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ツアーの開催とパーティーの準備 ⑨

「どれがいい?」

「色んなパターンを俺とネノで準備してみたので、どれがいいか選んでもらえたらと思います。どれも難しい場合だと別パターン考えますね」

 食事を終えた後に、ツアー客たちに明日の希望を聞いてみる。

 折角こうしてツアーに参加してくれたのだから、楽しい思い出で帰ってほしいと思う。

 俺とネノが用意しているのは三つのパターンだ。

 一つは俺が監修する食事作り体験。これに関しては希望者は解体から一緒にしてもらおうと思っている。そういう仕事をしている人でないと、解体などはやったことがない人の方が圧倒的に多いだろう。小さな村であるのならば誰でも出来るかもしれないが、大きい街に住んでいればいるほどやったことない人が多いとは思う。

 もう一つはネノが監修するダンジョン巡り。これに関しては一日目にネノが色んな場所に連れて行ったが、他にもダンジョンには面白い場所が色々あるので、そちらを楽しむ形になる。臨機応変に色んな場所に連れて行く予定である。あとネノの『勇者』としての旅の話も聞きたがっている人は多いので、道中でネノに質問する時間も設けてある。

 もう一つはメルが魔物を近くで見れるツアーも楽しそう! とか言い出して用意されているものだ。確かにダンジョンの魔物なんて冒険者たち以外だとみることもないし。メルが美味しい部位とかの説明する! とか張り切ってたけれど……、ちゃんと説明できるのだろうか? メルって結構ドラゴンの姿でそのままかぶりつくとかしているから、それの感想言っても人は食べれないしなぁ。メルがやりたいらしいので、手伝ってくれる冒険者たちをつけていってもらうことにした。メルが何気なく行ったことでツアー参加者たちのトラウマになっても困るし。

 ツアーの日数はまだあるので、毎日どのパターンで過ごすかなど変えてもらってもいいともいってある。

 あとは希望があれば別パターンを考えようとは思っているけれど。

 結構ネノについていきたがる人の方が多かった。まぁ、ネノは『勇者』で知名度高いからなぁ。メルの提案したものに関してはメルのことをキラキラした目で見ていた男の子だけだった。……メルが「むー、なんでー」とちょっと不満そうにしている。それにしてもあの子は本当にメルによく懐いているな。

 ちなみに宿に残って食事作りする俺の奴にもそこまで人はいない。多分、折角だからネノについていきたいって人が多いのだろうとは想像が出来た。

 希望を募った後は、それぞれ自由行動である。ただし宿の外をぶらつかれると大変なので、その辺はちゃんと言っておく。宿の周囲は魔物が襲ってこないようにしているけれど、その範囲を出てしまえばそうもいかない。

 ダンジョンの中にいてもこれだけ平和だからと油断する人もいるかもしれないので、こういうことをちゃんと何度も言っておくことは重要である。まぁ、ツアーの参加者は事前にそういう問題行動を起こす人は省いているからまだ楽だけど。

 厳選せずに受け入れていたらきっともっと大変なことになっていたんだろうな。

 普段はダンジョンでの客は冒険者ばかりなので、そこまで気にする必要はない。彼らはダンジョンのことをよく知っており、自分の命を脅かすような行動は自分では行わないのだ。でもツアーの客たちはそうではないので、俺とネノとメルでちゃんと気を配っておく。

 昨日はツアー客たちも移動で疲れていたのもあって、周りを見る余裕はなかっただろうが今日は結構元気そうなのだ。それだけ元気が出れば少しそこならと興味を持ったものの方へ行くこともあるかもしれない。

 普通の街中だったらそれでも問題はないが、ダンジョンの中ではそういうちょっとした行動が致命的なこともあるのだ。

 そういうわけできちんと外に無断で出ないようにはしている。今の所、そういう勝手な行動をする人はいなさそうなのはほっとする。

「私の奴、凄い多い。そんなに皆、『勇者』の話、聞きたい?」

 夜は俺とネノも宿の横に立てている自分の家でゆっくりしているのだが、ネノは不思議そうにしていた。

 『勇者』として旅をしたことも、歴代最速で『魔王』を倒したことも――ネノにとってはそこまで気にすることではないのだろうというのがよく分かる。なんで自分の案内するものだけ人が多いのだろうと不思議そうである。

「それだけ皆、ネノに憧れて話がききたいんだよ」

「ふぅん。レオのも、楽しそうなのに」

 ネノは自分の方に人が多く来ていることにやっぱり不思議な様子だった。

 本当にネノって『勇者』になる前も、『勇者』として活動した後も変わらない。

「まぁ、毎日ダンジョン内歩き回るのは体力の限界が来るだろうから、後半は宿で過ごす人の方が増えるんじゃないか?」

「確かに。皆、体力なさそうだった」

 流石に連日ダンジョンを歩き回る体力はツアー客にはないだろうから、後半は宿で過ごす人の方が多くなるだろう。

 ひとまず今回が初めてのツアーなので、今回色々試してみて次回のツアーにつなげたいなぁとそんな風に思うのだった。



 ――そして話をした後、俺とネノは眠りについた。




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