表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/15

これはさすがにハード過ぎます


期末のテストでも、リラは一番上をキープした。


すぐ下には、漆黒の王子様の名前。今さらだけど『漆黒の王子様』ってキャラ濃いめの呼び名だな。

リラは平凡なので、呼び名とかいらない。いらないったらいらない。


少し前に思いついて、教員に『わたしを監視してください』と申し出た。

噂について弁明できる機会を得た時、事実を知る第三者がいたら助かります、と。

生徒会に掛け合うと言っていたので、漆黒の王子様(現生徒会長)も知っているだろう。動いてくれるといいな。


一ヶ月ほどの休暇に入るが、リラは故郷には帰らない。入学以来、手紙を送るだけで帰郷したことはなかった。

それは里心をくすぐられるからでもあり、それどころじゃないからでもある。


特に今年は、リラは官僚試験を受けたのだ。

これに受かれば、将来は王宮または王立の施設で就労し、安定した収入を得られる。

座学試験と、面接。推薦状には、学園長も名を連ねてくれた。


ここまできたら、もはや全力を出し切り、あとは運に任せるしかない。

試験後は一気に気が抜けて、二日ほど寝倒した。同室の人に寮監を呼ばれた。申し訳ない。


試験後も、だめだった時のことを考えて、リラはありとあらゆる就職先に応募をかけた。

この際、安定していれば割となんでもいい。向き不向きはやってみないとわからないのだし。


そうしているうちに、新学期が始まる日。

普段通り登校したリラは、入り口で漆黒の王子様に呼び止められた。


「行かない方がいい。一時間ほど遅れて来い」


「え、なんですか?」


「俺が収めておくから、とにかく一時間」


「は?」


申し訳ないが、未だ苦手分野が残っている。授業をサボるわけにはいかないのだが。

躊躇って、でも王子様の言うことに逆らうわけにもいかず、くるりと足の方角を買える。


ひとまず大図書室の方に向かっていると。


「……っ!?」


いきなり口を覆われて、ガクンと身体から力が抜けた。

しまった。油断した。いや、まさか学園内でこんな野蛮がまかり通るとは思いもしない。


ガサガサと視界を覆われながら、リラは胸元の宝物を握りしめて、意識を手放した。




────まあねー。貴族令嬢なら、小娘一人くらい片づけられるとは言った。確かに言った。


目を覚ますと、リラは物がたくさん積まれた板床の上にいた。暗さから夜だと知る。

ガタゴトと雑な車輪の音と揺れを感じるので、おそらく馬車の荷台だろう。


服の下の宝物がそこにあることを真っ先に確認して、ほっと息をつく。

手は縛られているが、足は自由だ。縛られる前に咄嗟に親指を内側に握りこんだので、頑張れば解けるだろうか。

警邏隊のおじさん、ありがとう。恩に着ます。


ぐりぐりと縄をずらしつつ、肩甲骨を可能な限り寄せたり開いたりしつつ、汗だくになって縄を解く。

やや無理やり引っ張ったので擦れて傷になったが、まあよしとする。


「大丈夫……落ち着いて、落ち着いて……」


カタカタと震える手をすり合わせて、祈るように何度も呟く。

冷静さを欠いちゃだめだ。落ち着け。神父様、孤児院のみんな。大丈夫、大丈夫。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ