目と目③
ダンジョンというものは存在する。悪魔族が、根城にするほど巨大なダンジョンは、冒険者や探究者達が、潜り、財宝を探したり、危険度レベルが半端ない魔物には、冒険者ギルドで懸賞金すらかかっている。
ただ、今回のは、ただの巣穴で、ただ、まっすぐ掘られている。分岐もない。
『主よ、退屈だ。とりあえずこの穴に沿って、我が力を放ってみないか?』
「それって、生存確認対照に穴開かない?」
『それでも集星になるではないか。』
「却下。」
にしても、大芋虫が餌を引きずっていたとしても通るには、大きすぎる穴に思えるんだけど?なんでに大きくも小さくもない160センチほどの私が手を広げても両端に届くか届かないほどにまで大きいんだろ?
『主よ、知らぬのか?』
「なによ?勝手に思考を読まないでってば。」
『大芋虫は、蛹になるときは、周囲の大芋虫と集団で蛹になる周期的に10年だ。』
「へぇ~。さすが同じ芋虫ね。」
『我は、芋虫ではない!!線虫と呼べ!!』
どっちもかわらないというか寄生虫の線虫のほうが、低レベルに思えるんだけど・・。
『・・・・。ようするにだ。この穴の大きさは、羽化した大量のキラービーが通るための穴の広さなのだ。』
「へぇ~・・・。ってそんな大量に!?」
『正確な数は、その時によるが、我の知っている最大数は100と記憶している。』
「キラービーが100匹って、やばいね・・・。」
1匹でも手を焼くのに100匹ってしかもそれが産卵しだしたら次の羽化後には、一体何匹になるんだろう・・・。
生存確認して生きていれば、救出。それと大芋虫ないしは、蛹の数を確認し、今後のためにその対策を考えないとだめかもしれない。
しばらく行くと、先行していたハティとスコルが足を止めている。
そっと淵から覗き込むといっても光がないと見えないからランタンの明かりで照らした時点で、そっともなにもないと思うんだけど・・。
明かりが届くよりも広いらしく闇が広がっている。ハティとスコルが、天井に向いて匂いを嗅いでいるので、ランタンを高く掲げると、天井にはびっしりと茶色の何かがぶら下がっている。
『主よ、あれが蛹だ。』
「ちょっと。いったい何匹いるのよ!!」
私の声にハティとスコルが、指を折り始めるが、10を超えると数えられない2匹は、11をどうするかで、困惑していた。ランタンの明かりが届く範囲でも20弱。この洞窟の奥行きはわからないけど、20だけでも羽化すれば、脅威に思える。
「ハティ、スコル。さっきの血の臭いはどこからするの?急いで。」
「ここ。」
「この横。」
ハティとスコルが指をさしたのは、通路から視覚になっていた部屋のすぐ脇だ。蛹と同じような茶色の物質で、隙間なくおおわれているが、蛹が独特の形をしているのに対して、こちらは、繭状になっており明らかに違っている。それにハティとスコルがこれだというのだからこれに間違いない、と断言できないが、自分に言い聞かせた。一斉に羽化が始まれば、恐ろしいことになるここから一刻も逃げたかったというのが、本音だ。
私は、短剣を抜き、繭に切りつけてみるが、傷一つつかなかった。
「硬い・・・。ここでの取り出しは無理っぽいね・・。ショーン。この端っこくわえて、一緒に地上まで引っ張って。ハティとスコルは、後ろを警戒して。」
「め゛ぇ~。」
どことなく嫌そうになくショーンと無言で頷くハティとスコル。
「重い・。」
「め゛め゛ぇ~。」
大芋虫が引っ張るときに伸びたであろう、紐の部分をショーンがくわえ、私が後ろから押すが、なかなか重い。持ち込んだ大芋虫は、傾斜を降っただけだろうが、私たちは、緩やかでもその傾斜を登らなければいけないのだ。必死に押して、半分程の所で、いきなり倍以上の重さがかかってくる。
「ちょっ!!ショーンちゃんと引っ張ってるの!?」
「め゛ぇー、め゛ぇー!!」
荒々しい鳴き声で、顔をあげてみると、ショーンの行く手を阻むように1匹の大芋虫が、のそのそと進んできている。だが、ここを引くわけにはいかない。ほかに出口がある保障などはないのだから。
「魔眼。いつもみたいに上空からじゃ、確実じゃないから、串刺すように放って、ショーンにはあてないでね。」
『2匹刺したほうが、集星率が良いかと。』
「だめ!!」
『主よ。相変わらず我がままだな。では、上空から焦点を定めず、主の目を通し、魔力を集中、焦点を合わせる故、負担が増えるがよいか?』
「なんでもいいから早くやって!!」
『では・・。』
左目の前に小さな魔法陣が描かれた。いつもなら上空から徐々に標的に視界が絞られていくのだけど、今回は、左目の視界が、徐々にショーンに向かってくる大芋虫の額にあたりをアップしていく。けど・・・。ただでさえ、魔眼に左右の視界をおかしくされているのに。そこに芋虫のドアップって気持ち悪い・・・。
私の考えなど気にせずに、左目の魔法陣が青い輝きを増していく。私の魔力が徐々に吸収されていくが、いつもより吸収されていく量が多いように思える。
『普段なら空気中に漂う魔力も利用しておるが、今回は、主だけの魔力だけだ。』
「いいから早くやって!!」
『承知。』
魔法陣の青い輝きがさらに強くなると、青い閃光が、一直線に大芋虫の額からお尻に向かって放たれ、そのまま洞窟の出口に向かって放たれた。焦げたパンのような匂いが、通路に充満し、私は脱力感に襲われるが、ここで休むわけにはいかない。
『標的死亡。主の魔力残量では、我が体の維持ができぬ為、戻らせてもらう。無事終われば、再び我を呼び出されよ。』
「・・・。無事逃げれたらね。ありがとう。」
私の言葉と同時に左目の痛みが治まった。魔眼が、自主的に召喚主の本に戻ったのだろう。
「め゛ぇ~。」
「ショーンに当たらないようにしたでしょ?ハティ、スコル前の大芋虫を脇によけて。」
ハティとスコルが脇を通り過ぎ、大芋虫を脇にどけてくれる。魔力がつきかけて膝をつきそうになるが、ショーンとともに繭を運ぶのであった。




