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英雄のご子孫ご一行(仮)  作者: 赤月
辺境の森での日々
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しつじとひつじと私②

 小鳥がさえずっている。そろそろベッドの両脇で、騒ぎ出・・・・さない。

そうか、爺がいるからご飯は心配ないのか。


 私は起き上がり、寝室で、居間には誰もいない・・。ハティもスコルもノームですらだ。窓から外を覗き込んでみると小川の向こうで、爺vsハティとスコルで対峙している。早朝からの模擬戦だ。


 「そうです!!相手の視界の最大限の両端に来るように。そうです!!そして向かう時には、一気に詰めるか、左右に動いてフェイントをかけつつ、両方から・・・。」


 その説明をきいているのかいないのかわからないけど、ハティとスコルがナイフを握り、爺を左右から同時に襲い掛かった。 

 ハティは、右から体制を落とし、爺のふくらはぎを狙い、スコルは左から直前で跳躍し、爺の首元を狙う。が、爺は、寸前で後方宙返りで、両撃を見事にかわした。宙返り中に私のほうに爺の右手が伸びたかと思うと、次の瞬間爺の膝を無防備なスコルの脇に、そして、左手でハティの頭を持つと後方宙返りの勢いのまま投げつけた。そして、私が覗いていた窓枠に投げナイフが刺さっているのだ。


 手加減がなければ、今の一瞬で私達3人は、致命傷となっただろう。60近い白髪白髭の執事に私だけならまだしも速攻型として育ててきたハティとスコルまでとは、執事とは、恐ろしい生き物である。


 「おふたりともよくそこまで成長したでご、ざいます。すこし休憩するでご、ざいます。」


 いや、爺、休憩って・・。スコルは、膝を入れられた脇を押さえ、悶えてるし、ハティにいたっては、さかさまのまま、目を回しているから休憩するしかないとおもうんだけど・・。

 いや、それどころではない。爺が私の方にスタスタ歩いてきている。これはやばい。私は、即座に跳ね上げ戸を閉めた。逃げないと私もハティやスコルのように痛めつけられる!!

 私は寝室に向かって、小川とは逆側の窓から逃げようと跳ね上げ戸を上げると、目の前には、爺が頭を下げていた。


 「・・・・。」


 「おはようでござ、います。お嬢様どちらに?」


 家を回ってきたとしてもこの狭い家の中を移動したほうが、早いに決まっている。それに、顔を上げた爺の額には、汗一つすらない。すがすがしい笑顔だ。


 「えっと、爺おはよう・。ほら朝ごはんを取りに行かないと・・・。」


 「お嬢様、私が用意するでご、ざいますので、訓練するでござ、います。」


 「・・・・はい。」


 跳ね上げ戸をゆっくり閉めると鎧と短剣を装備し、ドアから表に出る。

小川の向こうでは、切り株に座り、優雅に紅茶を飲む爺といまだに悶えてるスコル。そしてこちらもいまだに目を回しているハティ。ハティの鼻先に小さな手ですくった水をかけ、気遣っているノーム。

 あー今日は、素敵な一日だ。後もう少しで、私もあそこで、倒れるのだから、だからといって逃げれないも知っている。実家の時何度逃げても無駄だった。教会のざんげ室に隠れても、お養父様の机の下に隠れても、シスターのスカートの中に隠れても必ず、爺に見つかり、訓練されてきたのだ。


 「さて、お嬢様、今一度失礼致するでご、ざいます。」


 いつの間に小川のこっち側にきたのか、わからないが、さすが爺だ。

 その爺は、私の額に指を伸ばし、昨晩のようにステータスカードを引き出すと「どうぞ。」と私に見せてくれた。




――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

名前:フレイヤ

種族:人族・女・17歳

職業:召喚士

所属:なし

Lv:★★

STR :9

INT :14

DEX :13

AGI :10

LUK :12


天性の才能:妖魔王:妖精、妖魔に限り召喚数増加ただし、悪魔・人族との契約不可

      集星増加(微):召喚生物の星収集率アップ

      改造(微):召喚生物のステータス微調整可

スキル:召喚術★★ 召喚契約数 2/∞

    調理技術★

    格闘術★

    短剣術★    

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 「半年前に比べてあまり変わってない・・・??」


 「いえ、ぜんぜんかわってないでござ、います。天性の才能は、相変わらず3つもあるでご、ざいますが。」


 爺は、ため息を付くとカードを私の額に戻す。


 「さて、先ほど、ハティとスコルに聞きましたが、オークが、徘徊しているそうで、今のお嬢様には、『魔眼』を召喚しないと対応できないのではありませんか?」


 ぐぅの音もでないほど、的確な読みだ。さすが爺。私が何も言い返せないのを確認し、爺は続ける。


 「はっきりって、お嬢様の剣術、格闘術でオークをどうにかしろというのは、残念ながら無理でしょう。」


 やっぱりですか、そこまではっきりわかるぐらいはっきり言い切りますか。


 「ですので、前線ではなく後衛として伸ばしていくでござ、います。」


 「・・・・。じゃ、私は訓練なし!?」


 やった!!ハティとスコルには悪いけど、がんばってもらおう。私は、見学でもしてようか。


 「訓練はないでござ、ます。その代わり契約数を増やすでござ、ます。」


 「簡単に言うけど、モンスターカードは手に入れにくいのよ?買うにしてもそんなお金ないから。」


 妖魔・魔獣を倒したところで、そうめったに出ないカードだからこそ、高値で取引されるている。今までもカードを入手できれば、私たちの貴重な食料や日用品と交換してきたのだ。


 「大丈夫でござ、ます。爺に任せるでござ、ます。まず、召喚主の本を出現させるでござ、ます。」


 爺がいうのだから、と私は、召喚主の本を出現させた瞬間のことだ。


 「えっ!?あっ!!」


 瞬時に目の前に爺がせままり、私の召喚主の本に、なにかをたたきつけた。いや、後で考えたことだけど、召喚主の本は、1つの物を除いて触れることは出来ない。唯一触れることができるのは、本の中に保管できるモンスターカードだけだったわ。私の足元に魔法陣が描かれ、そして私の視界は暗転した。


 そこは、薄暗い空間だ。もう2度も見たことあるし、驚きもしないが、モンスターカードの中らしい。召喚主の本に乗せられたカードの中に術者が入り込み、ここで、カード内の召喚生物と契約を結ぶのだが、もしも契約ができなかったら場合、モンスターカードは、煙になってなくなってしまう為、チャンスは一度きり。だから召喚士はみな契約時には、慎重に契約生物をしらべ、契約の傾向と対策を練るのだけど・・・。


 「なんのカードかもしらないのにどうやれっていうのよ・・・。」


 もうじき、私の目の前にカードの主が現れるだろう。ハティとスコルは、子狼だった。あの子達は子狼から育て上げたのだ。魔眼の本体は、小さな小さな魚だ。召喚主の目の中に召喚し、行使する。前例2件とも契約内容は、さることながら契約は、容易だったけど・・・。たとえば、ドラゴン種等だと、戦って勝てば契約、負ければそのまま食われるというのは、有名な話だけど、子ドラゴンですら私では倒せない自信がある。


 目の前の地面に魔法陣が浮かび上がる。


 「きた・・・・。」


 腰に手をやり、短剣を・・・。


 「ってなんも持ってきてないじゃない!!」

 

 私の困惑を他所に魔法陣が徐々に浮かび上がり、浮かび上がった地面との隙間に徐々に主がすがたを現した。

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