小鳥の勉強会( 1)
スランプが脱出できません(__;)
どうすれば………。
あれから、数日が過ぎた。
最初は頭が混乱し、体調まで崩したが、今ではフランと扉ごしにある庭に出て、庭弄りをしたり、遊んだり。とてもゆったりした日々を過ごしていた。
今日も今日とて、私はフランと庭に出て、追い駆けっこをしている最中である。
「フランーっ! 待てー!」
「キャー! ひめ様、早いのー!」
クスクス笑いながら、それを繰り返しているのだ。
ふと、フランの動きが止まる。
「ひめ様、主様が起きたのー」
「っ!? 星回さんが起きたのね?」
「うん、それでね、ご飯を食べたら、こっちに追いでって」
フランがこちらを向く。その目が笑っていなかった。
「魔術を教えるから、って」
「……っ」
呑まれた。一瞬、こちらを向いたフランの気迫に。普段、笑っていても、本性は人ではない。
あの日見たフランの姿は、美しい妖精の姿。気高く誇り高い姿に、私は見とれたのだ。
「ひめ様?」
心配そうなフランと目が合う。私は、慌てて笑顔を向けた。
だって言えないでしょう? 私はフランに見とれてました、なんて。
「何でもないよ? 楽しみだな、魔術…………私は落ち零れだったから」
「落ち零れ? ひめ様が?」
心底不思議、とでもいうようなフランに、逆に私の方が不安になる。
「フラン?」
名前を呼んでも、フランは表情を変えない。
「あのね? ひめ様は、落ち零れじゃないよ? だってね? ひめ様は………………なんでもない」
「えっ!? フラン?」
何故いいかけたのに、止めたんだろう?
「ひめ様、ご飯たべよう」
「えっ………わかったわ」
フランと二人、歩きながら、ふと私は思う。
ねえ、フラン。貴方は何を知ってるの―――――?
◇◆◇◆◇
「主様、目が醒めて何よりです」
別室、星回の部屋では、主人の目覚めに、ヤトが珍しく顔を綻ばせていた。目が醒めたばかりの星回は、何度か瞬きを繰り返してから、ゆっくりと起き上がる。
「ヤト、私はどれくらい寝ていました?」
寝起きとは思えない程、静かな声での問い掛けに、ヤトは冷静に答えを返す。
「およそ三日程でしょうか」
「そうですか、私が寝ている間、姫はどうしていました?」
その問いには、ヤトは重面を作り、顔をしかめた。
「フランと共にいたようです、詳しくはフランに」
これには笑うしか無かった。ヤトとフランは、昔から仲が悪い。いや、フランが一方的に苦手意識を持っているのだから、仕方ないというべきか。
「そう、分かりました、フランにはご飯を食べたら、ここに来るように伝えて下さい」
「分かりました、伝えておきます」
相変わらず笑わない青年だ。しかしヤトは、表情は極端に動きにくい。それだけなのだが、フランは怒らせていると勘違いし、ヤトに対して苦手意識を持ってしまったのだ。他の使い魔達とは仲がいいのに、本当に残念である。
「ヤト、もう一つ、“あの方”に報告を―――――こちらは予定通り、と」
「かしこまりました」
すっと頭を下げると、ヤトは一瞬にして姿を消した。
「もう、止める事はかないませんね…………」
運命の歯車は動き出した。もう、誰にも止められない。
◇◆◇◆◇
「主さまー! よかったのー!」
顔に涙を浮かべて、フランは自らの主人へと駆けていく。主人の星回は、最後に私が見たのと同じように、マントを深々と被り、素顔は見えない。精々口元が見えるだけだ。
「あらあら、フランは甘えん坊になったみたいね?」
クスクス笑う星回は、その笑みを口元に乗せたまま、身体ごと私へと向き直る。
「姫君、ご無事で何よりです、つつがなくお過ごしのご様子で、安心いたしました」
「ありがとうございます、星回さん」
ぺこりと頭を下げると、慌てたように星回が止めようとする。
「姫君、下の立場の者に頭を下げてはいけません!」
「えっ?」
「貴方は、夢渡り一族の姫君なのですよ」
そうは言われても、実感はあまりない。私は今まで、落ち零れの見習いだったのだ。性格まですぐに変わるわけではない。
「すぐにとは、我々も申し上げません、しかしどうか、くれぐれもお気をつけ下さい」
そう言われてしまえば、私も引き下がるしかなかった。
「さあ、魔術の訓練をはじめましょう、姫君」
読んで下さりまして、ありがとうございますm(__)m
秋月です。
ヤバいです。何がと言われたら、それは秋月のスランプ。すぐに脱却と思いきや、どっぷりはまってしまいました。
次回こそは、しっかり頑張りたいですm(__)m
誤字脱字、文法間違い等、ありましたら感想にてお知らせくださいませ。
次回は10月16日です。宜しくお願いします。




