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ツアーの開催とパーティーの準備 ⑬

 おやつ作りを終えて、その場にいる人たちや宿にやってきた冒険者にはおやつを渡した。

 美味しそうに食べてもらうと嬉しい気持ちにはなった。俺はネノとメルが戻ってきてから一緒に食べようと思っているので、まだ食べていない。

 ネノとメルのどちらが先に戻ってくるだろうか?

 人数的に言えばネノの方が時間がかかりそうだとは思う。ただメルの場合は人数が少ないからこそ寄り道が出来るだろうから、下手したら戻ってくるのが遅い可能性もある。他の冒険者たちにもついていってもらっているから、そこまで時間はかからないとは思ってはいる。

 ただ何かあって中々帰ってこないとなると迎えに行かなければならない事態になるかもしれないので、そのあたりも想定して動いておくことが一番だろう。

 そうやって待っていると、先に帰ってきたのはネノの方だった。

「レオ、ただいま」

「おかえり、ネノ」

 ネノがてとてとと歩いてきて、嬉しそうに笑う。

 ネノのツアーに参加していた人たちは、色んな場所を歩き回って興奮と疲労でいっぱいのようだ。そんな彼らにおやつを振る舞うと喜んで食べていた。

 参加者たちに対して配慮はしているとはいえ、ダンジョンは歩きづらい場所が多い。整備された道ではないので、その分、普段ダンジョンに入らない人たちが疲れるのも当然のことだった。

「レオ、メルは?」

「まだ帰ってきてない。色々寄り道しているのかも」

「ツアー任されて、興奮しているのかも」

「それはあるかもなぁ。ツアーの最中に沢山褒められているだろうし、メルは気分よくなっているかも」

 ツアー参加者の子供は、メルにあこがれを抱いている様子だった。ツアーの最中に常にそうやって褒められ続けているのならメルは気分がよくなっていることだろう。それもあって宿に戻る時間をあまり気にしていないという可能性はあるかもしれない。

「あまり戻ってこなかったら、迎えにいく」

「うん。ありがとう。ネノ」

「ん。メル、帰ってこない駄目。迎え行くの当然」

 もし中々メルが帰ってこなかったら、ネノが迎えに行ってくれるらしい。

 そんな会話を交わした後、ツアーの間でネノが狩った魔物の素材などを《アイテムボックス》から取り出す。

「ダンジョン内、魔物。だから、素材はない。ちょっともったいない」

「まぁ、そうだな。ダンジョン内で魔物を狩るのって外で狩るより少しだけもったいない気はするよな」

「ん。急げば回収出来たりするけど」

 流石にツアーの最中にいちいち倒した魔物を全て解体するという手間はかけられなかったらしく、魔物の一部だけが回収出来たようだ。

「レオの方は、何した?」

「解体と昼ごはんと、おやつ作り。予定通りだな。他には特に何もなかったかな。ネノの方が何かイレギュラーなこととかあった?」

「ううん。全然。でも魔物襲ってきた時、しばらく動けなくなってた人は居た」

「普通の人は魔物に慣れてないからなぁ。仕方ないな」

「うん。すぐ倒したけど、しばらく座り込んでた。だから予定より、一か所少なめ」

「そうか。これから連れて行く際は、参加者たちについても把握してから行った方がいいかもな。今回は一か所少な目だけで済んだけれど今後気絶したりする人も出てくるかもしれないし」

「私も、そう思う」

 ネノが居るのだから危険が起こりうる可能性なんて低い。それでも見たことのない魔物が近づけばそれだけ動けなくなってしまう人はそれなりにいるのだ。参加者がどれだけ魔物に慣れているかにもよるだろうが、一つ目の場所でも動けなくなる人も出てくるかもしれない。

 楽しんでもらうためにツアーを行っているので、俺たちの宿に来た記憶が恐怖だけで終わるというのは望ましくない。どうせなら楽しんでほしいと思うから、そのあたりは要調整だと思う。

「レオ様、ネノ様!! ただいまー!!」

 ネノと二人で会話を交わしていたら、宿の外からそんな元気な声が聞こえてきた。

 その明るい声を聞く限り、よっぽど楽しかったのだろう。

「メル、なんでおんぶしているんだ?」

「途中で足が痛くなったって言われたから!!」

 メルは唯一の参加者である男の子をおんぶしていた。体力が途中で尽きた結果、そういう形になったらしい。それにしても冒険者たちの姿がないがどうしたのだろうか?

「メル、なんで、一人?」

「置いてきた! もうすぐ来ると思うよ!」

「なんで置いてきた?」

 同じ疑問を抱えていたらしいネノがメルに質問をしている。

「僕がメル君にもっと速くっていったの! 怒らないで『勇者』様!!」

「怒ってない。聞いているだけ」

 メルではなく、おんぶされている男の子の方が理由を答えていた。

 もっと速くと言われて勢いのままに走ってきたようである。……まぁ、すぐ来るって話ならいいか。

「メル君ね、僕をおんぶしたまま魔物を倒してくれたんだ! 凄く、楽しかった!!」

 この子は全くメルに怯えてないみたいだけど、流石におんぶしたまま魔物と戦うのはちょっと危険だと思ったのであとで注意をしておこう。




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