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青色の下で・・・静岡聖陵編  作者: オレッち
第壱章~新たな出会い~
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6話:部活動

入部届けが提出され数日。

いよいよ部活動初日となった。


授業が終わり俊哉は荷物を持つとまずは着替えに各部活動ごとに設置された部室へと向かう。

部室にはすでに何人かの生徒が来ており着替えをしていた。


「こんちわ~」


と言いながらガチャッとドアを開けながら入る俊哉に最初に反応したのは竹下。

着替え途中だったのかパンツ一枚とアンダーシャツのみという姿のまま寄って来る竹下。


「お~来たかトシ~」


「よう」


と竹下に続いて後ろで着替えていた山本が挨拶をすると俊哉も挨拶を返す。

すると、身長は約165センチ程で髪の毛は少し眺めのキツネ目が特徴の生徒が俊哉に歩み寄りながら手を差し出すと話を切り出す。



「やぁ君が横山君?よろしく」


「あぁよろしく、えぇっと・・・」


「あぁ僕の名前は青木博信あおき ひろのぶ。よろしく」


「こちらこそ」


と笑顔で握手をする俊哉と青木博信(以降より青木)、他にも何人かいたが自己紹介をする間もなく着替えを終えるとグラウンドへと向かう。

グラウンドへと向かう途中、女子用の部室から出てきたマキと明日香と鉢合わせになった。


「あ、トシちゃん」


「おぉマキ~」


と俊哉と同じくユニフォーム姿のマキと明日香と挨拶をかわすと竹下がマキに話しかけてくる。


「お、めっちゃ可愛いじゃん。ねぇ名前は?どこらへんに住んでるの?」


とずいずいと問い出す竹下に戸惑うマキ。

すると呆れた明日香がグローブで竹下の頭をボスッと叩く。


「邪魔よ。」


「いってぇ~。あ、こっちも美人!」


「邪魔!」


ともう一度ボスンとグラブで頭を叩くとマキの手を引きながらズカズカと先へと行ってしまったのだ。

叩かれた頭を擦りながら二人の背中を眺める竹下。


「イテテテ。二人は誰かと付き合ってんのかな?」


「知らん」


と半分呆れ顔をしながら山本が歩いていき、俊哉も苦笑いを見せながら後を着いていく。

竹下も叩かれた頭を擦りながらも最後についていくのである。

グラウンドに着くと奥の方では女子ソフトボールの選手たちが集まっておりグラウンド整備をしていた。

また野球部の方もすでに何人かの選手が来てはいるが何をしていいのか分からず立っているのみである。


「竹下、グラセン」


「おぉ、だな」


と俊哉の言葉に竹下はそこにいた選手らに声を掛け始めトンボを手にグラウンド整備を行う。

初めての部活で名前もほとんど知らない初めての選手に対して、発言をするのは多少の勇気が必要ではあるが、竹下は気にしないのか鈍感なのか躊躇せず話しかけていきグラウンド整備へと選手らを誘導する。


慣れた手つきの者もいれば初めて触ったのかぎこちない者がいる中でのグラウンド整備。

そしてある程度が終わるころになるとグラウンドに二人の選手が入ってきた。


「ちわっす!」


「こんちわっす!」


「ちわっす!」


と帽子を取りグラウンドへと来た選手に挨拶をする竹下と山本と俊哉に後からたどたどしく挨拶を続ける選手ら。

その挨拶に入ってきた二人の選手はビクッとなりながらガチガチに緊張した動きで帽子を取りペコリと会釈をする。


「し、新入生だ。ホントに来てたんだ」


「ひぃ、ふぅ、みぃ・・・10人くらいはいるぞ」


と互いにそう呟きながら驚愕の表情をする2人の選手。

するとその二人の元へ竹下が駆け寄ると話しかける。


「あの、先輩の方ですか?」


「え?!あ、あぁ。俺は早川、んでこっちは桑野」


とビクッとしながらも自分らの名前を言う選手。

名前を言ったのは早川悠斗はやかわ ゆうとと言い、坊主頭で少し太めの眉毛とたれ目が特徴の選手であり、もう一人の選手が桑野慶太くわの けいた、釣り目の強面が特徴の選手である。

二人は2年生で、この部活唯一の部員である。


「えっと、他の方は?」


「あ、あぁ。残念だけど俺ら二人だけなんだ。ホントは俺らの代では7人ほどいたんだが、みんな次第に部活変えたりしてね。今は二人だけ。試合は他の部員を借りてきてたんだけどこの前、監督の元に“怪我したら困るからもう貸せない”って言われてね。実質廃部状態だったんだけど・・・」


と言いながら竹下の後ろにいる選手ら見る早川悠斗(以降より早川)は現時点では信じられなかった。

たぶん次第に減っていくであろう、そしてまたいつもの通りだという思いがあった。


「ホントに、ちゃんとした部員なの?」


と思わずポロリと本音が出てしまいハッとなり、竹下を見る早川。

その竹下はというと早川をしばし見つめるもニッと笑みを浮かべると。


「勿論すよ。俺が集めてきた連中がいますから」


とハッキリとした口調で話す竹下。

その言葉に不思議と、早川は信じてしまいかけるもすぐに疑いの心は拭い切れていなかった為、竹下の言葉を半信半疑で捉えることに決めた。



(いまいち信じられてなさそうだな・・・でもまぁ、いずれ分かってもらえるっしょ)


と早川の心の内を感じた竹下は、まずはこの先輩二人の心を繋げていこうと感じた。

初練習が始まった聖陵野球部はどこまで突き進めるのか。



次回へ続く。


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