第1話 なんか生きてる
と思ったんださあ、なんか生きてるんだよねぇ…
あの後…トラックに轢かれて意識を失った後。はじめに感じたのは光。そして目を開けた。記憶のある最後(最期?)から想像してここは病院かと思ったけど違った。目に映ったのは西洋風の天井にシャンデリア的な室内照明。これが病院だったらどんな所だよ、と突っ込みたくなるくらい時代錯誤で違和感バリバリの風景だった。
もしかしたらこれが天国か?とも思った。思ったけどすぐに違うとわかった。
次の瞬間、僕は持ち上げられた。もちろん物理的にだ。
高校生男子、しかも特別小柄な訳でもない僕を持ち上げるなんて!
持ち上げたのがゴリマッチョなオッサンならまだわかる。
でも僕を持ち上げたのは女性だった。
その女の人はなにやらよくわかないことをいいながら僕を見つめてきた。女の人は白い頭巾?いやちがうな、給食の時に頭にかぶるやつ、なんだっけ?まあ、それをかぶって白いエプロンをしていた。
この格好を見れば僕でもわかる。あれだ、ずっと前に母親がテレビで観ていた貴族の日常モノの海外ドラマのシーンで出てきた、乳母さんの格好。それによく似ている。
もしここがそういう世界なら、中世ヨーロッパ系の世界なら彼女はそういう役目の者で、僕はそれを受ける対象。
つまり…僕は乳児。
気づいた時思ったね。これは、あれだと。転生だ。
この時の僕の思考
①mjk
②ごめん、恵里。生まれ変わりあったわ。
③もしかして:天涯孤独じゃない?ぼっちじゃないですかヤダー
④てかこれあれじゃね「見た目は子供、頭脳は((ry」
⑤でも精神高校生で扱い乳児ってなにそれどんなプレイだよ
ほんとに、生まれ変わるなら精神も乳幼児にして欲しかった…これから赤ちゃんプレイとか…何その罰ゲーム。
とかなんとか考えてると部屋に誰か入ってきた。乳母さんは入ってきた人ーーこれまた女の人だ、ーーに僕を抱きながら礼をした。
入ってきた人はなにやら話しながら近付いてくる。この人はなかなか地位のある人らしい。乳母さんが少し緊張してるのがなんとなく伝わる。
そして乳母さんは女の人に僕を渡すみたいな動きをした。女の人はこれに応じて、僕を抱き抱える。
すごく綺麗な人だ。真っ直ぐな長い髪は殆ど透明な水色、肌はこれまた透き通るくらい真っ白。美人ってこういう人のことを言うんだと思った。
そして伝わってくる暖かな感情。あぁ、この人が今世の母親か。僕は無意識に思った。
母は僕に語りかけてくる。何を言ってるかは全く分からないけどこれだけは分かった。
「※※※※※、ユークリッド…」
どうやらこれが僕の今世の名前らしい。