3.女の子と青い魂
注!)この小説は『3章』から書き始めています。3章から読む事をおすすめします。
今、まさに『魂』が生まれようとしていた。魂は女の子のものだった。その魂に寄り添うように、青い魂は近づく。
「……あなたは、誰?」
女の子の魂は少し怯えていた。
「__恐がらないで。私はあなたに危害を加える訳じゃない。私は過去に魂を壊されて、残った欠片をかき集めてこのゼロの海をさまよっているの」
ゼロの海とは魂が生まれる場所である。
「あなたは、もう生きられないの?」
「__いいえ、ただ魂の寄り代がいるの。そうすれば私はその魂の中で生きる事ができる」
青い魂に悪気は無い。無論これは事実。
「……私が寄り代になろうか?」
青い魂は戸惑う。それはこの女の子を不幸にしてしまうのではないかと。でも少しの甘えが青い魂を動かす。
「__じゃああなたにお願いするね」
この行動は青い魂を深く苦しめた。女の子もまた苦しんだ。
「ねえ、あなた生きてた時の名前は?」
女の子は問う。青い魂は小さく答えた。
「__私は、アルーン」
二つの魂はぐるぐる回って混ざりあった。そして、できた一つの魂はゼロの海からこの世へと旅立った。
ゼロの海には波紋だけが残った。