第六話 従魔の理想は乗れるくらいの狼。
グロくないけど首が飛びます。
要・研究対象であるスキルウィンドウを見つめていると、モルドさんが起きてきた。寝ずの番をさせてしまった事をめちゃくちゃに謝っている。いえいえ大丈夫ですよ、徹夜なんて慣れていますし、モルドさんには助けられました。と日本人らしくその場を丸め込む。モルドさんは申し訳なさそうにしていたが、出発の時間もあり手早く朝食を摂ることになった。
心優しいモルドさんは、私の分も食事を用意してくれた。
ホントマジ頭上がらねぇっすわ。
朝食は黒いパンに干し肉、干したっぽい果物に水だ。水で肉をふやかしてパンと一緒に食べるらしい。パンめちゃめちゃに硬かった。元の私だったら現代日本人の貧弱な顎が悲鳴を上げているだろうが、今はフォストの顎を使って食事をしているのだ。やだ、この子強健…トゥンク。ノンストップフェラチオ地獄にも耐えれそう。
日本人の味覚を持つ私からしたらなんだか物足りない食事だったが、モルドさんからいただいた食事という事で旨味が増加した。第一印象から好感度爆上げでした。ぜひ昔馴染みの親友とかと穏やかながらに火傷するような恋とか育んでください。
そうこうしているうちに食事も終わり、出発となった。道中話をした所、モルドさんは商人であるらしい。ノクドの森を超えた先にある村に塩やら食料やらを売りに行く途中で、私を拾ってくれたようだ。
コミニケーションを交わしながらマップを開くと、赤い光が三個ほど私たちに近付いてきていた。
「…護衛とかは雇っていないんですか?」
「特に雇ってないかなぁ。この森に出てくるのはウルフだけだし、追い払うなら初級魔法でなんとかなるから」
「そうなんですか」
ウルフ。ウルフかあ。でっかい従魔ってめちゃくちゃ厨二心を擽るよな。
私の精神が無事離れた時用に、フォストを犯してくれる従魔とか一匹欲しいんだが。イヌ科だしフォストをぽて腹に出来るくらい中出し出来るだろ。
赤い光はさらにこっちに近付いてきている。ウルフちゃんが出てくるであろう草むらに目を向けていると、案の定三つの影が飛び出してきた。
大きな体躯を持つ灰色の狼一匹を先頭に、小柄な狼二匹だ。
「グレートウルフ!?」
出てきたウルフを見たモルドさんが驚きの声を上げ、馬が怯えるように嘶いた。モルドさんは慌てて宥めすかすように手綱を握る。
おそらく、小さめの子達がウルフで灰色の大きいやつがグレートウルフだろう。
「…まずい感じで?」
「そう…だね。逃げ切れるかどうか…」
スピードが上がった馬車を追尾するようにグレートウルフたちが駆けている。両者の間は徐々に詰められており、このままでは追い付かれるだろう。
そう考えた私は、おもむろに大剣を手に立ち上がった。
「フォスト君!?」
慌てるモルドさんに構わず、馬車の一番後ろへ。仁王立ちになり前を見ると、涎を垂らした三匹の狼が目を血走らせながら迫ってきていた。
残念だよ。
君達にはフォスト君の従魔になり、フォスト君を犯せる未来もあったかもしれないのに。
異様に軽い大剣を片手で構え、一閃。おもちゃかと疑うくらい呆気なく首か飛ぶ。血を撒き散らしたグレートウルフの体はその場に倒れ、胴体を離れた首はくるくると回転しながら草むらに落下する。くぅん、と可愛らしい声をあげて急停止したお付のウルフ達は、走り去る馬車からはすぐに見えなくなった。