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冒険者の街からの旅立ちと、道中 ⑧

「イベント?」

「はい。何かしらのイベントを共同で出来ればと思います。料理などを振る舞うでもいいですし、共同で泊りがけの何かを行ってもいいですし、そういうものを『勇者』様の宿と行うことが私共にとっても喜ばしいことなのです」

 ネノと一緒に何かをやるというだけでもこの宿にとっては良いことなのだろう。店主の男性は生き生きとしている。

「レオ、どう思う?」

 ネノは自分だけで判断しようとは考えていないようで、俺の方を向いてそう問いかける。

「いいと思うよ。他の宿と共同イベントなんて楽しそうだし」

 俺の言葉にネノは頷く。

「共同イベント、いいよ。ただ内容次第では断るかもだけど」

「はい! そのあたりはどういうイベントにするかを別途相談させてもらえたらと思います!」

「それでいいよ。あと、魔物の被害っていうのは何?」

 ネノは引き続き、そう問いかける。

「街の近くに洞窟があります。そこでは鉱石が手に入り、この街の冒険者達にとっては良い稼ぎ場でもあります。そこの入り口付近に外からやってきた魔物が住みついてしまったのです」

 店主はそう口にする。

 洞窟型のダンジョンなども世の中にはあるが、そこはダンジョンマスターの管理するダンジョンではなく、ただの洞窟だろう。

 それにしてもやっぱりどの街にでも、冒険者というのはいるものだなと思う。もしかしたら世界には冒険者ギルドのない国や街だってあるかもしれないけれど、そういうのはあまり見かけない。

 基本的に想定外の魔物の出現した場合は、現地の冒険者たちが対応するものだ。とはいえ、店主がこうやって依頼をしてくるということはよっぽど強力な魔物が根付いてしまったのかもしれない。

 このあたりは基本的に強い魔物はおらず、こういう想定外の魔物が出た場合は大変なのだろうな。

 ……というか、そういう危険な魔物出た時ってどういう対応をしているんだろうか。強い冒険者が来るまで要請を出すとかそんな感じか? 

「そうなんだ。いいよ。報酬はお金? どのくらいくれるの?」

 ネノの問いかけに、店主は報酬の額を告げる。……かなりの額だ。よっぽど、その魔物に困っているのだろうことが分かる。

「それなら、報酬をもらう。魔物討伐はすぐにする」

「ありがとうございます! 助かります。冒険者ギルドの方にも、報告しておきます。また魔物についても説明させていただきますね」

 店主は心の底から嬉しそうに笑って、そう告げる。そしてそのまま、魔物についての説明をしてくれる。

「出現した魔物は、ゴブリンや猫系の魔物、人肉植物の魔物などの集団です」

「そんなに集団が現れるの、珍しい」

「そうですね……。何がきっかけでその場に魔物の集団が現れたかは分かりません。それについてももし原因がわかったら教えていただければ助かります」

 魔物の集団が街の近くに現れるというのは何かしらの理由があるだろう。その原因が分からないことにはまた同じように魔物が現れてしまう可能性もあるだろう。

 だからそれらの原因を調べられるなら判明させた方がいい。

「この街の冒険者だと、倒すの難しそうだった?」

「そうですね。討伐部隊を向かわせたのですが、被害者を出すだけでした。植物系の魔物は毒を発する魔物もおり、初見での対応は難しかったのです。それに統制がとれいているようで、放っておくと勢力を増して、被害は増していくでしょう」

「ふぅん。なるほど」

 魔物と戦いなれている冒険者達でさえ被害に遭うのならば、魔物と戦ったこともない一般人ではどうしようもなくないだろう。そう考えると、即急に対応をした方がいい。

 あまりにも魔物の集団が勢力を増すと、集落などが被害を受ける可能性も十分にある。『魔王』が出現している時期だと、特にそういう被害は多い。とはいえ、こうして『魔王』が居ない時でもそういう悲劇は起こることはあるが。

 それからしばらく魔物についての話を聞いた後、俺達は早速討伐をしに向かうことにした。

 途中でメルを回収しておく。

 メルは多分、後から魔物の集団を倒したというのを言うと「僕も行きたかった」と言い出すはずだから。

 メルと合流した後に魔物についてのことを告げると、案の定、「いっぱい暴れられる?」と目をキラキラさせていた。

 毒などはメルに効かないかもしれないけれど、念のため宿の店主から聞いた魔物の情報は共有しておく。

 あとはその宿と共同でイベントをやるかもしれないことも伝えた。メルは魔物を倒すことに関しては、すぐに終わると思っているからかイベントの話ばかりをしていた。

「イベントってどんなになるかな? 面白いこといっぱいあるかな?」

 そう言って楽しそうにしているメルを見ていると、俺も共同イベントへのモチベーションが上がってきた。

 そうしてそうやって話しているうちに、魔物の集団が集まっている場所へと到着する。

「なんか、集落みたいになっているな」

「うん。このまま放置、危険」

 魔物達は集落のようなものを築いていた。



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