夜行
夜を走る電車の中、たまたま乗り合わせた私たちは、同じ空気を共有していた
窓の外には何も見えない、暗闇以外は
窓の中には乗り合わせた私たちの姿
私の正面には僕がいて、それを視界に入れたくない私は、前を向かない、嫌いだから
スマホを見つめる人も、本を読む人も、恋人同士見つめ合ってる人も、隣で寝ている彼も
誰も、正面なんか見ていない
誰も、前なんて向きたくない
だから私もこうやって、日記に詩なんて書いてんだ
電車が止まって、隣の彼を起こして、「ほら、いくよ」って
窓の外にあった暗闇に踏み込んだ