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青色の下で・・・静岡聖陵編  作者: オレッち
第壱章~新たな出会い~
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52/178

52話:試合終了

 試合は8回へと突入。

 表の陵應の攻撃は3番浦原から。

 その浦原に対してマウンドの秀樹は初球を投じるもアウトコースに外れるボールとなる。


(ボールに力が・・・)


 秀樹の球威に異変を感じる竹下はタイムを取りマウンドへと向かう。


「おい、ヒデもう限界なんじゃねぇか?」


 そう話す竹下。

 ここまで秀樹は100球を越えており体力的にも限界が近いだろう。


「いや、まだ大丈夫」

「ほんとか?」

「大丈夫だから。頼む」


 秀樹の言葉に竹下は少し間を開けるも何も言わずにマウンドから降りて行く。

 ホームへ座りマスクを被る竹下。


(もう限界に近いだろう・・・でもあのヒデの目は・・・)


 サインを出す竹下。

 そして二球目・・・



カキィィィン・・・


 二球目のストレートを浦原が弾き返すと打球は左中間を抜けて行く当たり。

 打った浦原は二塁へと到達した。


 二塁打を打たれ打席には4番の神坂。

 その神坂に対しての初球・・・



カァァァン・・・・


 初球に投じたストレート。

 甘く入ったボールを神坂は容赦なく叩くとレフトへと舞い上がりホームランとなってしまう。


「・・・・・」


 レフト方向を呆然と見る秀樹。

 打った神坂は悠々とダイヤモンドを回りホームを踏む。


 これで6−0。

 さらに点差が広がってしまった。


「ヒデ」

「竹下・・・すまん」


 短く謝る秀樹。

 交代かと覚悟した秀樹だが、ベンチの春瀬監督から動きが見えず竹下も秀樹にボールを渡すとポンとミットで秀樹の胸を叩く。


「最後までいけるか?」

「え?」

「今日の試合。お前と心中だよ。限界を越えて見せてくれ。マジでヤバかったら俺から止めに行く」


 そう言いながらボールを渡そうとする竹下に秀樹はグッと堪えながらもボールを受け取る。


「竹下」

「ん?」

「ありがとな」

「お礼は・・・来年の夏に聞くよ」


 ニッと笑みを零しながら戻る竹下。

 秀樹は一度大きく深呼吸をするとキッと表情を引き締め試合へと戻る。


カァァァン・・・


 5番晋太郎の打球はライト線を抜けて行く二塁打。

 体力の限界に近い秀樹の球速や変化球のキレは序盤とは比べ物にならない程低下していた。

 だが、秀樹は辞めなかった。


 その後に秀二のヒットで二塁ランナーの晋太郎が帰り7点目。

 そして止めは・・・



カキィィィン・・・


 ここまで2三振を含む3打数無安打の山谷。

 山谷が初球をフルスイングすると打球は高い弾道で飛んでいきレフトへのホームランとなったのである。


「9点目・・・」


 これで9−0。

 その後は秀樹がどうにか後続を抑えチェンジとしたが、この回で5失点は痛すぎるものである。

 そして、8回のマウンドには秀二が引き続き上がる。


「ストライク!バッターアウト!」


 なんと8回の5番早川の打順だったが三者連続三振を奪いあっという間に交代となる。

 疲れるどころか球威が増して行く秀二のピッチングに聖陵の選手らの表情は暗くなる。


「あと1回で・・・どうすりゃ」

「・・・・」


 弱気な言葉を漏らす堀。

 いつもなら強気に話す明輝弘だが、黙ったまま守備へと向かう。


「ヒデ大丈夫か?」

「トシか・・・悪いなぁ。抑えられんで」

「いや、俺も打つとか偉そうな事言って全然打てない・・・」

「いや、これは誰が悪いとかじゃねぇよ。チームとして全員が実力不足なんだ。これからだよ・・・これから。俺らはこれからだ」


 俊哉にそう話しながらマウンドへと向かう秀樹。

 2番打者から始まる9回の陵應の攻撃は4番神坂にレフトへと二塁打を浴びるも後続を抑えて無失点に抑えた。


「っしゃあああ!!」


 最後の打者をライトフライに打ち取りマウンドで雄叫びをあげる秀樹。

 9−0と大きくリードが広げられているが、秀樹の気迫は凄まじかった。


「どうにか・・・一矢報いるぞ!」

「おぉ!!」


 泣いても笑っても9回裏の最後の聖陵の攻撃。

 マウンドには引き続き秀二が上がる。


「代打、内田」


 8番池田の所で代打内田。

 内田は緊張しながらも打席へと向かう。


「ストライク!」


 初球のフォークを空振りストライク。

 二球目のストレートも空振りツーストライクと追い込まれる。

 そして最後の三球目・・・



ギィィン・・・


 秀二の投じた三球目はストレート。

 その球を内田はフルスイングするとバットに当てることは出来たがセカンドへのゴロに終わってしまう。

 これでワンアウトとなり9番の青木。


「ストライク!バッターアウト!」


 今日全打席で三振を喫してしまった青木は悔しそうにバットを地面に叩きつける。

 これでツーアウト。

 打席には1番の俊哉が向かう。


「トシ〜!!」

「俊哉〜!!」


 ベンチから俊哉の名前が飛び交う。


「トシくん!!」


 記録員の菫からも大きな声が飛ぶ。

 初球、二球目とファールにする俊哉。

 そして三球目を見てボールの判定をもらうと四球目は・・・


「ファール!」


 四球目のフォークをファールにした。

 これに陵應側は少し面食らっった顔をする。

 マウンドの秀二も少し驚いた顔をするが、すぐに表情を戻す。


(次は・・・打つ!)


 振りかぶる秀二。

 そして五球目が秀二の右腕から放たれた。



キィィィン・・・


 投げ込まれたのはストレート。

 俊哉はフルスイングを見せ打ち返すと打球は秀二の足元を抜けて行く。

 聖陵ベンチがヒットだと確信した。


「・・・あ!!」


 だが、その打球に横っ飛びしグラブの先で抑えた選手がいた。

 セカンドの嶋本である。

 倒れこむ嶋本はすぐに立ち上がり一塁へ送球。

 俊哉は決死のヘッドスライディング



「アウト!ゲームセット!」


 判定はアウト。

 これで9回全てのイニングを終え試合終了となったのであった。


 9−0で陵應学園勝利。


 聖陵学院は敗北した。



 次回へ続く。

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