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ツアーの開催とパーティーの準備 ⑦

「行ってくる」

「レオ様、僕頑張ってくるねー!」

「いってらっしゃない、ネノ、メル」

 ツアー客が到着した翌日、俺はネノとメルを送り出した。

 その後ろにはツアー客と冒険者たちがいる。すっかり人気のなくなった宿で俺は一人留守番である。

 ダンジョンの中というのもあり、やってくる客は冒険者かツアー客ぐらいしか居ないのでほぼ無人状態だ。

 俺はせっせと部屋の掃除をしたり、設備を整えたりを進める。余った時間で本を読んだりと、割とリラックスして過ごしている。

 まぁ、昼の時間になると食事目当ての冒険者たちもちらほらいたので、それらの相手はしたけれど。

「『勇者』様は今、いらっしゃらないんですね」

「レオニードさんだけしかいないのは珍しいですね」

 よく食堂に食事を食べにくる冒険者たちにはそんな風に言われた。

 宿に完全に誰も客が居ない状態だと、周辺を見て回ったりもする。もちろん、客が入った時にすぐ対応が出来るように見える範囲でである。

 魔物が寄ってくる。

 その魔物は木に擬態していたものである。ダンジョン内にある木は地上のものとどこか様子が違う。独特のものが多くて、それもまた面白い。まぁ、木とかに関しても早く素材を回収しないと一部を残して消えるんだけど。

 で、その木に擬態していた分かりにくい魔物が襲い掛かってきた。すぐに魔法で対応したけれど、こういう擬態する系の魔物って中々厄介なんだよな。俺やネノはすぐに対応できるけれど、一歩でも油断すれば命を落とす人がいそう。

 この木ってどういう特性があるんだろうか?

 なんてそんなことを考えながら一旦、《時空魔法》でしまっておいた。ただ一匹倒したら驚いたことに同種の魔物が寄ってきた。そういうタイプの魔物だったらしい。

 木の魔物って仲間意識などが動物系の魔物より少なそうに見えるけど……うん、見た目通りではないんだなと思った。

 わらわら湧いてくるその魔物を一匹ずつ処理する。

 これだけ同種のものがやられていけば、途中で逃げたりもしそうだと思う。

 しかし、その魔物達は逃げる気配がない。仲間がやられてしまうことに関する恐怖心とかそういうものがもしかしたらないのかもしれない。

 感情の起伏がない系統の魔物だとこれだけ向かってくるんだななどと思う。

「よし、これで大丈夫か」

 俺に寄ってきた魔物たちは全員倒した。

 別にこれだけ寄ってこられても全員倒せるから問題はないけれど、こんな風に来られると宿に支障が出そうなのでどんどん来られるのはやめてほしい。一応念のためにこれ以上寄ってこないかは周りを警戒しておいた方がいいだろう。宿には入ってこれないようにはしてあるけれど、周りにそういう魔物がいっぱいいると客が怖がるだろうし。

 そういうわけで俺は周りを見回る。

 そうすると、面白そうなものを見つけた。

 それは一か所窪みになっている場所である。そこからぽこぽこと音がするので、土の下を見てみる。

 その下には黄色いひし形の石みたいなものがある。鉱石か何かだろうかなどと思いながら見ていると、動いた。

 飛び交うそれを魔法で閉じ込めて、観察してみる。

 見た感じ黄色一色で、目や口など見られない。これは魔物の一種なのか、それとも何らかの力に反応して動いているだけなのか。全然分からないなと思いつつ観察していると突然、色味を無くして動かなくなった。急に灰色に変わったので、本当にこれは何なんだろうと不思議な気持ちになった。

 一旦持ち帰ってみることにする。ただし勝手に動いた時のことを考えて、魔力で勝手に動かないようにはしておく。

 ちょっとこの物体についても調べてみるか。

 ダンジョンで宿を経営するようになって少し経つが、やはりまだまだダンジョンの中というのは不思議に溢れている。ダンジョンによく足を踏み入れている冒険者たちだって全て解明しているわけではないらしいが、この物体について誰か知っているだろうか?

 などとそんなことを考えながら、再度周りを見て回った。

 木の魔物はもう周りにいなかったので宿へと戻る。宿でネノとメル、あとツアー客たちが戻ってくるまでにご飯の準備をしておく。今日はどんなものを作ろうかななどと考える。

 保管してある食材を確認して、魚も結構余っていたので折角なのでそれを使うことにする。

 すり身にして焼いたものと、丸々焼き魚にしたものとか、色々用意してみる。あとダンジョン内で取れた魔物のお肉を使ったスープも作っておく。あとはパンの準備もする。パンは中にジャムの入っているものだ。このジャムは甘い果物をすり潰したものである。パンの味の種類を沢山用意しておいた。食べてみないとどの味か分からないのってワクワクすると思うしな。

 またデザートも用意しておく。子供もいるから、甘いデザートがあった方がいいよな。ちょっと辛いものも用意しておくか。

 そんなことを考えながら、俺は色々準備を進めた。

 準備を終えた頃に丁度ネノたちが帰ってきた。




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