最後の決戦。~そして悪は・・。~①
「うわぁ!!」
叫んだ兵士に次々と槍が棍棒が振り下ろされる。が、その振り下ろした醜悪な小鬼や犬人達は、別の兵士達から切りつけられ、突き刺される。そして、その隙をついて、別の召喚魔達が襲い掛かっていく。開戦直後は、軍は、大盾部隊を前列に並べ、矢が飛びいる隙も無い隊列で前進し、召喚魔達に優勢だった。これが対人戦ならば、勝利を約束されたといってもよかっただろうが、召喚魔達の背後から土煙を上げ、転がってくる召喚魔が5つ。転がる先にいた味方であろう召喚魔を踏み潰そうが、気にせずに一直線に突き進み、大盾部隊をそして、その背後で、行進していた兵士達をも踏み潰していった。
幸いにも軍を縦に引き裂く前に力尽きたのかばらばらに崩れ去った。
骨玉と呼ばれる骨が絡まって出来たような外見の不死種族の召喚魔だ。ただ、転がるだけだが、平地であろうが、上り坂であろうが転がり相手を踏み潰す。星が1つ程度の骨玉は、人の頭程度の大きさしかないが、星が5つ付くほどに成長した骨玉は、家屋ほどあり、簡単に人を踏み潰す。比較的壊れやすいだが、壊れたあと、散らばった骨が組みあがり、骸骨戦士が数十体立ち上がり、周囲の兵士達に襲い掛かる。不死種族の中でも歩く死体にならび最弱といわれているが、分断され、混乱した軍との乱戦となれば、百体を超える数は、脅威だといえる。それに召喚魔という立場上、死んでも召喚主の 召喚者の本で半年も待てば、召喚可能となるのだから死の恐怖がない。さらに最初は、素手の為、引っかくなど程度の攻撃しかできなかったが、人から武器を奪い武装するしまつとなり、人が体制を整え終える頃には、前面には無数の召喚魔、そして軍を分断した武装完了した骸骨戦士達となり、徐々に軍という形は崩れ去り、乱戦となったのだった。
「数人で固まれ!!囲まれたらおわりぞ!!」
剣を振るい頭上に星が4つ輝いている中鬼の首をはね叫んだ。星が1つや2つの召喚魔ならば、1人2人で、かかればどうにかなる。今私が倒した星4つ相手でも数人で囲えば、優勢になるはずだ。数が優勢ならば、それもかなうが、程互角の数、だが、敵は、死を恐れぬ召喚魔。
「王!!お下がりください!!貴方様が、倒れれば総崩れになりますぞ!!」
目立つ金縁の鎧を着込む近衛兵長が、私の後ろで別の召喚魔を自慢の斧槍でなぎ倒していく。
「ここで敗戦となれば、私が死んだと同じであろう!!それに宮廷召喚士殿が、魔王を倒すまで、私は倒れん!!そなたこそ、下がれ。子が生まれるのだろ?ここで倒れたら顔もみれないぞ!?」
「ご心配後無用!!ここで敗戦となれば、我が子の未来もありませぬからここで倒れるのも本望でございます!!」
近衛兵長が、斧槍を振るい子鬼を突き刺していく。
「倒れることは、ならん!!生きて子の顔を見よ!!みなも生きて祖国に帰るぞ!!」
「「「「おぉっ!!」」」」
近衛兵長や周囲の兵達も剣を槍を振るいつづけていく。士気は、まだ高い。いや、ここで敗れれば、この召喚魔達の軍勢を抑える事は敵わないだろう。家族を故郷を守る為、皆決死だといえるだろう。だが、限界がある。一度士気が崩れれば、総崩れになるだろう。
(宮廷召喚士殿、早くしてくだされよ。我らの力が尽きる前に、計画がくずれますぞ・・・。)
「爺!!なんにもいないぞ?」
「ライドウ!!主に対して失礼ですよ!!主馬鹿が失礼いたしました。」
「ほっほっほ。サートゥルナーリアさん、かまいませんよ。ライドウさんらしいではありませんか。」
黒い肌にがっしりとした体格。頭はきれいに剃り上げ、両手大剣を軽々とかついでいる。剃りあがった男の名はライドウ。口も頭もよくはないが、頭上にある星がある。召還人の証だ。しかもその星が、4つもあり、最高のランクが星5つだということから考えれば、かなりの高レベルの召還人だとわかる。だが、そのライドウを叱責した金のウェーブのかかった長い髪、整った顔立ちには、どこか、冷徹な雰囲気を放っている。サートゥルナーリアと呼ばれた女性の頭の上には、最高クラスの証である星が5つ輝いている。豊満な胸を見せ付けるがごく、胸元を大きく開いた服は、ぴったりと体に張り付き、くびれを強調している。
そして、冷徹な美女に主と呼ばれた老人は、にこやかに豊かで見事な長い白髭を撫でている。
髭と同じく髪も白く、顔に刻まれる皺を見れば彼の年齢を聞く人もいないだろう。だが、この老人の白い眉から垣間見える透き通るような青い瞳は年齢を感じさせない。その老人の手には、一冊の本を持っている。星を持つもの《召還人》から主と呼ばれ、召喚主の本を持つこの老人は、召喚士なのだ。ただ、星を4つと5つというランクの召還人と契約をしているというこことは並みの召喚士ではない事がよくわかる。
「ライドウさん、ここに誰もいないということは、外が大変ということですよ。急ぎましょうか。」
「祭りは外ってことか、爺!!とっとと仕事終えて、外の祭りに参加するぞ!!」
ライドウは、主をまるで荷物のように肩に担ぐと地下に続く螺旋階段を降っていくのだった。