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英雄のご子孫ご一行(仮)  作者: 赤月
森へ行こう
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引き籠りな冒険者③

 「なにかわからんみたいだな。」

 

 僕が黙っているのをこの宝石がなにかわからないから黙っていると思い込んだのか、ギルが、説明をしだした。


 「これは、今、貴族や富豪達の間で大人気の・・。」


 「「隷属妖魔(ペット)の卵」」


 言葉をかぶせた事に一瞬呆けたギルが、すぐ片口の端を釣り上げ、普通ならニヒルな表情をするが、厳つい顔にされても怖いだけですから・・。

 さすがにひきこもりな僕でもこれは知っている。それぐらい巷で話になっている。どこそこの貴族様は、がめつい性格だからやっぱりゴブリンが出てきた。とか人気の舞台女優は、美しい声で鳴く招死鳥がでてきたとか、そんな話題ばかりだ。

 仕掛けを言うのは簡単。この従属妖魔(ペット)の卵に一滴の自分の血をたらすとその人の性格にあった妖魔が、生み出される。生み出された妖魔は、血の持ち主に従属するというわけだ。そういうのは簡単だけど、この工程の中に高度な魔術が含まれている。

 まず妖魔限定だけど召喚魔術。契約もしていない妖魔を召喚するという魔術の仕組みは、17年前に魔王と呼ばれた召喚術師が確立したらしい。

 そして、その妖魔を従属させる従属魔法。これは、帝国ではよく見かける魔術だ。奴隷の人や妖魔などに多く利用されている。従属させられると承諾した者に対し、主の血液を媒介にし、主の定めたルールを破ることで、苦痛を味あわせる。必要なのかもしれないけど、奴隷制度のなかった共和国育ちの僕には、なじめない魔術の一つだ。

 そしてまだある。性格にあった妖魔を選ぶのはどんな仕組みなのだろうか?高等魔術学校では、そんな魔術は習わなかったと思う・・。授業の大半は寝てたから何とも言えないけど・・。

 とりあえず、そんな魔術がいくつも複合したこんな宝石は、貴族や富豪な人しか手に入らない。しかも製造元も不明で、どこから流通しているのかも不明で、巷を騒がせているアイテムの1つだ。


 「で、その卵を売って、仲間を募れとでも?」


 たしかにその卵をうれば、多くの冒険者や傭兵を雇えるけど、それじゃ調査じゃなくて討伐にならないのかな?しかも金貨の切れ目が縁の切れ目っていう格言通り、雇用期間が終わり次第裏切られるかもしれないと思うと気が進まないんだけど。


 「そんな連中と組むのは嫌だろ?」


 また僕の頭の中を見透かしたような答えが返ってくる。理解しているなら話をどんどん進めてほしいよ。早く断って、家に引き込もたいのに。


 「だから、この卵は、お前の血で孵化させるんだ。」


 「はぁ?」


 高額なアイテムを僕の血で孵化?そしたらその生まれてきた妖魔は、僕の専用隷属妖魔になるわけで、ギルにとっては損失じゃないのかな?


 「孵化させた妖魔で、夜寝る時に任せたらお前ひとりで、辺境の森の探索できるだろ?」


 たしかに隷属しているならある程度安心して任せられるけど、そんな都合のいい妖魔が召喚されるのかな?言葉を理解できない昆虫型妖魔とかだと難しいんじゃないのかな?オオカマキリが出てきて、主以外のその周囲の人を惨殺したって噂もあるし、今オオカマキリだろうが、妖魔程度が召喚されたところで、ギルのこぶしで突き破るだろうけど、それじゃ、高価なアイテムが消えてなくなる。やっぱりギルが一方的に損しそうだ。後で代金の請求が来るのか、この依頼に裏があるのかだろうな。どっちにしても危険な香りがしてそうだ。どうにか断ったほうがよさそうかな。


 「そりゃ出てくる妖魔しだいだろうけど、それって何が出てくるかわかんないんでしょ?」


 僕の言葉を聞いて、ギルはまた怖いとしか言いようのない不敵な笑いを浮かべた。


 「それが、これから出てくるのは、たぶんピクシーなんだ。」


 その契約者の性格に合わせて出てくるんじゃないの?それとも僕だからピクシーがでるの?頭の中でいくつもの疑問が浮かびそれが顔にでていたのか、ギルは、話を続けた。


 「今、南都に絶対に当たるっていう噂の占い師が来ているのは知ってるか?」


 僕は、なにも言わず首を横に振った。占い師?しかも絶対にってありえなくない?未来の事を言い当てるなんて無理だろう?絶対に当たるなら占い師じゃなくて預言者になるんじゃないのかな?


 「そか、まぁ、それなりの極秘情報で、その占い師が来ているって情報があってな。話のネタついでに占ってもらったんだよ。そしたらよ・・。」


 占い師曰く、もうじき南西方角への仕事が大量に舞い込む。それをうまくこなせば、出世が見えてくる。特に観察、報告などの仕事は必ず成功させること。引き籠りがちな奴を引っ張りだすのがいいだろう。さらに、引き籠りな奴が、行きたくないとごねるから、卵を渡せば、ピクシーが出るから1つの難点はクリアする。後は、引き籠りの犬を2匹連れた探し人が南西にいると伝えれば確実に仕事をこなすだろう。って占いに出たらしい。すごく具体的な占いじゃないかな・・・。引き籠りって僕の事だし、僕に仕事を請け負わすためにギルは、卵を用意し、そして、僕が探している誰にも言っていない家出したコボルト2匹連れた魔術師学校の学友の事まで言うとは恐ろしい占い師だ。

 もし本当にこの卵からピクシーが出たのならば、僕の意向がどうであれ、ギルは、問答無用にこの仕事を請け負わすんだろうな。もし出なくてもフレイヤがいるかもしれないなら行ってみるのもいいかもしれない。

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