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英雄のご子孫ご一行(仮)  作者: 赤月
プロローグ
7/38

最後の決戦。~そして悪は・・。~⑥

 俺の魔力が、上方に放出されると魔力は、色とりどりの光の筋に分かれ、綺麗な放物線を描き、全ての目標に向かっていった。

 次の瞬間。爆裂音が響き渡り、視界ゼロに近い土煙があがる。そして周囲には、どこか鉄のような金属臭がただよっている。

それもそのはず、絶対(チート)的破壊光線は、周囲探知(レーダー)能力で、感知、標的(ターゲット)したものに必ず、直撃(ヒット)し、そして、爆発する。それも体全体が、四散するほどの爆発力をもっているのだから。

 なぜこんな臭いがするのかは、わからないが、金属臭は、標的(ターゲット)の血液だろうと推測できる。


 「ん~。この吐き気を覚えるこの臭いは、いつ嗅いでもいい匂いだ。(フクロウ)が、この能力をばらすから計画を早めてしまったが、まぁ、いい。十分な犠牲がでただろう。そう、英雄王たる俺の栄光を知らしめる事ができるほどの犠牲者がな!!はっはっはっは!!」


 周囲の土煙が、風に流されると俺の周囲には、無残な死体が転がっている。赤や緑といったさまざまな血液が飛び散り、だれがどれだけわからない。手の形すら残っていない。召喚魔はもとより、俺の煽動に騙された愚かな兵士達すら立っているものなどいない。周囲探知(レーダー)で見えた『赤い点』は、俺の敵だが、『青い点』は、俺の味方だ。その全部を標的(ターゲット)として、放った結果なのだから当たり前だ。


 「これぐらい犠牲がないとな。まぁ、ほぼ計画通り♪俺を残し全滅、そして俺1人で全ての敵を葬った。俺は、悲しみ涙ながらに言うだろう。『英雄とは、俺の事でない。皆の為、盾となった兵士達みんなが英雄である!!』と、感動し涙ながらに英雄王と連呼する民衆。そして俺は、魔王をそそのかし、生贄にさせた北の2国の領土とこの平原を我が国の領地に加え、この大陸で一番の国にするのだ。そしてゆくゆくは、この大陸全土を・・。」


 おっと、俺事、英雄王の栄達の道を思うと感激のあまり計画をばらしてしまったぜ。


 「大陸全土を・・・。の続きはどうするでござるか?」


 「!!ど、どこにいた!!」


 俺の目の前に突如現れた(フクロウ)。どこにいなかったはずだ。そして、周囲探知(レーダー)には、先ほどまで赤も青も標記されていなかったはずだ。今は、今は赤い点で存在している。なぜだ!!


 「そこまで余裕の無い顔を見るのは、初めてでござるね。拙者の部族は、暗殺が家業でござる。一撃で致命傷を与える事もそして、隠れるのも訓練されているでござるよ。」


 「馬鹿な!!隠れたモンスターだろうが、なんだろうが周囲探知(レーダー)が、見落とすわけがない!!」


 そう、今までこんなことは無い。ダンジョンの中で隠れ潜むモンスターだって、宝箱に化けたミミックだって、今まで看過してきたのに・・・。


 「馬鹿なといわれてもこの通り、生きているのがその証拠でござるよ。で、魔王をそそのかした?これが計画?それは真実でござるか?」


 「・・・。あぁ、その通りさ!!俺と宮廷召喚士殿の策略よ!!奴は、戦争孤児になった幼女を一手に引き取り、変態肉林(ハーレム)を!!俺は、強い国を作るのには、犠牲が必要なんだ。わかるだろ?(フクロウ)。犠牲があれば、残った奴らの団結するんだから。後は、それを誘導できる強い奴がいればいい。もちろんその強い奴は、清廉潔白でないといけないんだよ。だから!!」


 俺は、剣を振り上げた。(フクロウ)が、暗殺や隠行に秀でていても真正面から殺しあえば、俺のほうが強いはずだ。俺には、絶対(チート)的防御があるから傷をつけることも・・・。


 「なっ!!」


 地面の感覚が急に失われ、足元をみると地面が、引き裂かれている。いや違う、これは奴の空間転移だ。もちろん空間が引き裂かれようが、飛べない者は、地面の方に落下するのは、誰であろうと同じのようだ。


 


 「拙者の『空間転移』は、1日に3度までしか使えないわけでは、ござらぬよ。4度目使うと入っても二度と出れないらしいでござる。理由は簡単。4度目を使うと拙者の『空間転移』が、もう二度と仕えなくなるからでござる。落ちた先がどうなっているか、誰も帰ってこないから知らないでござるが、勇者殿でござったら生き延びれるかもしれませぬな。とりあえずさらばでござる。ニンニン。」


 (フクロウ)のセリフの出だしの部分だけは、どうにか聞こえたが、途中で俺の体は、完全に空間の裂け目に吸い込まれ空間が閉じた為、聞こえなかった。


 「(フクロウ)!!おぼえていやがれ!!」


 上下左右がわからない空間にはただ、俺の声が吸い込まれていくだけだった。






 「・・・・・・。ここは・・・・・?」


 周囲を見回しても見覚えがない場所だ。薄暗い目がまだ霞んでいるようだ。

 頭が重いな・・。と思い頭に被らされているものを外す。兜でもなく、なにか管のようなものが、数本出て、床に這っていた。


 「ん・・・・・。」


 左隣にも同じものを被らされている人間、右隣にはミイラがいる。私もこのミイラのようになっていたのかもしれない。


 「そうか・・。宮廷召喚士殿の名を騙った手紙で、体育館裏に呼び出され、そこにいた魔王に気絶させられ、連れてこられたのか・・・。魔王め、私の宮廷召喚士殿への恋心を利用したのか・・・。それなりに似ていたが、あの宮廷召喚士殿の英知の数だけ刻まれた皺の数までは、真似はできなかったらしいが、

こいつ(魔王)でも同じような老人だからいいかと思った隙をつかれたようだ・・・。」


 目を数度こするとぼんやりと見えていた視界がはっきりとみえる。10メートル程前方に、人影と光る赤い石がみえるが・・。あ、あれは!!


 後姿だが、宮廷召喚士殿だ。私を救いにきてくれたのか・・・。


 「宮・・・・。」


 声をかけようとしたが、つぶやきが聞こえた。


 「さらば兄じゃ。この娘は、ある程度大きくなるまで愛しんでやるからな・・・。ぐへへへへへ。」


 顔の皺を邪悪にゆがませ、赤子を抱えている。魔王か!!危うく騙されかけた!!


 私は、左手の甲に刻まれた神の聖印に祈りをささげる。私がお使えするのは法と掟の女神。もしあのものが、宮廷召喚士殿をかたる悪の根源である魔王ならば、聖印から裁きの剣が、出現する。そして、善人たる者なら祝福の輝きが現れる。宮廷召喚士殿ならば、輝きが現れるはず。


 「やはり、あれは魔王か・・。」


 聖印は、黒く輝くと黒い裁きの剣が現れ、私はそれを両手で構えた。いくら最大級の悪を裁く「黒き断罪」とうよばれる裁きの剣が現れ、それを振るう私もそれなりに鍛錬を積んでいるとはいえ、奴は、魔王だ。慎重に近づき、悪魔の嗚咽を漏らしている魔王を背後から一気に剣で貫いた。


 「魔王覚悟!!」


 突き刺されても魔王は、死なないのか、ゆっくりと魔王が振り返った。その顔は、やはり宮廷召喚士殿とそっくりに化けてはいるが、もう騙されない。法と掟の女神は悪と判断したのだからお前は、魔王なのだから。


  「魔王め!!また人をたぶらかそうと宮廷召喚士殿の真似をして!!拉致された時のようにもう、騙されはせんぞ!! ん?今度は、赤子までも連れ去ってきたか!!どこまでも外道め!!」


 赤子を抱いている事に魔王の肩越しから見え気がついたが、魔王が、信仰する異端な悪魔に生贄にささげようとしていたのだろう。そんな事はさせるものか。


 「リンク殿勘違いじゃ・・・・。私は・・・。」


 魔王め、まだ私を騙そうとするか!!私は、さらに裁きの剣を深く刺し、剣をひねりえぐり抜く。いくら魔王とて、人だったのだろうか、そのまま魔王は、膝から崩れた瞬間、黒い炎が足元から魔王の体を灰にかえていく。悪魔との契約の末なのかなんなのかはわからないが、私は、急ぎ赤子を魔王の手から奪い取り、足早にその部屋から出たのであった。


 「この子は、どこの子なのだろうか・・・?」


 親がいるなら親の元へ返してやらねばならないだろう。きっと法と掟の女神のめぐり合わせだ。私の実家で育てればいいだろう。そしてゆうゆくは・・・・。


 私は、長い螺旋階段を登り、地上をめざしたのであった。




 魔王を討伐したものの、皆を率いた英雄王、そして単身乗り込んだ宮廷召喚士殿。両名とも行方はわからず、平和を導いてこの大陸を去った説や神々の仲間入りを果たしたなど伝説に記しているが、真実は不明だとされている。だが、とりあえず、悪は滅びたのだ。ただそれだけは、貴族も農民も実感していた。

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