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英雄のご子孫ご一行(仮)  作者: 赤月
辺境の森での日々
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目と目⑧

 「残念ながらまだ、キラービーがいるってことね・・・。」


 ハティとスコルが、先ほど倒したキラービーに近づいていく。キラービーを食べることはできないけど、いやもしかしたらゴブリン達は食べるかもしれないけれど、カードが入手できるかもしれないし、新鮮なキラービーの針からは、麻痺薬が滴っているはずだし、針を持ち帰ると薬士が、買い取ってくれる。煎じれば、軽い麻酔薬になるらしいのだ。それを回収してくれようとしてくれるのだろうけど、


 「ハティ、スコル、気をつけて!!」


 と私がいう間にも、後方のキラービーが、近づいたハティを大顎でかみつこうとした。致命傷になるであろう傷を負い、立ち上がる事もできない為、不意打ちであろうともハティが下がってかわす。


 「昆虫系は、頭をつぶしたりしても動けるぐらい生命力が強いから気をつけて。」


 あらためて、私が注意をすると、ハティは腰の短剣を引き抜き、再びかみつこうとするキラービーの首を切りつけ、落としたのであった。それでも顎をかみ合わせているキラービーの頭部にスコルが、短剣を突き付け、やっと動きが止まった。


 「べたべた~。」


 「べたべただね~。」


 ハティとスコルは、短剣についたキラービーの体液らしい粘着性のある液体をはがそうと刀身に砂をかけ、こそぎ落とそうとするが、うまく落ちないらしい。噛みつくわ、体液で剣が使い物にならないわで、死体でも厄介なようだ。


 「ハティ、スコル、戦利品の回収はいいからね。そんな間もくれなさそうだし・・・。」


 そう、首を落とされたキラービーの死体をよじ登って、さらにキラービーが迫ってくる。仲間の死体のせいで、うまく進めないようで、先ほどまでよりも遅い速度だが、死体を踏みしめ、邪魔な羽は、かみちぎってでも前に進んでくるのだ。


 『いいぞいいぞ。皆、我の糧となれ!!』


 魔眼だけは、テンションが上がってるようだけど、目の痛みと吐き気が止まらない私を筆頭にショーンもハティやスコルでさえもあきらかにテンションが下がっていく。あとどれだけ羽化しているのだろうか?もしかしたらこうやって退治している間にも羽化場では、次のキラービーが羽化しているのかもしれない。そうなると絶望的な数を相手にしなくちゃいけないだろう。

 そして、1匹目が、頭から腹部まで貫通させたキラービーの上にのしかかるころには、別のキラービーが姿をあらわしている。


 「・・・。もう少し下がるわよ。まだ後ろにいるかもしれないし、見えてなくても運よく魔眼で、ダメージを与えられるかもしれないから・・・。」


 誰も何も言わず、いそいそと入口に向かって下がっていく。立ち止ったのは、たぶん入口と羽化場の中間点ぐらいだろう。


 「質問があるんだけど、ここから羽化場まで届く?後、ダメージを与えた対象の数は、知覚できる(わかる)の?」


 『むろん、届く。必要ならダメージを与えた具合や箇所もわかるぞ。』


 線虫のような体をしていてもさすが魔眼だ。膨大な魔力を消費するだけの寄生虫ではないってことね。魔眼の存在自体が珍しく、辞書にも『目に寄生する妖魔の一種であり、目から体を乗っ取る事もある。』とだけしか書かれていないほど、解明されていない妖魔なのだ。その魔眼を召喚魔として使役している私は、世界でも数少ない召喚士だと思う。人間社会に戻る事があれば、魔眼の生態を世間に知らせれば、学者としての地位が確立できるかもしれないわね。


 「面倒だろうけど、見えなてない分は、報告して、ハティ、スコル、どっちか、外まで走って、トルクちゃん達から槍を2本借りてきなさい。切りつけてたらきりがないわ。突くなら多少粘ついても大丈夫でしょ?その短剣はもっていって、リタに預けてきなさい。」


 「わかった。」


 「わかった。俺行く。」


 スコルがハティから短剣を受け取ると走っていく。魔眼以外に対抗手段がないのかな。リリアがいればと思うけど、ほんと爺が言う通りだ。召喚魔を増やすか、なんらかの手段を考えておかないとだめだろう。ショーンの事に続き、この件が無事終えたら考えることが増えたわね。後4発撃つまでで、ゴブリンの村からなんらかの対抗手段がくればいいけど・・・。


 『来るぞ。』


 「め゛ぇ~。」


 魔眼とショーンが同時に私に警告を発した。がスコルがいないハティからの警告がない。


 「効率よくね。」


 『重ねて承知。』


 明かりの中に再び大顎をかみ合わせるキラービーが浮かび上がった。個性というものを感じないほど、先ほどのキラービーと見分けがつかない。そして、思考もないのか、ただ、まっすぐ進んでくる。純粋な昆虫型は、ごく少数の例外を除いて、召喚契約を結ぶことはできない。本能にしか従わないからと習った事がある。

 徐々に近づいてくるキラービーの後ろにもれなくキラービーがついてきている。変わり映えがないけど、一撃で数を減らせるからちょうどいいんだけどね。


 『撃つ。』


 魔眼が、言うと同時に魔法陣が展開し、青い閃光、そして倦怠感、丸薬を噛みしめる吐き気。と一連の動作を繰り返す。キラービーが変わり映えないと文句をいえたもんじゃない。私の行動も変わり映えない。


 『今回は4匹。先頭は頭部破壊、死亡。2匹目胸部から腹部貫通、死亡。』


 4匹か、さっきより倍だからまだいいってことかな。2匹目までは、見えてるから報告通りだとわかる。


 『3匹目、右脚部3本破壊、歩行不可。4匹目、羽貫通、生存。』


 「えっ!?」


 3匹目からの報告が予想外。通路のほぼ中央を貫くように放ったのに、足だの羽だけだのしか当たらないってどういうことよ?しかも生存って3匹目は、歩行困難になれば、穴から出れないからいいけど、4匹目の羽だけ貫通って、そのまますすんでくるってことだよね。

 

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