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英雄のご子孫ご一行(仮)  作者: 赤月
辺境の森での日々
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目と目②

 慎重に進んでいくとその先には、大きめの袋と折れた短い槍や短剣が落ちており、周囲に赤い血、それに緑色の液体、さらには白い糸状の物もあたりに散っていた。


 『大芋虫だな。』


 「魔眼もそう思う?」


 『緑の体液に白い糸で、この森。大芋虫しかない。』


 ハティとスコルはしきりに臭いを嗅いでいるけど、私も相手は大芋虫だろう。この森に来て数回遭遇しているけど、ちょっと厄介な相手だ。

 何が厄介かというと、背中の皮が分厚く、なかなか硬いので、皮の薄いところを狙わないと大きなダメージは与えられない。距離を開ければ、粘着性の糸を絡めようと吐きだすし、これが、また乾燥するまで、洗っても落ちないのだ。大芋虫を退治してもその糸が絡まっている間にほかの魔物がくると最悪である。そして、芋虫のくせに肉食であり、動きが遅いためか、粘着性の糸を地面すれすれに張り罠を仕掛けていることもある。さらになにより、緑色の大きな芋虫なんて見た目が最悪なのだ。ただ、ゴブリン達にとっては、焼いた大芋虫の肉は、おいしいらしいけど・・・。

 

 地面を良く見ると赤い血が、ゴブリンの集落へではなく、南に向かっているが、ひきづられたような後があるから、もしかしたらゴブリンが襲われ、そのままどこかにひきづられて行ったのかもしれない。血の量からすれば、致死量ほどじゃないし、生きているかも知れない・・・。


 「ハティ、スコル。血の後追って!!ただし、慎重にね。後、糸に気をつけて。」


 ハティとスコルは、うなづくと、地面の臭いを嗅ぎながら慎重に進んでいく。


 

 引きずった後は、すぐ先の地面に空いた穴に入っていく。

 穴の入り口の広さ的には、私でも入れそうで、ゆるい傾斜で、中は暗くみえない。

 巣を作るというのは、さなぎになり、成虫になるためだと辞書に書いてあった。成虫になると毒針をもったハチに似た魔獣『キラービー』になる。

 キラービーになると今度は、生物を襲い、毒針で相手を麻痺させ、卵と一緒に穴に閉じ込める。麻痺の効果は、2日ほどだが、卵は1日で孵り、近くにある新鮮な肉を食べるというのだ。生きながら自分を食べる卵が孵るのを目の前で見せつけられ、食べられるのというのは、どんな気持ちなのだろうか、想像したくもなかった。

 今回は、大芋虫での捕縛しているので、自分が、蛹から羽化した後の食事を確保したのかもしれない。麻痺すらさせられず、糸で縛られ食べられる。もがいても逃げれないのも想像したくなかった。

 

 ドルグおばーさんの集落には、初めこそ戦闘状態にあったが、リリアの献身ともいえる身を呈しからというもの特に食糧の面でお世話になっているのだ。それにもしかしたらトルクちゃんが、とらわれているのかもしれない。次期、長が虫のえさになり、ショックでドルグおばーさんが死んだら、あの集落は、無秩序になるかもしれない。と心配してしまうほど、あの集落には、あのゴブリンシャーマン達が必要なのだ。確認する必要がある。もちろん、トルクちゃんが捕まっていないが、大芋虫かキラービーかが、抵抗をするなら自分たちの安全を第一に考えるべきだとも思う。

 特にキラービーに進化し、空を飛ばれると私の召喚魔達の中で、唯一抵抗できるのは、魔眼のみとなり、その魔眼も1撃を外してしまえば、私は、麻痺そして新しい生命のえさになりかねないのだ。慎重に動いても誰も責める権利などはない。と思いたい。

 

 ポーチから折りたたみランタンを取り出し、魔力を送り込んだ魔炎石を入れるとほんわりと灯りがともる。火のように揺れることもないが、火ほどに明るくもない。ただ、風で消えることもないし、燃料切れもおこりづらいので、非常に便利なものだ。爺の手癖の悪さに感謝しなくっちゃね。

 穴を見つけてからその周囲を嗅ぎまわるハティとスコル。でもその表情には、どこか嫌そうな表情が現われていた。


 「ハティ、スコルどう?なんか匂う?」


 「じめじめ~。」


 「じめじめ~。」


 「め゛ぇ~。」


 ハティとスコルは耳をペタンと倒し、ショーンは、さっきよりも草を食む元気がないように思える。3匹とも嫌そうな表情をしているのは、湿気を嫌ってだろう。対照的にリタは、ちょっと嬉しそうなのは、土に囲まれたところにはいるからかもしれない。この子の住んでいたところは、土の中なのかな?そういえば『種族:ノーム(鉄)』って事は、金属系の精霊かもしれないけれど、妖精は資料が少ないため、詳しくしらないし、彼女自身、契約してから話しているのを聞いたことがない。あまりしゃべらない性格なのか、種族なのか。落ち着いたら聞いてみようかな。


 「とっとと終わらせるとドルグおばーさんからお肉もらえるかもね。」


 私のつぶやきで耳をピンと立てたハティとスコルは、耳を洞窟に向け、舌舐めずりすらしている。


 「そういえばドルグおばーさんは、最近いろんな草を煮ておいしそうなスープつくってたな・・・。」


 「め゛っめ゛っ~。」


 どうやらやる気を出してくれたらしく後ろ足で土を何度も蹴っている。

 私の召喚魔達は、契約ではなく食欲だけで支配されているのかもしれない・・・。でもこれはこれで使いやすくていいかもしれない。

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