雛と老師と
なにやら意味深な先生の言葉……。
はたして、何が飛び出すのか!?
「例外はありますけどね……」
ぼそりと呟く先生の眼差しが、何処か遠くを見ていた。
「先生、例外って何ですか?」
ユウが聞くと、先生はゆっくりと首を振った。
「教えて下さい!人の命が懸かってるんですよ!?」
必死だった。夢が消えたら、もう二度と、その人は夢を見ることは出来なくなる。それは悲しい事だと思う。だから助けたいと強く思ったのだ。
「魂戻しの一族が居なければ、出来ないのですよ……」
「魂戻し? 何なのですか、その一族は…」
初めて聞いた一族である。きょとんとした顔のユウに、先生は苦々しい顔で、とても話してくれそうにない。
「わしが言おう、そやつには言う度胸はないようだからのぅ……」
髭を撫でながら、老師は遠くを見つめていた。まるで懐かしい事を思い出すかのように。
「この国は元々、魂戻しの一族が多くいてな、夢渡しの仕事の半分程を彼らがしていたのだ」
◆◇◆◇◆
しかし今から13年前、戦が起こった。
その2年前。王の側室に二人の女性が入った事から、全てが始まったのだ。
方や、魂戻しの一族の長の従姉妹。
方や夢に出れば良い事があると言われる、白蛇の一族の長の娘。
二人は同時に妊娠し、どちらも同じく女の子を授かった。
しかし問題が起きた。王位を継ぐ男子が居ないのだ。
それからすぐに魂戻しの娘が子をなした。その子は男子。
その翌年、白蛇の娘も子をなした。やはり男子。
そして王位を巡って、戦が始まった。
◆◇◆◇◆
「魂戻しの一族はな、その時の戦に負けたのだ、一族のほとんどの者が殺された、だからもういないのだよ、彼らはな」
希望が断たれてしまった。
でも、助けたい。
(あの魂は、きっと助けられる)
自分でも不思議な事にそう思うのだ。
「ユウ?」
ユキに呼ばれたけど、大丈夫だと笑い返した。
気が付くと、ユウは歌い出していた。まるで昔から知っているかのように、それは自然と口から出た。
――さあ、眠った魂よ
目覚めの時間が来ました
貴方を待つ大切な人の声が聞こえるでしょう?――
不思議な事に、それはその場にいた誰もが意味がわかるものだった。独特の声の出し方をするのに、だ。
ユウはただ願ったのだ。
(どうか無事に帰れますように――)
それだけだった。それをすることで、自分が何者であるのかを知ることに成るとは、露にも思わずに。
――さあ、お帰りなさい
貴方を待つ、大切な人の元へと
大丈夫、光が貴方を導くから
さあ、おいきなさい
貴方を導くその光へと
全ての闇は、夢なのだから――
歌が完成した。
その瞬間、光が輝き、魂がすうっと消えた。確認すると、何と無事に戻ったようだ。
「で、出来たぁ〜」
思わず腰が抜けた。へなへなと座りこんだユウは、その時に初めて自分が見られている事に気付いた。
「先生……?」
「そなた……魂戻しの一族の子だったのか……?」
震える声で老師が問う。
(えっ?)
老師は何を言っているんだろう?
だって今、老師が言ったではないか。魂戻しの一族は皆、殺されたのだと……。
「老師、この事は他言無用に願います」
先生の声は静かだったが、妙に力が入っていた。そしてそれが肯定である事も、何となくユウにはわかった。
「………うむ、合いわかった」
老師はしばらく沈黙した後、そうとだけ言った。
これで仕事は終わりだ。老師達は先生と自分達2人に労いを言うと、帰って行った。
こうしてうやむやのまま、ユウ達は帰還した。
あの世の自分達の家へと。
どうも、いつものお約束♪ 秋月です!!
他の方とは全く違うお話、夢渡りの姫……楽しんで頂いておりますでしょうか??
お話は、またしても新たな場所にいきますが、多分、脱線せずに行くはず……………
さて、話は変わりますが、昨日はとにかく忙しかったんで、誤字脱字が山ほどあったりしそうです。なので見つけましたら、感想にてお知らせ下さいませ。
感想ですが、出来ましたらオブラートに包んで下さると、凄く嬉しいです。なにぶん、消し飛ぶ程、小さなカスみたいな心なんで…………
宜しくお願いしますm(__)m




