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聞き込み 1

「そ、その後ろの者達は!?」

 俺とネノとメルが村にたどり着いた時、大きな声をあげられた。

 この村は俺やネノの故郷である村より規模が大きい。あまり人の訪れのない村なのだろう、俺達が足を踏み入れた時、一斉に村人達の視線がこちらを向いた。そして俺達の後ろで口をふさがれて浮いている盗賊達に目を剥いている。

「盗賊」

「襲ってきたから拘束した。お金になるんだろう?」

「ま、まぁ、そうですが。あれ、というか、まさか、その美しい真っ白な髪は……もしや『勇者』様!?」

 『勇者』をやったネノの知名度が本当に高い。俺のネノが周りに慕われているのは俺としても嬉しい。

 規模の大きな村だからこそ、冒険者ギルドもあるみたいでそこで引き渡せるようだった。冒険者として登録していなくても引き渡しは出来るようで良かった。

 村人達はネノが目の前にいるという事実に興奮しきっているようで色々と情報をくれた。

「『勇者』様、冒険者ギルドはこちらです!!」

「ご案内しましょう!!」

「……うん。レオ、メル、行こう」

 村人達の言葉に、ネノは俺とメルを見て言う。村人達になんだこの男はという目を向けられたが、気にせずネノの隣に並んだ。

 村にある冒険者ギルドでも、ネノは快く迎えられた。

「流石、『勇者』様です!!」

 と、次々と称賛を浴びていた。

「レオと、メルも一緒。私だけ、違う」

「ん? 誰ですか、この男は」

「私の夫」

 また、事実を口にして驚愕されていたが、そんなにネノが俺と結婚している事は驚く事なのだろうか。というか、そもそも『勇者』になる前から俺と結婚していたわけだが。『勇者』の情報って、何でも噂されているイメージだったけれど、案外ネノの情報は正しく周りに認識されていないのだと思った。

 ネノはあまり自分から喋らなかったりするから、勝手に周りが推測して語っている噂も多そうだ。

 それから色々質問をされて面倒だったので、冒険者ギルドを後にした。

 別に幾らでもネノとの事は惚気られるし、ネノの事を幾らでも語ることが出来る自信はある。だけれども一々色々言われるのは大変そうだったから。

 あとメルがドラゴンだから、メルの事に関しても冒険者ギルドの面々は興味深そうにしていた。メルのようなドラゴンが人と契約をしている事は少なく、研究職の男たちが調べたいと言っていたのだ。メルが嫌がっていたので断ったが、あれば獲物を見る目だった。

『もー。僕を調べたいとかなんなの!?』

 メルは冒険者ギルドを出た後、ぷんすかしていた。

 やはり実験動物を見るような目で見られたのは嫌だったようだ。まぁ、俺もそういう目で見られたら嫌だ。……ネノをそういう目で見る人が居たらとりあえず潰す自信はある。

「レオ、この村でどこ行くか、決めよう」

「ああ、そうだな。そこそこ大きな村だし、いろんな場所の情報があるだろう」

 俺達はどちらに向かうかというのを明確に決めていない。この村の中で情報を集めてどこの街に向かうか決めようと俺達は考えた。

「大きめの所で、店だけ作るも、あり」

「そうだな」

「とりあえず、聞き込み」

「そうだな。色々聞いて回って何処に行くか決めるか」

「うん。面白い情報あったら、そっち目指すもあり」

 ネノと俺はそんな会話を交わす。

 此処から何処に向かおうか、というのもまだ未定である。興味を持つ情報が此処で集まれば、そちらに向かうのもありだ。まずは店だけでも建てないと。そうすればあとは《時空魔法》で運べるわけだし。そんなわけで目指すは大きめの街だろうか、と俺とネノは決定した。

『……ネノ様もレオ様も行き当たりばったりだよね。まぁ、ネノ様とレオ様なら例えどんなことがあっても大丈夫そうだろうけどさ』

「メルは行きたい場所ないの?」

「あるなら行ってもいいぞ?」

『え、僕? 僕は……ええっと、母様達の所、ちょっと行きたいけど』

「何処?」

「いくか?」

『え、いいの? だったらちょっと行きたい。でも、大分遠いから後からでも全然良いよ。あのね、母様達がいるのはね——』

 と、メルが教えてくれた場所は俺やネノが聞いたこともないような場所だった。でもお店とかを作ってからでもいいらしいので、行くとしても後になりそうだが。

「店を作る。持ち運ぶ。メルの家族の所にいく。とりあえずの目標決定」

「ああ、そうだな。あとは珍しい場所とか行きたい」

「景色いい所」

「いいなぁ。絶景が見れる所も気になる」

「うん。色々行こう。一緒に」

 ネノが微笑みを浮かべて言った。笑っているネノは可愛い。思わず俺はネノの頭を撫でるのだった。



 それから、俺達は村人達に他の街についての情報を聞いた。あと変わった事とかがあったら教えて欲しいと聞いて回ることにしたのだ。


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