小鳥の出逢い
お久しぶりですm(__)m
あまりに時間がたってしまい、申し訳ありません。
まだしばらくは不定期ですが、完結はさせますので、しばらくお付き合い下さいませ。
若葉はとても明るい少年だった。ころころ変わる表情は無邪気で、いつの間にか私まで明るくなるような、そんな不思議な空気を持っている。
「君は本を探してたの? 近くに使い魔がいるはずだけど、君についてる使い魔は?」
とりあえずここにいる説明をすると、呆れたようにため息をつかれてしまった。
「フランは、星回さんのお使いで、今そばにいないんです………」
なんだか恥ずかしくなって、私は視線を下に下げてしまった。耳が熱い。
でも聞こえてきたのは、若葉の笑い声。
「…若葉様?」
恐る恐る彼の名前を呼ぶと、笑いすぎて涙を流しながら、それでも悪いとは思ったらしく、笑うのは辞めてくれた。何故、私は笑われたのだろうか?
「姫は運が良かったね!」
言われた意味が分からず、首を傾げると、若葉様は見事な爆弾を落とした。
「この家はね、嫌になる程、罠が沢山仕掛けてあるんだよ、だから客の安全の為に、それぞれに使い魔がつくんだよ、安全のためにね?」
若葉様、笑顔で言う事ではありません。私の背筋に冷や汗が流れています。
「おや? やっとお待ちかねの人が来たみたいだよ?」
「えっ?」
若葉様が苦笑しながら、私の後ろを指差す。その指が示す方に視線を向けると、そこには大きく息を乱した星回さんがいた。
「姫君!? ご無事でっ」
「えっ……星回さん? 何でここに?」
ほっとしたのか、星回さんは大きく息を吐いた。ここでようやく、隣に若葉様が居た事に気付いたらしい。こちらが驚くほど素早く、右手を胸元に当て、方膝を付いた。これは位が上の者に対して行う、正式な敬礼である。
勿論、私は今まで受けた事は無い。いや、私ではないんだろう。
今、私の隣にいる人物としか考えられない。
「失礼致しました、殿下………しかし、いつもでしたらご連絡頂きますのに、何かございましたか?」
堅い声の彼女の声を初めて聞いた気がする。星回さんは絶対に、私にはそんな堅い言葉は使わないから。
「うん、君の報告にあった事で確認したい部分があったから」
「そのような事でしたら、私が参りましたものを………」
困惑しているだろう彼女は、下手に出てはいるが、若葉の様子を伺っているようだ。
「直接確認したかったんだよ、ところで随分可愛らしいお嬢さんがいるんだけど、星回? 改めて紹介してくれる?」
茶目っ気たっぷりに星回さんに言う若葉様。一緒に髪がサラサラと肩にかかったけど、それが彼には良く似合う。
「は、はい……」
少し躊躇う素振りを見せながらも、星回さんは意を決したように、こちらに視線を寄越した。
「こちらは夢渡り一族と名高い緑瑛一族総本家の生き残りの姫君…………、残念ながら真名はわたくしの口から申し上げられません、ですので、姫君とお呼び下さいませ」
…………星回さん。
内心、動揺した私とは引き換えに、若葉様は何が楽しいのか、先程から肩を震わせており、明らかに笑うのを堪えているようだ。
でも私は見ていた。私の紹介をしていた星回さんの口から、“生き残り”と出た時に、一瞬だけど、体が強ばっていたのを。
「若葉様! 紹介したというのに、いつまで笑っておられるのです!」
「っ……ふ…ふ……ごめんごめん、そんなに怒らないで、星回」
ようやく笑いを収めた若葉様に、星回さんから冷ややかな視線が注がれる。
「それでは改めて」
きりっと姿勢を正した若葉様は、先程の人懐っこい表情とは別人のように貴公子の姿勢をとる。彼は恐らくこの中で一番位が高いのだろう。その証拠に膝をついていない。胸に手をあて、こちらを向いた視線は力強いもので、思わず息をのんだ。
「我が名は若葉、我が国の皇家、赤龍一族総本家の三男です、どうぞよろしくお願いしますね、姫君」
にっこりと微笑み、こちらに向ける視線は、先程の強い視線ではなくて、優しさを込めた穏やかなもの。しかし、あまりの衝撃に、私の脳は理解を拒んでしまったらしい。
「姫?」
固まってしまった私は、怪訝そうな視線を向けられて、はっと我に返った。
「は、はい! こちらこそ宜しくお願いします!」
慌てて頭を下げるが、優雅さとは程遠い………そんな礼になってしまった。
「うん………もしかして、こういうの慣れてないのかな?」
「………はい、申し訳ありません」
申し訳なくて、私は視線をそらした。居心地が悪いとかいいようがない。
「姫君は、下町で育ちましたので、正式な礼儀作法をお知りなりません、これからは時間がありますので、追々覚えていけば宜しいでしょう」
星回さんの助け船は、残念ながら庇うものでは無く、勉強を増やすと暗に匂わせるものだった。
………どれくらい厳しいものになるのだろうか。
「そうか………さて星回? 悪いが仕事の話は後で構わないかい?」
「構いませんが………いかがなさいました?」
怪訝そうに問う星回さんに対し、若葉様は只微笑みを浮かべるだけ。
「若葉様?」
不安になって名を呼ぶけれど、彼は微笑むのをやめない。
「殿下?」
星回さんの呼びかけても、視線は私へ向けたまま、意味深に微笑んでいる。
「ねえ、姫?」
それはとても優しい口調で、同時に何か諭すような口調に聞こえた。
「僕と一緒に、宮殿へ行くつもりはない?」
『えっ?』
それは私を新しい道へ連れ出そうとする、そんな声だった。
お久しぶりです!
忘れたよー、とかはご勘弁くださいませ。秋月煉です。
本当にしばらくぶりの更新で申し訳ありませんでした(汗
読んで下さっている方がおり、本当に申し訳ないです(/_\;)
秋月、ようやく仕事の山が終わり、また更新を再開いたします!! 更新の中心は『天と白の勇者達』略して『てんしろ』になりますが、ボチボチこちらも更新していこうと考えております。
次回の更新は、今月末頃を考えておりますが、また決定したら、活動報告にてのせますので、そちらをご参照くださいませ!
なお、只今リクエストを募集しております。………あまりに来ないので、若干不安なのですが(汗
いつでも受け付けておりますので、宜しくお願いします!m(__)m
ではでは次回、てんしろでお会いしましょう。
誤字脱字、感想、メッセージお待ちしております。なお、甘口で下さいますと嬉しいです。




