第6話【完結】
で、裁判所のお偉方が出した結論は、こうだ。
エレーンは、罰金刑。
ジャスティンは、二週間刑務所に収監された後、面倒な手続きなんて無しで、すぐに釈放されたよ。
どちらも、暴力絡みの事件としては、極端に軽い刑罰だ。俺、裁判所って、堅苦しいイメージで苦手だったけど、ちゃんと、色々なことを考慮して判決を出してくれるんだなって知って、ちょっと見直したよ。
えっ?
それでも、無罪にはならなかったわけだから、エレーンとジャスティンの今後の生活には、色々と影響が出るんじゃないかって?
あんた、心配性だねえ。
大丈夫だよ。罪にはなったが、俺みたいに口の軽い奴が、ペラペラと噂を広めてるせいで、大衆はみんな、『なぜそうなったのか』って理由を知ってるからね。
エレーンには同情の声が多数寄せられたし、ジャスティンの名誉が失墜することもなかった。それどころか、男気のある彼の行動は、むしろ皆の尊敬を集めたくらいさ。俺だって、『大した男だ』って思ったよ。
それで今は、傷ついたエレーンの心を癒すために、ジャスティンがそっと寄り添って、日々を過ごしているらしい。噂では、二人はなかなか良い感じらしくてな。最近は、エレーンの顔にも笑顔が戻ってきたそうだ。
これは俺の勘だけどな。
あの二人、そう遠くないうちに、一緒になると思うぜ。
ふふ、俺さ、そういうの、わかるんだよ。
まっ、これで、めでたしめでたしってわけだ。
エレーンにとっては、苦しい一年だっただろうが、最低の男と縁が切れて、今度こそ、本当に自分を愛してくれる男と出会えたんだから、まあ、長い苦しみにも、ちゃんと意味があったってことだな。いや、良かったよ、本当に。人間、意味もなく苦しい思いをするのが、一番きついからね。
えっ?
なにっ?
俺?
俺は、ラウンジをクビになってから、何の仕事をしているのかって?
残念ながら、求職中さ。
でも、嫌な気分じゃないよ。
エレーンやジャスティンみたいに、良い人間が報われて、デイモンドやジェリーナのように、間違った人間は、それなりの罰を受ける。……世の中、捨てたもんじゃないなって、分かったからね。俺もいつか、報われるはずさ。
えっ? 『聞かれたことをペラペラと喋ってしまうような口の軽い人間は、良い人間とは言えないのでは?』だって?
あんた、嫌なこと言うねえ。
いいんだよ。多少は口の軽い人間がいないと、嫌な奴の悪い噂は広まらないし、善人の良い噂も、広まらないんだから。もちろん、適当な憶測を言いふらしたり、嘘の噂を流すのは、いけないけどね。
終わり。




