第二話!
一本道をまっすぐ進むとアツムの前にまた扉が現れた。その扉を開けると目の前にはまた一本の道が現れた。
しかし先ほどの何もなくただまっすぐな道とは違いそこはまさに…
「学校じゃねぇか。」
アツムは、思わず声に出して見たものを見たままに口に出してしまう。
そう。ここはまさに学校の廊下そのものだったのだ。
「まじかよ。本当に学校に来ちまった。」
今は授業中なのか、教室と思わしきところからは声が聞こえてくる。
確か、1のFとか言われたよな。
1のFは…あそこか。かなり奥の方だな。
アツムは歩を進める。その足取りは軽やかだった。
この世界では転校生の紹介とかないのか?しかも、転校生、異世界人だぜ。俺の高校じゃ、北海道の転校生ですら騒がれたのに。
1のFの教室の前に立ったアツムは一つ深呼吸をし、緊張を取り除く。
よし、入るか。
そして、勢いよく教室の扉を開けた。
クラス中の目線が全てアツムに集まる。
「初めまして!異世界から来ました、アツムと言います!よろしくお願いします。」
本当に藤田って名乗らない方が良いんだよな?ここでも騙してたらあの乳女絶対許さねぇ。
すると教壇と思わしき場所に立っていた男が近寄ってきて、アツムの頭を叩いた。
「いたっ!何するんですか!」
「授業中に入ってくるやつがあるか。」
「そんなこと言われても。教室の場所しか言われなかったんで。」
「そんなもの常識を考えたらすぐにわかるだろうが。」
男は握りこぶしにまた力をこめる。
そして、鈍い音が教室に響き渡りクスクスと笑い声まで聞こえてくる。
これは理不尽にもほどがある!なんで俺の人生こんなのばっかりなんだ。
アツムを殴った男は
「仕方ないから今日の授業はここまでだ。おい!お前、ちゃんと自己紹介しろ。」
そういうと男は教壇から降り近くの空いている椅子に腰掛けると顎でアツムに自己紹介するように指示した。
うーん。自己紹介と言われてもなにを言えばいいのだろうか。異世界にも自己紹介のテンプレとかあるのかな。まぁ、考えても仕方ないな。
アツムは考えるよりも行動する派なので早々に考えるのは諦めて自己紹介を始めた。
「えー。みなさんこんにちは。アツムといいます。僕は日本というこことは違う世界の小さな国から来ました。まだ来たばっかりで右も左もわからないのでこの世界のこと教えてくれると助かります。これからよろしく。」
こんなものだろう。とアツムは考える。そして教壇に立ったことでクラスの全員を見回すことができそして気づいた。
おいおいおい。どうなってんだ。ここは天国か。
アツムの前に広がる光景はまさにファンタジーというようなものであった。
猫耳、うさ耳、etc...何でもアリの光景である。
基本的には人型だな。しかし、男もいるところがやっぱり俺、主人公じゃないんだな。
それでもアツムのテンションは振り切られる寸前であった。
「なんだ、挨拶はまともにできるんじゃねえか。よし、じゃあとりあえず空いてる席に座れ。友達は勝手に作るように。俺が担任のジャクだ。教科書は寮の用意が出来次第届けてやる。」
アツム進められるがままに空いている席を探す。すると手招きをしながら空いている席を指している男が目に入った。
最初の友達は男スタートか。
そんなことを考えながらもアツムは空いている席についた。
「よう。俺はカイチだ。よろしくな。」
カイチと名乗る男が右手を差し出してにこやかな笑顔を浮かべている。
「さっきも自己紹介したが、アツムだ。こちらこそよろしく。」
アツムも右手を出し握手する。
「アツムは、全ての授業が終わり次第職員室に来い。職員室の場所は…誰かに聞け。これも友達を作る良い機会だろう。」
ひときわ豪快な笑い声をあげながら教師であろう男は教室を出て行った。
「なあなあ、お前も地球出身なんだな。」
カイチがアツムに話しかけた。
「ああ、お前もってことは、」
「そうだよ!俺も地球出身さ!」
2人が話していると周りには次第に人が集まり始めた。
おおおおおおお。目の前にケモミミが!
もふりたい。どうすればこのケモミミたちとお近づきになれるのだろうか。もふらせてくれとは言わない。だかせめて、ワンタッチだけでもさせてはいただけないだろうか…
アツムの邪な目線を察したのか近づいて来ていたケモミミ少女たちが一歩下がった。
「そんな、あからさまな目線を向けたら誰も近寄ってこないわよ。」
アツムの前の席の少女が振り向いて注意する。
「そんなにわかりやすかっただろうか。えっとー。」
アツムは少しばかり反省の色を示す。
「カミナよ。わかりやすいなんてもんじゃなかったわよ。」
アツムはカミナを観察するように見回した。
ふむ。ケモミミではないがなかなかのナイスバディだな。記念すべき女の子友達1号として、こいつのことは心の中でアニキと呼ぼう。
「よろしくな。カミナ。これからも漏れ出てたら教えてくれ。」
カミナとカイチは、このクラスの中でも中心人物のようで2人の周りには自然と人が集まり一番大きなグループを形成していた。
周りの人物が次々と自己紹介していると学校のチャイムがなり、次の授業が始まった。
また後でねとクラスメイトたちは自分の席に戻って行った。
そういえば、どんな授業をするのか誰にも聞いてなかった。これは、やっちまったか?
アツムは少し後悔するが、何とかなるだろうとすぐに思考を切り替えた。
少しすると教室の扉を開け1人の少女が入ってくる。その少女は、まさに少女であり、12.3歳ぐらいに見える。生徒の1人かとアツムが思っているとその少女は教壇の上に向かい、部屋の角においてある台座を引っ張ってきて、その上に立った。
「では授業を始める。」
「は?」
アツムはあまりの驚きに思わず声を上げて驚いてしまう。
こいつが教師?どう見ても小学生じゃねぇか。いや、これもファンタジーの定番ロリババアってやつか?
アツムが失礼なことを考えていると教師である少女と目があった。
「おいそこの、うるさいぞ。あと私はババアと呼ばれるほど年はとっておらんわ。」
アツムは驚きのあまり目を丸く見開き、少し間が空いてから「すいません。」と謝罪を述べた。
「分かれば良い。では、今日は教科書の105ページからだな。失礼な少年は隣のカイチに見せてもらえ。」
アツムはカイチに声をかけ教科書を見せてもらう。そこには魔法の扱い方と書かれていてアツムはさらに驚く。
おいおい。本当にファンタジーじゃねぇかよ。ここは、最高のところじゃねぇか。これは、早く勉強してぇ!
アツムが心の中で大興奮しているとその間にも授業は淡々と進んでいく。アツムも我に帰りすぐさま勉強に熱を出すのであった。




