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バカと青春は紙一重!?  作者: 鳳凰院病棟
1/1

新入生

 皆さんは「バカ」と聞いてどう思いますか?

 学校生活などではよく聞くかもしれません。「○○くんってバカだけど面白いしクラス楽しくなるよねー」などと言った褒め言葉のように使われたり「なんでこの問題もできないんだ、お前はバカか?」と言った悪態に使われたり、様々な意味があります。

 もちろん逆に思う人もいますが、案外「バカ」というのは学校生活を迎えている間までならとっても大切なのかもしれないですよ。


 なんてことを考えながら僕はこれから新しい学校生活が始まる高校へと足を運んでいた。

 時刻は八時五十二分。完璧に遅刻である。

 しかし、そんな気配を微塵も感じさせないほど彼らは穏やかに歩いていた。

「悪いな二宮、一緒に遅刻させちまって」

 全く悪いと思ってないほど明るい声でそう声を掛けてくる親友。

 彼の名前は吉田竜也。小学校の頃からの付き合いのとても気が合うバカだ。

 ことあるごとに問題を起こし毎度一緒に怒られているほどに仲が良い。

「気にしなくていいよ。どうせ最初のほうをまじめに過ごしていたって後半になったらボロが出るだけだし」

「んー?中学の時のことか。あれはひどかったな、歯止めが効かなくなってた感じがするわ」

 そうだね、と苦笑交じりに相槌を打ち思い出していた。

 僕を筆頭にした集団が事あるごとに先生たちから注意を受けてはその度に「で、でも先生!窓ガラスなんかを割ったりする不良に比べたらまだ構って欲しいだけのちょっぴりやんちゃさんなだけだと思いませんか?」なんて言って大目玉を喰らっていた。

 怒られる様は様式美だ、と学年中で囃されるほど怒られていた。

 けど、ハッキリ言って中学の後半はとても充実していた。

 高校になったらそれ以上に楽しいことがあるんじゃないか、そう思ったりする反面中学以上に問題を起こしにくいのかもしれないという不安が過ったりもする。

 そんな不安な気持ちを春風が吹き空へとかき消してくれ、思わず足を止め川を眺める。

「出会いは一期一会……だもんね、後悔がないようには頑張らなくっちゃね」

 今こうして何もせず過ごしている一瞬でさえも大人になれば思い出になる。

 もしかしたら同窓会なんかで話すかもしれない。そうなったときに誰が聞いても楽しそうと思ってもらえるような人生を送りたいな。

「おーい、何やってんだ?置いてくぞ」

 そんなことを考えているとすでに数歩先に歩いている竜也の声が聞こえる。

 まったく、遅刻したのは誰のせいだと思っているんだか。やれやれと肩をすくめながら歩き出す。

「うーん、やっぱここの坂道って面倒だよね。どうしてもっと楽なところに学校建ててくれなかったのかな?」

 坂道を前にぽつりと呟く。

 やや急な坂道、なだけだったら少し我慢すればいいだけなんだけど結構登らなくちゃいけない。

「ま、いまさらそんなこと言っても仕方がないさ。それより行こうぜ、あんま遅くなって教師どもに怒られるのは勘弁願いたいしな」

「だれのせいだよーだれのー」

 ぶーぶーと文句を垂れる僕を無視して歩き出され慌てて後を追いかける。


 やっぱりこの学校は広いなー。鬼ごっこやかくれんぼしたらすごく楽しそう。

 登校中の長い坂道のほとんどが学校の敷地を覆うフェンスに面していた。

「いいか、夏樹。さっと入って少し遅刻して道に迷ってましたって口を合わせるんだぞ」

「分かってるよー、毎度おなじみなんだから間違えないって」

 校門を潜り抜け下駄箱前まで辿り着くとクラス分けの詳細がボードに書かれていた。

 えーっと、僕は1-3組だ。あ、竜也とも一緒だ!嬉しいなぁ。

「一年間よろしくねー、竜也!」

 笑顔の僕を見てクスりと笑いながら相槌を打たれる。

 今年も夏樹と一緒か、楽しい学校生活になりそうだな。

「あぁ、よろしくな」

 その場で立ち止まりついつい仲良く談笑してたのが良くなかったのだろう。

「お前ら、新入生にとって初めての日に遅刻とはなかなかな心構えじゃないか」

 気が付けば後ろから声を掛けられる。

 首を傾げながら後ろを向くとそこにはガタイのいい見るからに脳筋な人と小柄な男の人がいた。

 から笑いを浮かべながら少しずつ後ずさりしていき、距離が取れると全速力で走り出す。

「む?待たんかお前らァ!」

 一瞬だけ後ろを振り返るとものすごい勢いで走って来る恐らく体育科の先生。

「竜也、あの先生早いよ!急いでクラス見つけて潜り込まないと!」

「んなもん分かってら!階段を登りつつ各階の教室が何年かを確認していくぞ!俺は上から、夏樹は下から頼む!」

 返事はせず集中して下から順に眺めていく。

 技術室、職員室、保健室、進路相談室は見えたけど他は見れなかったぞ!保健室が職員室の隣にあるのは辛いなぁ……オチオチサボりに行けないや。

「夏樹!見つけたぞ!三階だ!」

「りょうかい!それじゃ僕は一旦二階で遠回りして向かうから先に隠れてて!」

 ハイタッチをし二手に分かれると一瞬動きを止めた先生がこっちへ走り出す。

 まぁ、予想通りこっちに来たね。いくら体育の先生だろうと階段をほいほい登られるときついだろうしねー。

 それはなんとなく分かってたからいいんだけどさ、

「やっぱ直線だと少しずつ距離詰められるーー!!」

 大きな声で笑いながら叫んでいる僕はきっととても楽しんでいるのだろう。初日からとっても楽しくなりそうな気がするのは嬉しいな。

 それくらい先生の性格なんかでモチベーションというものは変わるものだ。

 突き当りまで走り抜け階段を勢いよく駆け上り一切速度を落とさず三階へ辿り着き廊下を曲がった瞬間竜也がとある教室から手を振って教室へと戻った。

 あそこがゴールか!間に合うかな!?

 一心不乱に走り抜け教室の中に滑り込むと教室にいる生徒たちの視線が集中する。

「はぁ……はぁ……、み、みんなこれから一年間よろしくね!」

 あまりに空気を読まない発言だったなと自覚しながらも挨拶だけは済ませておく。

 んー、やっぱり新しいクラスだからかみんなまだ硬いなー。それにしても疲れたなー、まさかあんな足の速い先生がいるなんて。結構足には自信があったんだけど、びっくりだよ

 などと考えているとぽんぽんと肩を叩かれる。

 振り返るとそこには先ほどの先生が怖いほど笑顔で立っていた。

「え!?なんでここが分かったんですか!?」

 僕は素っ頓狂な声をあげてしまうほど驚いていた。

 だって一瞬顔を見ただけでどこのクラスかなんて分かるわけないじゃないか!

 って思ったけどよく考えたら先生が最初に"新入生"って言ってたし虱潰しに探したらそりゃ見つかるか……あはは……。

 竜也のほうへ助けを求めようとしたがもう一人のガタイのいい先生に掴まっていた。

「普通の生徒だったら一旦職員室に行って名簿取らないと分からなかったかもしれんが、お前ら二人は特別なんでな」

 へ?特別?どういうことなんだろう……?

 全く理解できない僕とは違って竜也はハッと声を上げる。

「まさか、中学の先生から忠告でも受けていたのか!?」

 なにそれ!ひどい!そんなわけないじゃないか!いくら毎日先生たちに怒られていたからってそんなひどいことするわけ―。

「その通りだ、とてつもないやんちゃで一昔前の悪ガキよりバカな生徒たちなので要注意してくださいって念を押されていてな」

 あったよちくしょう……。まさか先生たちがそこまで僕らのことを警戒してたなんて予想外だったなー……。

 初日から先生に怒られちゃったよちくしょー。

「とは言ったが今日は初日だしな、道に迷ったとか適当なこと言ったとしても頭ごなしに否定はできんからな。本音を言えばそう事前に何度か来た事あるから迷うわけはないだろうって言ってやりたいが、今日のところは注意だけで済ませてやる。だが次からは容赦しないからな」

「次からは気を付ける努力をさせていただきます!」

 やれやれ、とため息を零しながら先生たちは教室を出て行った。

 少しして呆然と立ち尽くしていた先生が手を叩く。

「えっと、君たちが二宮夏樹くんと吉田竜也くんかな?」

「あ、そうです!二宮夏樹です、よろしくお願いします!趣味は動くことならなんでも!」

「彼と同じ室蘭中学から来た吉田竜也だ、趣味は体を動かすこと。これから一年仲良くしてくれると嬉しい」

 二人の唐突な自己紹介に誰か一人が拍手をし、次第にクラス中が拍手するようになった。


 何はともあれ、こうして彼らの暴走気味な高校生活が幕を開いた―。

はじめまして、鳳凰院病棟です。

あまり文章を書くというのは得意ではなく拙い文章となっているかもしれませんが、どうか温かい目で読んでくださると書いた本人としては嬉しいです。

三週間~四週間で更新出来たらいいな……

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