ダンジョンに潜る ②
とりあえず二十階まで一気に来てみた。
徐々に階層の広さは広くなっているが、そこまでの脅威は今の所ない。というか、俺とネノとメルが揃って、脅威とか本当に危ない事態だからな。
それにしても不思議な空間だからか、滝とかあったりすんだよな。どこから水が落ちてきているんだろうか。ダンジョンの魔力?
「ネノ、結構楽しいな」
「うん。滝。あの奥、魔物いるね」
「滝に近づいた生物を食べる系か」
「うん。まぁ、流石にこういうダンジョンの中で水浴びする人とかはいないと思うけど。それしたら、死ぬやつ」
ネノがそんなことを言っている。
まぁ、ダンジョンの外にあったら確かに素敵な水浴びスポットではあるのかもしれない。ただ、ダンジョンの中でも、外でもそういう自然豊かな場所には魔物が潜んでいる可能性があるわけだが。
「でもさ、こういうダンジョンだからこそああいう水の奥になんか面白いスポットとかあったりするんじゃない?」
メルはダンジョンには来たことがないらしいが、その話は聞いたことがあるらしくそんなことを言う。
確かに魔物がいるからこそ近づく存在は居ないだろうけれど、こういうダンジョンには隠れたエリアや面白い場所というのが結構あるらしいと本にも書いてあったっけ。
「じゃあ、メル、いってくる?」
「うん!!」
メルはネノの言葉に頷いて、滝の中に飛び込んだ。躊躇いもせずに飛び込むなぁ。奥にいた魔物の悲鳴? みたいなのが聞こえてくる。メルがすぐに仕留めたのだろう。
「レオ様、ネノ様ー、こっち奥あるよー。きてー」
奥の方からそんな声が聞こえてきたので、俺とネノもそちらに向かうことにする。滝の後ろに洞窟のような場所があった。
その脇に倒れている魔物……。ちなみにダンジョンの魔物は早めに対処しないと、一部の素材を残して消える仕組みらしい。今も目の前で、鱗だけ残して消えた。それだけ回収しておく。
洞窟の奥に進んでいくと幾つかの分かれ道がある。どちらに進むかは適当である。俺たちは特にダンジョンでの進み方とか把握してないし。一つ目は宝物が奥にある部屋で、それは宝物に擬態した魔物だった。
とりあえず倒しておいた。
こういうのを知らずに手を入れると大変なことになるらしい。ネノとメルは勘でそれが魔物かどうかわかるらいし。なんか本能的に感じられるらしかった。
もう一つの分かれ道の奥には魔物が居た。結構大きな虎の魔物だった。しかもその魔物に対峙した瞬間、後ろの方で扉がしめられた。これは倒さないと出れないというものらしい。なんか張り切っていたメルがさっさと倒していた。
その後宝物が落ちていたので、それを開けると大きな剣が入っていた。振り回すのが大変そうだ。とりあえず使いそうになかったらあとで売ることにするので《空間魔法》でしまっておく。
倒した瞬間、扉が開いた。
「閉じ込めて倒せない時の絶望感やばそうだな」
「うん。多分、結構こういうので死ぬ人多そう。だから、こういうところに踏み込まないようにするみたい」
「時間制限もないのならば入った瞬間死しかないからそういうものか」
それにしてもここで亡くなった冒険者たちも、死体が残らない感じなのだろうか?
魔物と同じように消えるんだとしたらそれはどこにいっているのだろうか? ダンジョンというのは、とても不思議なものだと思った。
最後の一つの進んだ先は、崖のようになっていた。飛び込んだら下のエリアに行けるらしい。折角の面白そうな場所なので、飛び込んで見ることにする。下はマグマだった。その前に魔法で足場を作る。
メルはそのまま飛び込んで遊んでいた。マグマの奥にいた魔物を追いかけまわしている。何をやっているんだろうか?
そもそもここ何階だろうか。結構落ちた気がする。
一旦、マグマのない部分に下りる。その途端魔物が襲い掛かってきたので倒しておく。ここは暑いので、一先ず魔力で壁を作って熱さを感じないようにしておいた。マグマのぐつぐつしているエリアって人が踏み入れるエリアじゃないしなぁ。
こういうところに足を踏み入れる場合、一般的な冒険者たちはどうしているんだろうか。こういうところでも大丈夫な防具でも買うのだろうか。
「ここ、熱いからさっさと抜けよう」
「うん」
俺の言葉にネノは頷く。
メルに「行くぞ」と声をかければメルがマグマから出てきた。
そしてそのまま下への階段を探す。降りたエリアはボスのエリアだった。ダンジョンは上の方はボスはいないけれど途中からボスを倒さないと進めないものらしいのだ。
初めてのダンジョンで張り切っているメルが、スケルトンの魔物を秒殺していた。ボスとはいえ、メルには勝てる存在はあんまりいないだろうなぁ。
「もっと下にいったら、もっと面白いのいるかな??」
メルはもっと張り合いのあるボスに会いたいらしい。




