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聞き込み 2

「南の道を進めば、海のある街に行くよ」

「あちらの道をまっすぐいったら森がある。その森を抜けたら小さな温泉街があるよ」

「変わったこと? それなら『魔王』が倒されたことで魔物の数が減って、開拓が始まるって話だ」

 村人達から色々な話を聞いた。

 『魔王』は定期的に出現するものだ。『魔王』が出現していると、魔物が活性化する。魔物の暴走が起こりやすい。『魔王』を倒しても魔物が全滅するという事はないけれども、『魔王』が出現している期間と出現していない期間だと魔物の量が桁違いなのだ。『魔王』という存在が居るだけで、魔物たちは活性化し、人の住んでいる領土を侵食していく。今回はネノが即急に『魔王』退治を行ったため、人の領土にはあまり被害はなかったが、『魔王』の出現時期が長ければ長いほどに人間の領土は狭くなっていった事だろう。昔話の中では、今ある人の領土の半分以下になったこともあると伝えられている。だからこそ、『魔王』は脅威であり、『勇者』は人にとっての希望である。

 『魔王』が倒されたこともあり、開拓を始めようとしているそうだ。

 人の手の入っていない場所への開拓——この世界には人の手が加えられていない場所は山ほどあるのだ。『魔王』が倒されてすぐならば開拓がしやすいというのも事実だろう。

「ネノは、どう思う? そういうの興味あるか?」

「少し。でも開拓よりも、まずはお店。お店作ってから、しばらくしてから開拓地行くのもあり」

「そうだな」

 まずは街に出かけて、お店をつくる。そしてお店を開店した後に開拓地に向かってもいいのだ。

 ネノと一緒ならばどんなところだってきっと楽しめる。だから正直向かう場所は何処だってかまわない。ネノがいればそれだけで俺にとっての幸福なのだから。

「今の所、何処行きたいとかあった?」

「……海のある方」

「海のある街か、そっちに進むか」

「うん」

 ネノが海のある方と口にしたため、俺達は海のある街の方へ向かおうと決めた。

 俺も海は見た事がないから、海のある街に行くのには心が躍る。ネノは『魔王』退治をする中で、海を見た事があるそうだけど、俺が見るのは初めてなのだ。ネノと一緒に見る海は、どんな風に見えるだろうか。

「夜だし、この村泊まるか?」

「うん」

「じゃあ、空き地に家出していいか聞いてくる」

「うん」

 俺は村長の所に行って、空き地を貸して欲しいと告げた。その村長は”家を出す”と言ったらなんだそれはと理解出来ない様子だったけれど、実践したら黙った。

 快く土地を貸してくれるということだったので、空き地に家を出す。

 その家の中に俺とネノと、メルで入った。

 村人達からの視線を感じたけれど特に気にはしなかった。

『……海のある街かぁ。美味しいものあるかな』

「美味しいもの、私も食べたい」

 海が近くにあるという事はそれだけ海産物が採れるという事だ。生まれ育った村の側に山はあったけれど海はなかった。魚はほとんど食べれないような地だ。村に来る商人から魚を買い取って食べた事はあるけれども、新鮮さはないし、やはり新鮮なものを食べたい。新鮮な状態の海産物を手に入れる事が出来れば、そのままの新鮮な状態で《時空魔法》で保存することが出来るわけだし。

 何よりネノが美味しいものを食べたいと言っているからには美味しいものを食べさせたい。

「ネノ、美味しいものついたら作るから」

「うん。楽しみ」

 にこにこと笑うネノはやっぱり可愛くて、幾らでも料理を作ってあげたくなる。好きだからこそ、ネノが笑っていてくれると嬉しくて、いつまでもネノが笑っている姿を見ていたいと思うんだ。

「レオ、お店の名前何にする?」

「……考えてなかった」

「私も。街着くまでに少しずつ、考えよう」

「ああ」

「楽しみ」

「ああ。俺も」

「どんなふうに作るかも……考えないと」

 ネノは椅子に腰かけたまま、未来の事を考えて楽しそうだ。

 それにしてもお店をやろうとは考えていたものの、お店の名前なんて一切考えていなかった。どういう名前にしたほうがいいか、そして一から作るお店なのだからどんなふうにしようか。そういうのもまだきちんと決めていない。

 見た目をどんなふうにするか、内装をどんなふうにするか、どんな家具を置くか。そういうのはまだ一切決めてない。家具とかも自分で作った方が色々と自由に出来るだろうし。

「納得いかなければ納得いくまで作り直せばいいもの出来そうだよな」

「うんうん。……納得するまで作る」

 納得いくまで作り直せばいいと口にすれば、ネノもそれに同意して頷くのだった。


 それからネノと街についてからどんな風にしようかという会話を交わして、眠りについた。




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