小鳥のための籠
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目が覚めると、そこは見知らぬ天上だった。天上のあちらこちらに金が使われ、淡い緑色の壁紙が栄えている。部屋の中は、まるで姫君か貴族の娘が使うかのような、これまた素晴らしい程に卓越した立派な調度品達が、趣味良く置かれている。そのどれもが、淡い緑色で統一され、部屋を落ち着いた空間にしていた。
(ここ、どこ?)
何故か首がジクリと痛むが、今だに頭の中は混乱していた。確か気を失う前の記憶では、迷いの森からの帰宅中で事情(白蛇の青年の所為)により迷子になっていたはずだ。断じて、こんな高級なベットで眠るためではない!
「ユキ……先生……!!」
恐怖でみっともなく震える声で、それでも何とか二人を呼ぶが、やはり返事はない。
と、ガチャリという音と共に、見慣れない二人が入ってくる。恐々、二人を観察する。一人は黒く足元まで隠す長さのマントを羽織り、顔立ちも目深に被ったフードのため、確認出来なかった。もう一人は明らかに子供である。金色のフワフワした髪を肩で切り揃え、紅い瞳に可愛らしい顔立ち。動きやすい上着と、ズボンをはいている。顔立ちが中性的なため、こちらも性別は断定出来なかった。
普段なら先生に注意を受けるため、そんな真似はしないのだが、現状が現状である。少しでも情報が欲しい。
「おはようございます、夢渡り総本家“最後の姫君”、ご気分は如何です?」
私に話し掛けたのは、マントの人。声は女性特有のソプラノ。優しさしか感じない、柔らかい声だった。
しかし会話の中に、気になる言葉が入っている事に、すぐに気付く。
「総本家って………私はそんなたいした家の者では………それに“最後の姫君”ってどういう意味ですか?」
「それに答える前に、まずは我々の自己紹介をいたしましょう」
そういってから、マントの人物は、バサリとマントは広げ、美しい絨毯の上に優雅に膝をついた。これはこの国の魔法使いの正式な挨拶である。
「お初にお目にかけまする、我はとある方の“影”をしております、星回と申しまする、以後お見知り置きの程を」
そのあまりに優美な挨拶に、思わず見入ってしまう。じーっと見入っていると、目深に被っていた星回と目が合った。魔術師によくある、紅い目が印象的だった。そして、はっとする。
私、挨拶してない…………。
「は、初めまして!」
「そう堅くならなくても宜しいのですよ」
クスクスと笑われ、耳まで真っ赤になった。多分、熟れた林檎のように赤くなっているはずだ。
私はこんな形式的な挨拶に慣れていない。庶民として育ったからであり、こんな最上級の挨拶をされた事がないのだ。
「こちらはフラン、私目の使い魔でございます」
「フランですっ! はじめまして、ひめさま!」
ひ、ひめさま? 姫さま、姫様………………姫様!? 誰が? 私が!!??
子供らしい外見とは裏腹に、フランは私に爆弾を落とした。
「え、あの、私はユウという名前ですから、そう呼んでもらえませんか…………?」
そういった瞬間、今迄、和やかに過ぎていた空気が一気に凍り付いた。
「申し訳ありませんが、貴方様をその名で呼ぶ事は、我々は出来ません」
星回の冷たい声が、私に届いた。どうやら、地雷を踏んだらしい………のだが、自分の何が悪いのかが分からない。
「姫君、貴方は“真の名前”を覚えていらっしゃいますか?」
そう言われて、前にも同じ事を言われた事を思い出す。確か、これを言ったのは、白蛇一族の人。
――――――白蛇一族は、真実を見通す目を持つ。その意味は、言わずもがな。
「…………覚えていません」
「当然でしょう、姫君は産まれてすぐでしたし、何よりも貴方様には“呪”がかけられております、分からなくて当然でしょう」
そこで星回は、言葉を切った。こちらを見ているというのは、視線を感じていたいめ、気付いている。
「“呪”の効果は妨害と忘却…………でしょうか、嫌な術です」
その呟きが、何か黒い感情を含んでいて、私は怖くなった。彼女は、星回は“影”だ。それは密偵を意味する。そんな彼女が、感情を表すとは考えにくい。
わざと出しているとしか考えにくい。
「姫君、貴方様の御名前は、強い力が宿っております、故に私達は呼ぶ事は出来ません、呼べば、貴方様の魔力が“暴走”する可能性がありますので………」
「名前を呼んだだけで、暴走って………」
何でそんな物騒な名前を付けたんですか!?
「勿論、良くて“暴走”ですが、最悪………」
「最悪……?」
物騒な単語が出てきたため、顔が引きつり始める。何だか、無性に続きを聞きたく無かった。
「最悪、この国の半分が、“消滅”するか、と…………」
「…………………はい?」
「ですから、消滅すると――――」
……………
…………
………
「分かりました、好きに呼んで下さい!!!」
何で私の名前を呼ぶだけで、最悪この国が消滅するんですか。
頭がおかしくなりそうだ。
「そう、気を落とさないで下さいませ、ここで力の使い方を学んで行けばいいのです、及ばずながら、わたくしめとフランで出来得る限りの協力をさせて頂きます」
必至さが伝わる星回の言葉は、不思議な事に私の中に入って、ストンと心を軽くした。
「それから、姫君にかけられている“呪”も私が解こうと思います」
「本当ですか!?」
「嘘は申しませんよ」
またクスクス笑った星回は、本当に優しいと思う。
「そういえば、ここはどこですか?」
今更といえば今更だが、星回の優しさに触れてしまい、警戒心がわかないのだ。まだ、顔も見ていないのに。
「ここは、わたくしめの秘密の城ですよ」
楽しそうに茶目っ気を入れた星回に、最後の最後で、私は布団に突っ伏したのだった。
どうも〜☆
久しぶりすぎる久しぶり、いつもの同じ挨拶、せーの!!!
秋月でございます(笑)
ガクッと来た方、すいません。どうしてもやってみたかったんです(汗
さて、二週間ぶりの投稿ですので、ダレだっけ?って方もいるでしょう。そんな方は、秋月のマイページか、このお話を読み返して下さるといいかも?です。
話は変わるのですが、今月は忙しいです。もうすぐ、検定試験があります………。正直にいいますと寝不足気味です。早く終わらせてしまいたいです(←検定が!)。本当に、しんどいです………。
さて、更新ですが、次回は5月25日に更新致します。続きを読んでくれたら、嬉しいです。固いお話ですが、質問して頂ければ、出来得る限りで返信をさせて頂きますので、宜しくお願いしますm(__)m
もう一つの作品、『天と白の勇者達』略して、てんしろが来週、5月22日の更新になりますので、この場を借りてバンセン?させて下さいませ。
ではでは、次回、お会いしましょう〜☆
誤字脱字、おかしな表現がありましたら、感想にてお知らせ願います。尚、作者は吹けば飛ぶような小さい心の持ち主ですので、優しく書いて下さいますと、嬉しいです。