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英雄のご子孫ご一行(仮)  作者: 赤月
辺境の森での日々
31/38

目と目⑪

 目が覚めると木の下にリリアの木陰で、少し隆起した根を枕に横になっていた。そして覗き込むハティとスコル。

 どれくらい眠っていたのだろうか?召喚主の本の中に形成される契約の間に入っている間は、体感時間よりも短い。先ほどの会話程度なら現実世界なら一杯のお茶を飲む時間よりも短いはず、だけど、覗き込むハティとスコルの顔には、あきらかに困惑していた。にしてもなんか左目の瞼が重い。もしかして、リタが座ってるとかしてるとか?

 

 「ハティ、スコルただいま。どうしたの?」


 私が目覚めたこと事を確認し、安堵の表情を浮かべるが、また困った顔をする2匹。


 「どうしたのってば。」


 「フレイヤ、出てきた。」


 「フレイヤ、出てきた。」


 うん、それはいつもの事だから困るわけないよね。


 「フレイヤの目、飛んでった。」


 「フレイヤの目、どっかいった。」


 「そっか、飛んで行ったか・・・。って!?もしかして左目?」


 うなづく2匹。私は、急いで立ち上がると小川に向かい、川面を覗き込む。鏡ほど鮮明さはないけど、流れが緩やかな場所では、顔が映る。

 小川に映る後ろにまとめられた銀色の髪は変わらない。森の中で生活していたというに奇跡的に小さな傷もなく、乱れたところもない顔には、苺実の瑞々しさのような唇に弓型に整った髪と同じ銀の眉。その下には、学生時代から初対面の人に冷たい人と思わせていた青い瞳の目が右にしかなかった。

 左目の青い瞳がある場所には、赤い六芒星が描かれていた。


 「・・・?なにこれ?魔眼の代償に持って行かれたってこと?じゃ、魔眼はどこに?えっ!?」


 私が、魔眼の事を考えたとき瞬間、なにも見えてなかった左目に右目とは違う光景が見えた。右目に見えているのは、小川を覗き込む私の顔。そして、左目に見えているのは、木の近くに流れる小川で、銀髪を後ろでまとめた少女と、その後ろに立っているコボルトが2匹という光景だった。

 私は、後ろを振り返ると、右目で見えたのは、ハティとスコルが心配そうな顔で、私の後ろに立っている。そう今でも左目で見えているのは、私たちを上空から見えた姿だ。

 空を見上げるとそこには、青い目が浮かんでいる。私の目とは言い切れないけど、この状況だときっと私の目だ。その目の周囲に黒い毛が生えており、宙に浮かんでいるのだ。


 「魔眼!?魔眼でしょ?」


 返事は帰ってこないが、ゆったりと浮かんでいた目が降りくる。いや降りてくるというより、上空から花弁がマイ落ちるがごとく、ふわふわとゆったりと落ちてくる。左目の視界にも私が徐々に近づいてくるが、以前のように視界が2分割されることによる気持ち悪さに耐えれなくなり、私は左目の瞼を閉じた。すると魔眼の視点であったであろう視界も瞼の暗闇で見えなくなった。その間にもゆったりと舞い降りた魔眼は、私の肩に止まるのであった。


 「魔眼、なにかいってよ。」


 話しかけるが、返事などせず、私の肩に止まっている。


 「フレイヤ、それ口ない。」


 「口ないしゃべれない。」


 ハティとスコルに言われて、肩に止まった魔眼を観察してみる。青い瞳の目玉に普通なら瞼に包まれていそうな所には、黒い毛で覆われている。その上には、青い逆三角マークが浮かんでおり、召喚魔である事は一目瞭然である。ってそうだ。召喚魔なのだから召喚主の本にカードが入っているはずだった。


 私は、召喚主の本(コレクスクッチャー)を手元に出すとページを開く、カード枚数は4枚。魔眼が第二形態に進化する前から枚数はかわってないのは、あたりまえだ。見慣れないのは1枚。このカードが、魔眼だったものだろう。カードを見てみる。


 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 名前:ナルス

 カード名:浮遊する目

 種族:魔眼第二形態

 召喚主:フレイヤ

 Lv:★

 攻撃力:★

 防御力:★

 速度:★

 知能:★★★


 スキル:隠密行動

 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 『浮遊する目』という妖魔・魔獣は本でも見たことがない。でもナルスという名前は、魔眼本人が自分につけた名前なのだから間違いなく、あの魔眼なのだろう。にしてもステータスが、以前と違い攻撃力の項目が格段に下がっている。集星しても期待できる威力はもてそうにないだろう。スキル項目の隠密行動と体の小ささ、速度は遅いけど、浮遊する移動の仕方。そして、ナルスの見えている光景が私の左目に見えるという要素を考えれば、第一形態の攻撃型から極端に方向転換して、偵察型の召喚魔に進化したということだろう。


 「・・・。ということは、うちの戦力がた落ちってこと!?」


 私の叫びにハティとスコルは不思議そうな顔をし、魔眼改め、ナルスは目玉全体で頷いていた。

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