第四話 転移者の強い味方。
めちゃくちゃに強い武器を背負って異世界転移とか、ものすごく熱いじゃんか。
何が腐女子の〇イートだよふざけんな格が違うわ。
この四角いウィンドウっぽいのは多分、あらゆる異世界転生・転移主人公がお世話になっている鑑定さんだろう。ハテナばっかりなのがすごく気になるが、これは鑑定のレベル次第で徐々に見えるようになるとかそんな感じだろうか。
あとLUCが801%ってのめっちゃ気になる。死ぬほど運がいいじゃんか。世界滅亡しても運良く生き残ってしまいそうな勢いで運がいいじゃん。それに普通にやおいだからときめいちゃった。腐女子はこじつけ大好きだから。
それと。
「魔法無効?」
それって、斬れるやつじゃありませんかな?
ファイヤーボールとかウィンドカッターをこう、スパァッとやるやつじゃありませんかな?
圧倒的にロマンだ。
女だからといって下に見られながらも努力して、ついに王国騎士に上り詰めた女騎士が遠征に行く途中で魔物の群れに襲われている村を発見し、魔法使う上位種モンスターに襲われそうな村娘を救う時にスパァッとやるやつじゃないですか。添い遂げることを心に決めたものの戦争が始まり「私の命は王に捧げてしまった。あげられるものが、もうないんだ」と言う女騎士に、村娘が明るく「命なんか欲しくないわ。ただ、無事で帰ってきて」っていうやつじゃないか。
帰ってくるのは女騎士の剣だけだけどな。
ウッ、辛い。
でもバドエンは最高っすよ。
村娘は数多の男に求婚されつつも生涯独身を貫いて、ベッドの上で女騎士の剣を抱えながらその一生を終えるんだ。「すっかりしわくちゃになっちゃったけど、気付いてくれるかなぁ」っつって女騎士の剣が送られてきた時以来流さなかった涙を一筋流して死ぬんだ。
はい、ハッピーエンド。
唐突なバドエン性癖暴露やめてください。
話が逸れまくったが、この魔法無効はものすごく有能だ。大剣だし盾代わりにも使えそうである。
視界に浮かんでいるウィンドウに目を向ける。じいっと『魔法無効』の文字を見つめていると、重なるようにもう1つのウィンドウが出てきた。
“魔法無効
全属性の魔法を無効化する。ただし、無効化されるのは触れている部分の魔法のみ。”
ほうほう。
つまり、どでけぇ火炎放射みたいな魔法を吹っかけられたとして、この大剣を正面に掲げた場合守ってくれるのは正面のみと。上下左右に枝分かれした炎はこの身を焼くと。でもまあ、読むかぎり一応魔法は斬れそう。ロマンだ。
どうやら鑑定で出た文字をさらに見つめるとより詳しい説明が出てくるらしい。ダメ元でハテナを見つめたが、出てきたのはハテナのみだった。いつか見れるといいな。
字面でわかるが一応自動修復も見ておこう。
“自動修復
破損が修復される。一定以上破損した場合は、元のように固定すると一定時間で修復される。”
折った部分が何も無いところから修復される無限機関ではないようだ。刃こぼれは直してくれるっぽいけど。
こりゃあいいぞ。結構なチート武器だ。
満足げに大剣を鞘に戻し、焚き火の前に座り込む。空は相変わらず暗く、夜が明ける様子はない。
ふと、鑑定があるならステータスウィンドウもあるんじゃないかと閃いた。フォストの手を見つめる。
じっと。じぃーっと。
しかし何も起こらない。よろしい、ならば違う手だ。妄想が如く念じる。ステータスウィンドウ。ステータスウィンドウ、ステータスウィンドウ…
来た。来たぞ! なんか来たぞ!
真正面に出てきたウィンドウに、私は嬉々として視線を向けた。
“名前:フォスト(フォスト①)
性別:男
種族:人族
レベル:1
HP:174/174
MP:45/45
ATK:32
DEF:26
AGI:15
INT:36
LUC:51”
なんだ『フォスト(フォスト①)』って。①ってなんだよ②があんのかよ。
じっと見つめても鑑定さんは仕事をしない。フォスト(フォスト①)はフォスト(フォスト①)であるようだ。
意味分からん。