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捜し物は何処に

今回、意外な事実があきらかに!?



――――――始まりはいつだっただろう


全ては我らのためだったのに


――――――長い長い永久の時間(とき)の中


たった一度の過ちで


――――――我らが一族は平和だったのに


全てが滅びるなんて


――――――突然に闇が全てを包み込むなんて




『誰が思っただろうか――――――……』





◇◆◇◆◇


「ユウッ―――――!!」


茜色に染まる空を、走るように飛ぶ影がある。

空に波打つ深い緑色の髪は、肩より少し長い程度。整った顔立ちは、大人びた印象を受ける。服装は緑のワンピース。鮮やかな夕空にかける姿は、まさに一枚の絵のよう。

……………しかし、状況も何もかも、彼女にとっては最悪に近かった。

大切な“双子”の片割れ、ユウが攫われた。すぐに捜索に出た少女と先生は、必死に探しているが、この国は広い。たった二人で探すには、余りに広大過ぎた。

主に北の貴族の居住区を捜す先生よりは、南の一般居住区を捜すユキの方が楽なのだが。それでも、黄昏時は何もかもが同じ色に染まってしまって、物を見えにくくする。ユキは急ぐ気持ちを押さえて、必死に探しているが、どんどんと空回りしているように感じて、また急ぐ。その繰り返し……………。まるで終わりのない、深みにはまってしまったかのようにさえ感じてしまう。


「―――――ユウッ! どこにいるの!?」


いつもは感じる気配さえ、全く感じない。こんな事は初めてだった。



――――――プツンッ



そんな小さな小さな音がしたのは、まさにそんな時だった。


「……えっ?」


駆けていた足が、止まった。


―――――ユウを感じられない。いつも身近に感じていたユウが、分からない。


ワカラナイ?


何故?


私達は双子デショ?


何で感じられないの?


何でワカラナイノ?


おかしい、何かがおかしい。でも、それが何か分からない。私達を繋ぐ糸が切れる訳がない。双子を繋ぐ糸は、とても強いものなのだから。

――――――例外もあるのだけど。


「…………どうなってるの? ユウ、貴方は今、どこにいるの?」


どうにかしなければならない。なのに、中々思考がまとまらない。おかしい、普段なら出来るのに。思考が麻痺したかのように、動かない。

どうしよう……………ユウが居なくなるかもしれない。


イヤ!! イヤよ!!!


でも私は何も出来ない。どうすればいいの?


………………そうだ、先生に聞けばいいんだ。


そう考えたユキは、それ以外に考えられないとばかりに、先生の元へと走り始める。


だから、ユキは気付いていない。自分の思考がおかしいということに。

そして、先程まで考えていた、“例外”を忘れている事に。


彼女は気付いていない………。


◇◆◇◆◇


「ユウの気配が消えたのは、この辺り……ですか……」


黄昏時に佇む影。それは空中に浮いたまま、ただひたすらに一点のみを見つめている。黄昏の色に照らされながら、刻一刻と姿を変える貴族街。その中でも何の変哲も無い、一件の家。いや、家とはいわないかもしれない。この辺りでは小さな部類だが、立派なお屋敷なのだから。


「ん?」


ふと、夕闇に照らされた整った顔立ちが、ニヤリと笑みを浮かべる。その笑みは陰になっているため、表情も分からない。しかし、彼から出た言葉は、余りに闇に近いものだった。


「もうすぐだったと言うのに………余計な邪魔を……………おや?」


すぐに気付いた。

何故なら、彼が作り上げたものだから。術をかけたら、術者はそれを感じる事が出来る。自分が世界の断りを歪めて、作り上げた故にである。


「っ! まさか……アレを全て解いただと………っ!?」


苦々しく呟く姿は、普段の温厚な姿さえ、霞ませてしまうだろう。それだけ姿が違う。今の彼を『視た』人達は、声を揃えて言うだろう。


アレはなんだ、と―――――――――――――――。


黒い黒い、どこまでも続くような暗黒の靄が立ち上る。彼、先生と呼ばれ、にこやかに笑いかける優しき姿など、微塵も感じられない。ただただ、闇に祝福された姿があるのみ。


「おのれ―――――っ!! まだ邪魔をするかっ! 『あの方』は余程、ユウを手に入れたいのだろうなぁ、だが、渡す訳にはいかないな、私の願いのためにはユウは絶対に必要不可欠な存在なのだから…………」


ニヤリと笑みを浮かべる。

既に太陽は地平線の中へと姿を消し、辺りは暗闇に覆われている。

解いた時の一瞬の僅かな力の放出を、彼は捕らえていた。場所はやはり、あの屋敷に間違いない。だが、無闇に突くには、少々厄介でもある。

何せここは貴族街。警備は他より多く、侵入者には容赦は無いと来ている。


「準備をしてからの方が、いいようですね」


その顔は既に暗やみの所為で、判断できない。しかし暗闇の中、彼の青い瞳には、鋭い光が宿っていた。



◇◆◇◆◇


「先生―――――――っ!!」


ユキはようやく先生を見つけ、暗闇の中をかけた。

必死だった。ユウがいない。そんなの嫌だ。だから、だから、先生、私は何がおかしいのか教えて欲しい。


「ユキ………どうしました?」


あぁ、優しい声だ。安心する“いつもの”先生の声だ。


「せん…せ……」


意識が遠退いていく。でも大丈夫。


『だって、先生だもの』


気を失ったユキを担ぎ上げる。


「余波の所為で狂ってしまいましたか…………まだ、改善の余地がありますね」


綻びた術は全て治さなければならない。


―――――駒は一つでも、有ったほうがいいのだから。


どーもー!! 秋月でございます(^O^)/


今回、如何でしたでしょうか?

先生とユキちゃんのお話……………はい、物凄く堅い、笑いない、真面目………三拍子がそろってます。すいませんm(__)m 次はもう少し、明るい話にしたいです。


さて今回も、解説や捕捉をしたいと思います!!

今回は、“皇族”について。この国にも王様がいます。一様、長子相続ですが、継承権がありまして、体が弱かったり、優秀でなかったりすると、その権利が消滅してしまいます。ちなみに、第2皇子・銀嶺の権利は、まだあります。破天荒でも、仕事は出来るわけで………王様は目の上のたんこぶ状態なんですね。

そして、ネタバレを(*/ω\*)

ユウちゃんの恋人候補は、水暉、銀嶺、第3皇子、先生、その他………ですかね? アレ? フラグ立ちまくってない? 回収できるのか!?


本日はこのへんで!! 次回は7月10日にお会いしましょう♪


感想、誤字脱字はいつでも受け付けております。どうぞ、宜しくお願いしますm(__)m なお、作者は吹けば飛ぶような小さな心の持ち主ですので、どうか宜しくお願いします。

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