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英雄のご子孫ご一行(仮)  作者: 赤月
辺境の森での日々
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辺境の森②

 辺境の森の規模から考えれば、家の場所は、入り口といっても過言ではない。小川とそれが流れこむ湖があって、天気のいい日は釣りもできるから便利といえば、便利だが、交流のある妖魔や妖精の集落は森奥深い。辺境の森周辺に人里も無いためそう滅多に人など来ないのだからみんなもっと私の家付近に集落を作ってほしいと思う。まぁ、私の一存だけでうまくいくなら今頃、妖魔と妖精が手を携えて仲よく暮していただろう。


 「まぁ、だからこそ妖魔でも妖精でもない私が、必要ななんだろうけどね。」


 私のつぶやきなど気にもせずにハティとスコルは、木の根元の臭いをかいでみたり、赤い怪しげなキノコをつついてみたりするので、その都度注意していると、まるで子供の遠足を引率している気分になる。


 「フレイヤ、お昼まだ?」


 「お昼まだ?」


 しばらく歩くと前を歩いてる2匹が振り返り、つぶらな瞳で首をかしげ聞いてくるとあまりの可愛さのあまり早すぎるお昼にする誘惑に駆られるつつ、あやしながら歩いていく。


 突然、2匹が鼻をひくひくさせ、周囲を探り出した。何かがいるのだろう。動物かもしれないし、妖魔や妖精や魔獣かもしれない。


 「なにがいるの?」


 「いい臭いじゃない。」


 「おいしい臭いじゃない。」


 「???」


 ハティもスコルの話している言葉は、犬人(コボルト)語で普通の人には、ワンワンとしか聞こえない。だけど、召喚術により召喚主は、所有する召喚物の言語を理解できるのだが、いまいち要領を得れないでいる。これは、犬人(コボルト)語の語彙が少ないのか、召喚術の限界なのかはわからない。私の召喚術も正式に学んだのではないからかもしれないけれど・・。


 「フレイヤ、ここで待つ。」


 「俺達みてくる。」


 そういうと、止める間もなく、あの短い脚でどうしてそこまで早く走れるのかと聞きたくなるぐらい速度で、追いかけるもののしばらくすると見失ってしまった。


 「もう!!召喚主(わたし)おいていかないでよ!!」


私は立ち止まって待つしかない。ハティとスコルがいないと家にも帰れないだろうから。ちゃんと戻ってくるのかな?と心配する間もなくすぐに2匹は帰ってきた。


「オオカミご飯中。」


「小さくてまずいご飯。」


2匹は眉間に皺を寄せて、よくあんなの食べるよね。と言いたげな表情で、顔を見合わせると戻ってきた方向とは違う、別の方向に向かって歩き出したが、この子達がまずい臭いって表現するのは‥


「あっ!!そのまずい臭いのところに連れて行って!!」


この子達がまずい臭いって表現するのは、嫌いなものだ。野菜や果物すらまずい匂いなんて言わない。お養父様と後は妖精だ。

私に言われてしぶしぶ連れて行ってくれた先には、オオカミが、手のひら程の何かをくわえ巣穴に入ろうとしているところだった。


「やっぱり!!待って!!」


私が突然現れた事で警戒されたのだが、ハティとスコルが、なにやらガウガウ言うと、小さなものをくわえながら巣穴前でちょこんと座ってくれた。

さすが犬人族。犬語か狼語だか知らないけど、お話ができるんだ。


「ハティ、スコル。オオカミにその子を離してって伝えて!!」


私の様子を見て2匹で顔を見合わせるとハティとスコルはオオカミとガウガウと吠えあっている。私には理解できないけど、たぶん説得してくれているんだろうけど、話の内容がわからくてもどかしいわ。


「オオカミご飯久しぶり子供お腹すいた。」


「ご飯邪魔良くない。」


「じゃこれと交換って伝えて!!」


私はポーチから今日のお昼ご飯予定だった干し肉をオオカミの前に置くとハティとスコルが、再びガウガウと言い出し、オオカミは咥えていたものをそこにおいて干し肉を巣穴に運んで行くのであった。


「ありがとう。ハティ、スコル。助かったよ。」


 2匹の頭を感謝いっぱいに撫ぜてあげるが、2匹はどこか難しい顔で私を見上げていた。


「どうしたの??」


「お肉俺の」


「お昼ご飯なくなった。」


 「えっと‥」


他のことは疎いのにどうしてご飯に関しては聡いのだろうか。


 「とりあえず、この子怪我してないかな・・。」


 私は、オオカミにくわえられていた子で話をそらした。

 髪は金色で、色白い大きさは手のひらぐらいと典型的な妖精だ。怪我はなさそうだけど・・・。この森で見たことがある妖精族は、緑髪の木妖精(ドライアド)と青髪の水妖精(ウィンデーネ)だけだけど、金髪ってことは、土妖精(ノーム)だろうか?仲間たちと集団で暮らす妖精のはずなのに1人なのかしら?それともはぐれた?


 「血臭わない。」


 「怪我ない。」

 

 2匹が鼻をひくつかせ、妖精さんの匂いを嗅いでくれたのだから怪我はないのだろう。


 「そっか、なら気を失ってるだけなのかな?」


 水筒を取り出し、小指の先から小さな水滴を口元に落としてあげと、そのまま喉を鳴らして、飲んでくれたようだ。


 「ん、とりあえずは、無事生きてるのね。」


 「フレイヤ、それ食べる?」


 「それまずそう。」


 いや生きてるし、いや死んでても食べませんから。なんでもかんでも食べるか食べないかの判断しかしないのは、本当にどうかと思う。


 「とりあえず、一番近い妖精村って、空の柱村よね?」


 私の質問にうなづくハティとスコル。こういう自然の中の方向感覚は本当に頼りになる。私なんて、今どこ歩いてるかさっぱりわからないもん。


 「じゃ、急いで向かおうか。」


 「ご飯。」


 「ご飯。」


 「・・・・。さぁー行こうか。」


 私は、ハティとスコル のつぶやきを聞こえないふりして、歩きだした。


 「フレイア、こっち。」

 

 「フレイヤ、そっち違う。」


 ハティとスコルの指さす方に方向転換して、歩きだす。この子達居なかったら、たぶん私は、森の中で迷子になるんだろうな・・・・。

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