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小鳥の目覚める朝は

長らくお待たせ致しました。

ちょっとは、甘い展開になっているかなぁ?

ゆっくりと意識が浮上して、最近見慣れた天井が視界に入る。

とても、とても、幸せな夢を視た。きっと、私の気持ちがあの頃を作り上げたんだと、嫌でも分かってしまう程に、幸福が詰まった夢だった。感覚的な物だけれども、脳裏に鮮やかに、ここまで鮮明に思い出せる夢が、只の夢のはずがなかった。


「姫さま! 起きたの!!?」


聞きなれた声がして、フランが嬉しそうに、けれども、どこかホッとしたように、此方を見ていた。よく見れば、涙ぐんでいるようにも見えて、ちょっとだけ笑いそうになったのは内緒だ。


「フラン、おはよう・・・お水、貰える?」


何だか、声が出しにくい。それに、何だか喉が渇く。いつもの寝起きよりも怠い体に、違和感を覚えつつも、フランからもらった水で喉を潤していく。どうやら、少し果汁が入っているらしく、飲みやすかった。


「ありがとう、フラン」


「どういたしましてなの、・・・・・姫様、若葉様がお会いしたいと言ってるの」


「若葉様が? えぇ、構わないけど・・・」


いつもは勝手に予定を入れられていただけに、今回のようなお伺いは初めてで、面食らってしまう。そういえば、夢の中の最後の方に、若葉さまが居た気がする。何か、大切な事を話していたような気がするけれど、その辺りは曖昧なままで、目覚める直前の記憶が混濁している気がする。


「朝食が終ったら、客室に案内するの」


「分かったわ」


朝食の前に、身支度をするのだけれど、やっぱり何だかふらふらとしてしまい、直ぐに疲れてしまう。私はこんなに体力が無かっただろうか?


「どうしたの? 姫様」


不思議そうなフランに、やっぱり気になって、聞いてしまう事にした。


「あのね、フラン・・・何だか体が怠い感じがするの、体調が悪い訳じゃないのに」


おかしいとそう、フランに聞いたら、何故かフランはちょっと微妙な顔になった。


「姫さま、覚えてないの? 姫さまは、3日間も寝ていたんだよ?」


三日も!? 流石に驚いた。でも、確かに夢を見ていたけど、それほど寝ていたなんて。信じられないけど、でも、それなら体が動かしにくいのも分かる。


「姫様は、自分の夢に閉じこもってしまって、それで、若葉様が主さまと一緒に解いてくれたのよ?」


余りの衝撃に、言葉が出てこない。まず、自分の力を使って夢に閉じこもる事が出来た、という事実に、驚きが隠せない。今まで、落ちこぼれだったのだ。急に自分の力だと言われても、ぴんと来ていないのに、更には夢に閉じこもる・・・道理で、幸せな夢だったはずだ。あれは、自分が望んだ夢だったのだから。


「待って、ぞれじゃあ、夢に出てきた若葉さまって!!」


「うん、ご本人だよ?」


余りの衝撃に、声が今度こそ、どこかに行ってしまったかのように、押し黙るしかない。恥ずかしい夢を、よりにもよって、若葉様に見られた!! 一気に顔を赤くして、手のひらで顔を隠した私に、フランは声をかけることもせず、朝食の準備をしている。それが無性に、ありがたかった。

結局、仄かに赤身が差した頬のまま、私は朝食を食べて、部屋を出る。美しい回廊を、フランに案内されながら、ふと、廊下が変わっていることに気付いた。


「フラン、何だか廊下が今までと違うようなんだけど・・・」


今までも、美しい回廊に変わりはなかったが、こう重厚感漂う、そんな内装だったように思う。けれども、今歩いている廊下は、明るい陽射しが眩しい、白い壁の、若々しい内装というか、観葉植物なども置かれていて、全く印象が異なるのだ。明らかに廊下が違う。


「主さまがね、気分を変える為に、たまに模様替えするのー」


とは、フランの言葉だが、いつもの舌足らずな話し方以外は、頭に入ってこなかった。それだけ、この廊下の印象は違ったものなのだ。


「今回は、姫さまが気落ちしていたから、明るい印象になるようにしたんだって」


褒めて褒めてというように、嬉しそうなフランに、微笑みを見せながら、頭を撫でる。フランは多分、気付いてると思う。私が、これからの事に、迷っている事・・・・・。

ーーーーーーーーーー道具として生きる、その道を。

誰しも、一族の為に命を懸けれるかと言えば、そういう人は、とても多いだろう。この世界は、特に。忠誠や、誇り、歴史を刻んだものを大切にする彼らは、だからこそ、滅んでいく。緑英一族のように。

それを、滅んだそれを、今一度復興する行為は、生半可な覚悟で出来るものではない。

実際に、黒麗一族は滅んでから、未だに復興の目途が立たないのだ。もう、百年は過ぎたのに。生き残り達は、復興を望んでも、濃い血の者達が居ないだけで、行えない役割は割と多い。勇猛果敢な彼らは、誰よりも戦いに強く、強靭な体を持っていたという。しかし、血の薄い者達では、一般人と変わらない程だろう。それでは、復興など夢のまた夢。

私は、そんな重い物を背負って、生きていけるだろうか。


「姫さま? どーしたの?」


きょとんと可愛らしい顔で、首を傾げるフランに、癒されつつ。私は、深くまで落としていた思考を戻して、慌てて笑顔を張り付ける。


「何でもないわ、廊下が変わってるから、驚いただけよ」


本当は違うけど。でも、驚いたことには変わりないから、フランも納得はしたらしい。


「さあ、行こう! 姫さま」


「えぇ、そうね」


仮面のように笑顔を張り付けて、私は定まらない心のまま、フランに手を引かれて歩いていく。多分、客間だろうと検討をつけて。案の定、客間には若葉様が居て、その後ろに、恐らくはフランと同じくつけられているお世話係の青年がいた。普通、皇子には護衛や側近が居るだろうに、彼は連れていない。それが少し、気になった。


「やあ、姫、目が覚めて本当に良かったよ」


爽やかな笑顔の彼に、ほんの少し、胸がときめいたけれど、直ぐにこれからの未来を思って、心が凍り付いていく。


「ご心配をおかけしました、この通り、体調は大丈夫です」


いつもと同じ、張り付けた笑顔で答えると、彼は何故か、私の手を取って、何を思ったのか、そこに口付けた。突然の事で、場の空気が凍り付いたのと同時に、私の頬が一気に熱を持つ。いや、耳も、頭にも熱が上がっているかもしれない。


「なっ・・・何を・・・!!」


先程まで凍り付いていた心が、一気に溶け出して、私を更に追い詰めていく。重い定めがある。変えられない、この宿命。私の肩に、未来がかかっている、その、はずで・・・。だから、恋なんてしたら・・・きっと、忘れてしまう。大切な定めの事。でも、暴れる程に心は喚いていて。


「ん? だって姫、僕の事、いーっさい異性として見てくれないから、兄上に教えてもらったんだ」


無邪気に言う彼は、まちがいなく気付いてやっているのだろう。フランからしてみたら、完全な確信犯である。とはいえ、恋愛初心者の姫には、流石に今回は効果があった。

未だに煩い心臓の音、そして、熱が全く引かない頬。彼からすれば、恥ずかしがっている姿は、大変可愛いものであるが、私からすれば、それは羞恥でしかなく。すっかり、心が乱れてしまっていた。


「恥ずかしがってる姫、可愛い・・・」


「何を、言ってるんですか!?」


いつもの無邪気さだけの彼は居なくて、そこに居るのは、熱い視線を向ける若葉という若者が立っていて。ふと、彼の頬に赤い線が走っている事に気付く。


「その傷・・・」


私が気付いた事に、何故か嬉しそうな彼に、思わず腰が引けた。今までの優しい彼ではなくて、別人のように思えて。


「大丈夫、これは僕が未熟な証だから」


よく分からない返答に、戸惑っていると、この日一番の爆弾発言を、この皇子様は落としてくれたのである。


「姫、緑英一族の復興が決まったよ、正式に」


先程までの羞恥も、何もかも、一気に吹き飛んだ。そして同時に、早すぎるとも思った。出会って、まだほんの少し。それでも彼が、どんな人となりをしているか、分かってきて。優しくて、無邪気で、私をからかって、でも本気だと、その目が語っている。


「僕は正式に緑英一族の総本家の当主になる、ねえ、姫、僕と一緒になってほしい」





重い定めのはずだった。心何て、要らなくなると、思ってた。必要なのは、子供が生まれればいいという、道具の道だと。そう、思っていた。

お読み頂きまして、ありがとうございます♪♪

長らくお待たせ致しまして、申し訳ありません。どうしても、展開に迷ってしまいまして(;^_^A

読んでくれてる方、いらっしゃるのかしら? かなり不安です。

次回もお待たせしてしまいますが、宜しくお願いします。

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