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小鳥の夢幻( 2)

めっちゃ悲しいお話に………。

これにて、過去夢編で終わりです。


遥か昔から、私の生まれた家、夢渡り一族は、夢渡りの職業を生業としてきた。本家の力は分家などでは比べものにならないほどに強い力をもっており、絶対的な地位を築いていた。

そんな折りに産まれたのが、母である月宮である。


「私も貴方も、夢渡り一族の巫女様によって、予言を頂いてるの…………私は、愛した人との子供は特別な運命を持つと予言されたわ」


母の予言を教えてもらい、まるで小さな子供のように、わたしは母に聞いた。我が儘だったのかもしれないけど。


「私は? かあ様、私はどんな予言だったんです?」


「焦らないで、あなたの予言は……」


“月と星の定めが重なる時、重き定めの本流が我が一族を襲うだろう、この子はその時、ただ一人の希望となる、月に恋をする星は、月を救う只一人の聖人となるであろう、しかし星と月は重ならず、星は大地と繋がり我が一族のさらなる発展を促すだろう”


聞いて、私は首をかしげた。意味が分からなかったのだ。母のように宿命を背負うとか、分かりやすい説明ならまだしも、何故、私の予言は難しいのだろう?


「愛しい子、私は貴女の名前を呼ぶ事が出来ない、でもね?」


母は、哀しげに、儚い姿で、私に微笑んだ。


「昔の話はしてあげられるわ」


あの日、戦になった、運命の日。その日は朝から巫女の間が騒がしかったのだそうだ。


「多分、巫女様だけが気付いていたのね………私の一族、それも本家の一族だけが消される事を」


そして、恐れていた事態が起きた。


「白蛇一族が攻めて来たの、理由は単純だったわ………」


その目は、まるで相手を哀れんでいるようだった。自分の命を奪った相手なのに。


「彼らはこう言ったのよ………“銀嶺様ぎんれいさまこそ、次代の王になられる方、お前達は邪魔だ”とね」


そのあまりの言い草に、私は頭を何かに殴られたような、それほどの衝撃が走った。


「じゃあ、たったそれだけの理由で…………………?」


唖然とする私を余所に、母はゆるりと左右に振った。


「いえ、それ以外にもあるでしょう…………私達の一族は、強い力をもってるわ、夢渡りでの特別な技、予言の力に、彼らが恐れたのは十中八九これでしょうね、“国宝を操る力”」


「国宝………? それは王の血筋のみに使う事が出来る、あの国宝ですか?」


「そうよ、私達の一族は、国宝を操る能力を持った子供が産まれやすいの、緑翠様が皇帝陛下の元に嫁いだのも、それが理由よ」


その発言に、私は驚きと共に、疑問が沸き上がる。


「……………でも、確か白蛇一族もですよね? 国宝を操る事が出来るんですよね?」


「確かにそうだけど、白蛇一族は稀に産まれるだけで、力は夢渡りである、うちの方が強かったわね」


あっけらかんと話す母は、本心から述べているらしい。彼女のなかでは、これは常識だったのだろう。不意に、母が笑った。


「ふふふ、その呆れた顔、あの人にそっくり」


「あの人?」


「貴女の父様よ」


父様? そういえば、父はどんな人だったんだろう?


「どんな人だったんですか?」


「そうね、一言で言えば家族に甘い父親かしら? 貴方を本当に愛していたわ、私のように一族の血を引いた人では無かったから、今は普通の人として転生しているでしょうけど」


「母様も転生してるんだよね?」


「ええ、でも、もう逢えないわね」


「!?」


母はまた、淋しそうに笑った。


「貴方は知らないでしょうしね………」


「何をです? かあ様」


「そろそろ時間ね」


そう言った母の姿が、少しずつ消えていく。薄くなっていく。


「えっ………ま、待って、母様!!」


まだ聞きたい事があるの! お願いだから、まだ行かないで!


「貴女の名前を呼べないのが、こんなに辛いなんてね………」


「かあ様! 行かないで! 行かないでよ、母様!!!」


「元気でね、愛しい愛しい、私の子……………愛しているわ、昔も今も、貴方は私の大切な子よ」


母は笑っていた。優しい、どこまでも慈愛に満ちた母の微笑みで。


「母様―――――――っ!!!?」


消えていく母に、私は届かないと分かっていても、反射的に手を伸ばしていた。


◇◆◇◆◇


目が覚めると、そこには誰もいなかった。まだ見慣れない、私の部屋の天井が見える。


夢を見た。


とてもとても懐かしく、優しくも残酷な夢を。


夢ではかあ様に会って、でも触れられなかった。


逢いたくて、逢いたくて、待ち望んだ対面で。


沢山、話した。母が伝えた物は、とても重い物だったけど。


それでも嬉しかったけど。


反面、とても辛かった。


もう逢えないと、言われてしまったから……………。


「母様っ…」


一粒の透明な雫が、私の心を表すかのように、頬を滑り落ちた――――――――――。


どうも、秋月です。


本日のお話はいかがでしたでしょうか?


何だか、この話はじまって以来の、悲しいお話になりました。秋月の実力不足の所為で、これが限界でした。


次回から、星回さんが登場。そこで明かされる主人公の力。みたいな話にしようと考えています。


ここで、次回更新のお知らせを! 実は次回は、来月になります。9月4日に更新します。ちょっとお盆は忙しくて、更新はきついです。さらに夢渡りの姫、ストックがありません(__;) なので、お盆中から8月末までに頑張って、次回を書きたいと思います。何卒、ご理解くたさいませ。


なお、本日はネタバレは次回のためにとっておこうかと。決して、ネタがないとかそういう訳ではありません。えぇ、決してありません!


では次回、9月4日にお会いいたしましょう!


感想・誤字脱字・アドバイス、いつでもお待ちしております。何卒、甘口でお願いします。

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