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徳を積みすぎたモブ願望の元聖女。 朝の挨拶で魔王が安眠し、なぜかお隣さんになりました!  作者: 黒武者


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第4話 初日の学園と、実力テスト

 朝の街はまだ静かだった。


 石畳の道に朝日が差し込み、空気は少しだけ冷たい。


 セラフィナイトは小さく息を吸い込んだ。


「今日も良い朝ですわ」


 その隣で、ヴォルガドが腕を組んでいる。


 二人はパン屋の前のベンチに座っていた。


手には焼きたてのパン。


ブレンダの店から漂う香ばしい匂いが、通りに広がっている。


魔王はあらためて口に入れる。


「……うまい」


少し考える。


「魔界のパン職人にスカウトすべきだ」


セラフィナイトは嬉しそうに微笑んだ。


「魔界でもNo. 1になりますわ。だってブレンダさんのパンは世界一ですもの」


魔王はパンを見ながら言う。


「ところで」


「昨日は初日だったんだろう」


ちらりとセラフィナイトを見る。


「ここの学園とやらは、どんなものだったんだ?」


 セラフィナイトは少し考えた。


 それからふんわりと笑う。


「とても楽しい場所でしたわ」


 魔王は眉を上げる。


「ほう」


セラフィナイトは昨日のことを思い出した。



聖サーヴァント学園。


大きな門。

白い石の校舎。

高い塔。


セラフィナイトは門の前で小さく頭を下げた。


「今日からお世話になります」


門の守衛が少し驚いた顔をした。


なぜか空気がふわりと柔らかくなる。


セラフィナイトは気づかないまま教室へ向かった。


扉を開ける。

中では生徒たちが談笑していた。


先生があっと言う。


「みなさん。静かに」


自然にセラフィナイトに視線が集まる。


「今日から我が学園に転入した生徒を紹介する」


教室の空気が変わる


セラフィナイトは前へ出た。


スカートの裾をそっとつまみ、優雅に一礼する。


「セラフィナイト・ゴールドステインと申します」


顔をゆっくり上げ、柔らかく微笑んだ。


「皆様と仲良くできますよう、精一杯がんばります」


少し照れたように続ける。


「気軽にセラフとお呼びください」


教室がざわつく。


「……かわいい」

「なんだあの子」

「可憐だな」

「似合う……」


セラフィナイトは少しだけ頬を染めた。


その直後。先生が黒板を叩いた。


「では、本日は今から実力テストを行う」


「ええええ!?」

「セラフさん初日だぞ!?」

「聞いてない!」


セラフィナイトは目を丸くした。


「まぁ」


先生は淡々と言う。


「聖サーヴァント学園では毎年行っている」


実力把握のためだ。

答案用紙が配られていく。


セラフィナイトはそれを受け取り紙を見つめる。


(初日からテストなのですね)

(皆様と仲良くなる前に少し大変ですわ)


それでも小さく微笑む。


(でも大丈夫)

(目立たないように、がんばりませんと)


ペンを持ち、問題を読む。


魔導理論。

歴史。

魔導物理学。


記憶を呼び覚ますように少しだけ考える。

それから静かに書き始めた。


静まり返った教室にペンの音だけが響く。


セラフィナイトは答案を見ながら小さく呟いた。


(目立たないように……)

(目立たないように……)


少しだけ計算する。


それから一部の答えを書き直した。


(これくらいなら大丈夫ですわ)


本人は満足そうに頷いた。



「……ということがありました」


セラフィナイトはパンを食べながら言った。


魔王は黙って聞いていた。


「テスト、か」

「どうだった」


セラフィナイトは少しだけ考え、それから微笑む。


「目立たないように頑張りましたわ」


魔王

「……そうか」


少し間を置き、

「結果はいつ出るんだ?」


「今日だそうですわ」


セラフィナイトは空を見上げた。

朝日が少し高くなっている。


「皆様、優しそうでしたわ」


嬉しそうに言う。


「お友達ができるといいのですけれど」


魔王はパンをかじりながら呟いた。

「……増えるだろうな」


その理由を。


まだセラフィナイトだけが知らなかった。


学園の掲示板に貼られる、一枚の紙。

そこに書かれる名前を。


セラフの初日

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