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冒険者の街からの旅立ちと、道中 ⑨

 ネノと俺は剣や魔法を使って、魔物を息の根を止めていく。

 ネノと背中をあわせて、対応を進める。俺達の姿を見かけるなり、魔物達は一斉に襲い掛かってきたのだ。

 魔物と言っても、頭の働く種族は存在する。

 ゴブリンといった人型の魔物に関しては特に、人を攫ったりもする魔物なので人のことをよく分かっている。俺達の見た目から、侮っていたのだと思う。だからこそ、考えなしに数で押し切ればどうにかなると彼らは判断したようだ。

 正直、見た目などの情報から人の強さを推し量ることはできない。

 例えばメルは人の姿の時は愛らしい少年にしか見えないけれどドラゴンだし、リュアジーンで出会ったダンジョンマスターのラポナだって少女の姿をしているのにダンジョンマスターという魔物である。それにネノだって可愛い女の子だけど、歴代最強の『勇者』だし。

 人も魔物もだけど、ネノのことを侮る存在ってそれなりに多いよなと思う。

 ラポナのように知能のある魔物ならば、『勇者』であるネノのことを知っているから侮るなんてことはなかったけれど。

「レオと、戦うの楽しい」

「そうだな」

 なんにせよ、こうやって共同作業をネノと共に行うことはなんでも楽しい。

 ネノが俺に背中を任せてくれるのは、俺を信頼しているからだろうし。

 事前情報で聞いていた通り、植物の魔物は毒を吐いていたけれどそれらに関しては自分の魔力で毒を蹴散らした。後はその毒も《時空魔法》で一部はしまっておいた。こういう毒を使う機会はほぼないだろうけれど、まぁ、何かに役に立つかもしれないし。こうやって何かに役に立つかもと色々と放り込んでいるものが空間に山ほどある。……自分でどこに何をしまってあるかとかは整理出来ているし、取り出しも自由自在に出来るけれど、今度整理した方がいいかもしれないなどと思った。

 あとは俺は詳しくはないけれど、毒って結構薬にもなるものらしい。だから調合などを行う薬師たちには重宝されたりもすると聞いたことがある。だからこういう毒も欲しがっている人は多いかもしれない。

 メルも人の姿のまま暴れている。というのもこの場所は割と街に近い。だからメルがドラゴンの姿になると目立つし、大変な騒ぎになる。そういうわけで、少年の姿のままなのだ。

 途中で逃げ惑う魔物も居たけれど、全員、もれなく討伐した。素材として売れる場所とか、魔法具作成で使えそうなものとかは三人で解体して《時空魔法》に放り込んでおく。あとは必要にない部位……特に何も使えなさそうなものは数が多いので全てネノに魔法で燃やしてもらった。

「これだけ急に魔物が現れるの不思議」

「周辺にミロクレアがないかだけ見とくか」

「うん」

 もしかしたら前に見かけたように、魔物を引き寄せる性質の花――ミロクレアでも咲き誇っているのかもしれないなどと思って探してみる。

 だけど今の所、そういったものは見当たらなかった。

 そういう花も咲いていないのに、魔物が現れる原因ってなんだろうか? 元々この魔物たちが住んでいた場所に別の強い魔物が現れて住む場所を追われたとか? それか集落のようなものを作るような魔物達なので、何らかの目的があってここにまでやってきた?

 どちらにしても、何かしらの理由はありそうだよなと思う。

 魔物達が陣取っていたのは宿屋の店主の言っていた洞窟の入り口だ。ついでに、洞窟の奥も見ておいた方がいいだろうということで中に入ってみる。鉱石の一部を採るのも問題ないらしいから、一部、もらっておこうかな。

「洞窟の中、綺麗」

「ああ。凄く綺麗だな」

 その洞窟は、全体的にキラキラしている。なんというか、水晶や鉱石が置くに行けば行くほど存在していて、それらが反射して煌めいているのだ。

「『勇者』として旅してた時、こういう洞窟に強い魔物いたりした」

「そうなのか?」

「うん。ドラゴン種とか。襲い掛かってきたのは倒した」

 ネノがそんなことを言う。

 確かにこういう洞窟ってドラゴンなどの魔物は好みそうだ。メルも洞窟の中に入ると、目を輝かせているし。

「僕も、前、こういう洞窟住んだことあるよー! レオ様とネノ様の村の近くに住む前なんだけど」

 というか、既にこういう洞窟に住んだ経験も済んでいるらしい。

 子供にしか見えなくてもメルは俺達よりも長生きしているんだなと、こういう言葉を聞くと改めて実感する。

「それにしてもそのドラゴン、ネノ様に勝てるわけないんだから全面降伏したらよかったのに」

「私のこと、殺したがってた。なんか、目が綺麗だからくりぬいてコレクションにしたいって」

「あー……、ドラゴンって綺麗なもの集めるのも結構好きだからね」

 そのドラゴンはネノの綺麗な瞳を狙っていたらしい。ネノの黄色い瞳って綺麗だもんな。俺も好きな部分の一つだ。じーっとネノを見つめると、目が合う。

「俺もネノの黄色い瞳好きだなぁ」

 俺がそう言うと、ネノは嬉しそうに笑った。



 ――そんな会話をしながら奥へと進むと、何故かこんな場所に本のようなものを見つけた。




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