表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
英雄のご子孫ご一行(仮)  作者: 赤月
森へ行こう
34/38

引き籠りな冒険者②

 「えっと、僕に向かない仕事だと思うんだけど、チームで仕事している人たちのほうがいいんじゃないの?」


 冒険者ギルドに所属する者は、大半が誰かとチームを組んで、仕事をしている。死と隣り合わせの依頼が多い中、単独で仕事達成するより複数のほうが安易になるし、仕事内容次第では、1週間以上も寝食を共にするなら気の置けない人のほうが、問題事も少なく、なにより自分の背中を任せる人を初めて会った人に任せる気にはならないからだ。でも僕にはチームがない。性格的に向かないのだ。前回のような商隊の護衛ならば、慣れたチームのほうが好ましいけど、大規模商隊ならば、チーム1つで頭数がそろわないので、僕のようなあぶれ者も同行できるので問題はない。だけど、今回のような危険な森での野宿もあるならチームであることが条件だと思うのだけど、ギルは、ついに不適格冒険者である僕を抹消するために向かない仕事をおしつけてきたのかな。


 「チームのほうが向いてるっぽく思えるけどな。よく考えろ?俺達冒険者は、物を作るより、壊す方が向いているだろ?」


 中には、なにを作る職人だったりする奴もいるけど、大半が、傭兵崩れや荒くれ者、落ちこぼれ、異端者と呼ばれるものばかりの冒険者に物をつくれだなんて依頼する依頼主は、前金を無駄にしたい酔狂な大金持ちか、馬鹿だろう。僕は、2度以上頷いた。


 「で、そんな連中は、大半が、妖魔を見て観察するよりたたきつぶすか、叩き潰されるほうが向いているんだ。」


 大半の妖魔は害獣扱いだ。食糧や繁殖など理由は様々だが、村や人を襲い人害をなす。依頼でなくても賞金首扱いしている所もあるのだ。冒険者でなくても狩人でさえ、自分で対処できそうな妖魔を退治することも多い。もちろん返り討ちに会うことも多いけどね。実際ギルの言う通り妖魔の観察し、素通りするなど、冒険者の中の異端者でしかないだろう。そして僕は、まぎれもなくその異端者だ。

 

 人に向かって襲いかかってくるならまだしもただ、人が必要以上に妖魔の領域に入り込み、そこに住んでいるからといってその妖魔を退治するというのは、何か間違っているように思える。これが、他の冒険者に知られてから距離を置かれ、チームからも排除された。そんな僕の性格に向いてるのだろうけど・・。


 「でも、僕だって、寝るんですけど、危険な所で1人で野営しろっていうんですか?もしかして、毎日近隣の村まで帰れっていうんですか?それとも誰かと組めと?」


 探索依頼で、日々そんなことをしていれば、中心部の探索ができるわけがない。冒険者ならだれでもわかる事だ。それでも日々帰る事を勧められるか、1人で野営を勧められれば、僕は、ギルからみれば、ここの冒険者ギルドでは不要な邪魔な存在でしかないと考えて間違いないだろうと思う。でも組めと言われても異端者扱いされる僕とまともに組む人はいないだろう。もし嫌々組む人間がいても僕の背中を任せる気にはなれない。無理やり依頼を受けろといわれたらまたあのときのように別の街に流れるしかないのかもしれない。それも仕方がないだろう。


 「まてまて、その顔はなんか誤解してるよな?」


 僕の考えを読んだのか、感じたのか、厳つい顔を無理やり微笑ませたのかゆがめ、両手で落ち着けと言わんばかりに上から押さえつける様なしぐさをしている。


 「もちろん、毎日、人里に戻れとは言わない。そして1人で野営しろとも言わないぞ。そして、誰かと組めとは言わないぞ?」


 そのどれでもないってかなり矛盾してないかな?確かに方法はある。たとえば、毎回、毎回転移魔法で帰ってくる方法だ。街に転移陣を書いておき、現場で転移陣を展開し発動することで、街に瞬時に替え得ることができる。またその逆も可能だ。しかし、今回の仕事なら辺境の森に転移陣を書き残さなければならず、その転移陣が少しでも消えようものなら発動しないという難点がある。さらにだ。転移する魔力も個人で負担できる量をはるかに超えており、ある程度の魔術師の数十人の魔力が必要になるのだから実現はほぼ不可能だ。帝国の元首たる皇帝クラスとなるとまれに使うらしいけど、一般冒険者の僕には、今回の依頼の報酬程度では、1度発動させる魔力を集める費用には足りないし、ギルドの支援で、行ってもすぐギルドの財政が破綻に追い込まれるだろう。

 

 「これだ、これ。」


 ギルは、大きなギルのこぶしより大きな青い宝石を胸のポケットから取り出した。


 「ってさっきまで、膨らんでなかったと思うんだけど・・。」


 「ん、それよりもこれはなにかわかるか?」


 取り出した宝石を投げてよこす。涙型の青い宝石。これだけ大きな物だし、どれくらいの価値があるのだろうか?売れば、どれだけ引き籠れるだろうか・・。


 「引き籠る為に売るなよ?」


 ギルは、僕の考えを見透かしたのか、真顔で念を押される。さすが、性格も財布の中身も把握している。行動パターンまで見透かされているのかも。もしかして・・・。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ