しませようとしているものでいいなぁと俺は思った。

 彼らもネノのことを尊敬するように見ている。

 この催しの中心はネノだ。俺の料理を楽しんでももらえているけれど、皆、ネノの魔法に魅了されている。あとはメルも一緒に混ざって遊んでいる。けれどまぁ、ネノの方が注目を浴びているけれど。

 俺のネノは本当に凄いのだ。

「レオニードさん、『勇者』様の魔法ってこんなに凄いんですね」

「はい。ネノの魔法は本当に凄いですよ。俺はネノ以上に魔法を上手に使う存在を知らないですから」

 俺にとってはネノは一番の魔法使いだ。

 様々な属性の魔法を使いこなし、それでいてその制御能力も凄まじいものだ。顔色一つ変えずに的確に敵を追い詰め、器用に魔法で沢山のことを成し遂げていく。

 そういうネノの技量って本当に凄いんだよな。

「レオニードさんも噂では魔法の腕が素晴らしいって話でしたけど」

「俺はネノと違って一点特化ですからね。ネノは俺と違ってほとんどすべての属性を使いこなします」

 ネノはそういう点が本当に凄いのだ。

 そうやってしばらく会話を交わしている間、ずっと魔法が披露されている。

 そうしている中で、新たな料理の注文が入ったので俺は料理人達と一緒にまた料理を作り始めるのであった。

 料理を作るのを失敗しないように注意を払いながら、披露される魔法を見る。

 街の魔法使いたちは時折休憩しながら、交互に魔法を行使している。

 だけれど、ネノは休みもせずに次々と魔法を行使している。俺と目が合うと、小さく笑っていた。自分の頑張りを見て欲しいと思っているのだろうなと思う。うん、ネノは本当に可愛いな。

 ちなみに全く表情を変えていなかったネノが、表情を変えたので周りはざわめいていた。俺の前では感情を見せるネノだけど、普段は割と無表情だからなぁ。そういう所も好きだなと思う。

 そしてそれから俺は料理を作りながら、ネノたちの披露する魔法を見続けるのであった。

 魔法を披露を終えた後は、魔法に興味を持っている街の人々に魔法を教える時間に突入していた。俺も途中からそちらに混ざった。

 俺は使えない属性の魔法は多いけれど、魔力の扱い方などは教えることはできる。

 メルも一緒に混ざっていた。

 特にネノの傍には沢山の人達が集まっていた。やっぱり『勇者』であるネノから魔法を学びたいという人が多いのだろうなと思う。俺やメルの元へ来るのは魔法自体に関心を持っている人たちばかりである。

 そして丸一日イベントを楽しんで、その日は過ぎて行った。




 

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