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小鳥の夢幻

お話は過去夢編になります。


私はいつの間にか眠っていたらしい。確かフランと話をしていたはずだが、いつの間に寝てしまったのだろう。



これは夢―――――――……?


だってここは、知らない場所だもの――――――……


でも凄く懐かしい。


ここにいると、胸が、胸の奥深くが、苦しくなる。


見たこともないはずなのに―――――……


ここは、どこだろう―――――……?


『――月…や…様、――――月宮様』


誰かが渡ってくる。呼んでいるのは、名前だろうか。そうこうしているうちに、複数の足音と衣擦れの音が聞こえてくる。

いつの間にか、目の前に屋敷がある。まるで昔の中国のような、そんな立派な屋敷は、橋でところどころが繋がれ、なんともいえない情緒と美しさがある。

庭は綺麗に手入れがなされ、季節の花である牡丹が、優しく庭を彩っていた。


『月宮様ッ――――はあ、このような場所にいらしたのですか、お探しいたしました』


その人は、誰かに話し掛けているようだ。着物にスカートの服装だから、恐らく貴族。しかしまわりの人もお揃いの服装と髪型をしているから、多分、貴族に仕える侍女だろう。

この国では、貴族やその周りの人達は、着物を着るのが習わしだ。着にくいや、服の方が動きやすいからと、着ない人達もいるが、貴族の人達は仕事着が着物であるため、普段から着物を着る人が多いのである。

侍女らしい彼女が話し掛けている人に、視線を向ける。

どうやら私は、誰かの夢に入り込んでしまったようだ。それもこれは過去夢。過去夢とは、過去に実際にあった出来事の夢の事である。誰かの体験談のようなものだ。


胡蝶(こちょう)、どうしたの?』


不思議そうに、胡蝶と呼ばれた侍女を見る女性は、驚く程に美しい人だった。

淡いエメラルドグリーンの長い髪は艶やかで、恐らく生まれてから一度も髪を切った事がないのだろう。彼女の身長と同じくらいのたっぷりとした長い髪は、丁寧に手入れをされているようで、クセ毛も見当たらない美しさ。その髪は、何本もの翡翠で出来た簪で結い上げられていた。

着物は初夏らしく、薄い色である水色に優しい彩りで花柄が描かれている。スカートは桃色で、まるで絵本に出てくるお姫様のように見えた。


『月宮様、お父君が探しておられます』


『嫌よ、逢いたくない…………また見合いの話でしょう?』


先程まで見せていた笑顔は、不機嫌さを表す顔に変わってしまった。それでも胡蝶は、必ず連れてくるようにと、言われているのだろう。がんとして、そこを動かないようだ。


『月宮様、ご理解下さい――――お相手は中々の方です、どうか一目だけでもッ!』


しかし月宮様は、動かない。まるで我儘な小さな子供のようだ。


『下がりなさい、私はお見合いをするつもりはないわ』


結局、折れたのは胡蝶だった。


『畏まりました…………しかし、月宮様、このままでは埒があかないのは事実です、やはり予言…』


『胡蝶!』


遮るように胡蝶の名を呼ぶ月宮様は、苦々しいとでもいうように、顔をしかめている。


『予言は分かるわ―――――私が心から愛した殿方との間に産まれし子は、この国でもっとも強い加護を受ける、なれど困難によりその子は苦労を背負うだろう、しかし心から愛した人に対して、奇跡を起こす聖人となるであろう……………………予言の言いなりなんて嫌だわ』


途端、グニャリと空間が歪み、そこに一人の女性が表れる。綺麗なエメラルドグリーンの髪を腰まで伸ばし、着ているのは緑色の着物を羽織り、袴は紺色。落ち着いた雰囲気の年頃は20歳くらいだろうか。


「誰?」


「久しぶり、大きくなったわね、私の愛しい愛しい我が子」


最後の言葉に、ハッとする。先程の映像でまさかとは思っていたが、彼女が言った一言で確信した。愛しい我が子………そんな大切な言葉を言う人は、一人しかいない。


「………かあ…様……?」


不安そうに言うと、女性は苦笑していた。


「あら、母親を呼ぶのに何で疑問符が付くのかしら?」


くすくす笑っている姿が、先程の映像に重なる。


「母様、母様、母様!!」


ずっと逢いたかったのだ。だから、だから、我慢できなかった。母に向かって駆け出した。抱き締めたくて、温もりを確かめたくて………夢だという事も頭から抜け落ちていた。母を抱きしめようと、触れようと、そして手が触れた。


「母様!………………えっ?」


スカッ――――。


何度やっても触れられない。涙が溢れた。


今、母と私は、同じ場所にいて、でも、同じ場所にはいないのだ。それを、私は思い出した。


「愛しい我が子…………ごめんなさい、私は貴方に“触れられない”のよ、私は現世の生者、貴方は霊界の生者なんだから」


忘れていた…………でも、こんなのってない。やっと会えたのに!!


「我が子よ、時間がありません、だから、話を聞いて………?」


母も目が潤んでいる。しかし、それだけではないのだろう。目には様々な感情が宿っていた。


「これから話すのは、13年前の真実、いいですか、我が子よ――――――貴方は特別な予言が下された、運命の子供なのだから」


さあ、昔語りを始めよう―――――――――――。


どうも〜♪ 秋月ですm(__)m


今日も無事に水曜投稿が出来ました!! 間に合って善かったです(^O^)

何せ、投稿日を忘れてまして(忙しかったからです!)、それで今日おもいだして、慌てて書きました。大筋は出来てたんですが、やっぱりきちんと書きたいです。


さて、いつものように、説明をば。

今回は、夢渡り一族について。彼らは政治的立場はありませんでしたが、代々の皇帝に大切にされてきました。何故なら、この国になくてはならないチカラを持っていたからです。チカラとは、夢渡り、予言、国宝を操る力、等の特別な力を持っていたんです。今回、主人公が母親と逢ったのも、予言の力の一部ですね。

さて次回には、主人公の色々と謎になっている部分を明らかにしようと思います。


ではでは、次回は8月7日にお逢いしましょう!

感想・誤字脱字・文法間違い等々、いつでもお待ちしております。どうぞこれからも宜しくお願いします(^Q^)/^

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