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「君を愛してる」と脅されても、もうすぐエンディングなので全力で応援します! ~悪役令嬢ですが、ヒロインと婚約者様が結ばれるのを待ってるんですが?~  作者: ましろゆきな
第一部:神殺し編 第一章:導入と勘違いの幕開け

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第三話:翻訳されたランチタイム

「リリア様、中庭でお弁当にしましょう! 私、腕によりをかけて作りましたの!」


「えっ、ありがとうアリス。でも、悪いわ……」


「いいえ! リリア様のお口に入るなら、食材たちも本望です!」


 強引に誘われ、中庭のベンチへ。  アリスが広げたバスケットには、キラキラと輝くようなサンドイッチやフルーツが並んでいた。


(すごい……! これがヒロインの手料理スキル……!)


「さあリリア様、まずはこの『愛の厚焼き卵』を……あーん!」


 アリスがフォークを差し出した、その時。


 スッ……。


 音もなく、風もなく。  リリアとアリスの間に、当然のような顔をしてエリアスが割り込んだ。


「やあリリア。奇遇だね。僕もお腹が空いていたんだ」


「えっ、エリアス!?」


「っ!? 貴様、何故ここに……!」


 アリスが般若のような形相で叫ぶ。  ――が。


「……?」


 リリアは首を傾げた。  アリスが口を大きく開けて何かを叫んでいるようだが、声が全く聞こえないのだ。  まるで、アリスの周囲だけ空気が遮断されているかのように。


(あれ? アリス、声が出てないわよ? 口パク?)


 不思議そうにするリリアに、エリアスが涼しい顔で微笑みかける。


「ああ、リリア。彼女は今、『今日は喉の調子が悪いので、筆談かジェスチャーで失礼します』と言っているみたいだよ」


「えっ、そうなの!? 大変!」


 リリアが驚いてアリスを見ると、アリスは顔を真っ赤にして、フォークを振り回して暴れている。


「ふむ……。『せっかく作ったので、エリアス様にも食べていただきたいです。毒なんて入っていません』だって。殊勝な心がけだね」


「まあ! アリスったら、エリアスの分まで考えてくれていたのね!」


 リリアは感動して手を打った。


 実際のアリスは『ふざけんな! それはリリア様の聖なる唇のための卵焼きよ! どけ! 殺すわよ!』と叫んでいるのだが、リリアには一切聞こえていない。


 エリアスが展開した『特定周波数遮断結界アンチ・ノイズ』が、アリスの声を完全にシャットアウトしているからだ。


「じゃあ、遠慮なく」


 エリアスはアリスの手からフォークを奪い取ると、パクッと卵焼きを口に入れた。


「んむ……味は悪くないね。平民にしては上出来だ」


「きええええええええっ!!!」


 アリスが無音の絶叫を上げて、地面に崩れ落ちる。  その姿を見たリリアは、胸を痛めた。


「見て、エリアス。アリスったら、自分の料理を食べてもらえたのが嬉しくて泣き崩れているわ……なんて純粋な子なのかしら」


「そうだね。本当に、面白い子だ」


 エリアスは冷酷な瞳でアリスを見下ろしながら、リリアの口元についたパン屑を、自分の指で優しく拭い取った。


「ふざけんな! 返せ! それは私が徹夜で作った最高傑作よぉぉぉ!!」


 アリスは地団駄を踏みながら絶叫する。 しかし、エリアスは完璧に自分の都合がいいように翻訳してしまう。


「……ふむ。『私の未熟な料理を、公爵家の次期当主様に食べていただけるなんて光栄です。涙が出るほど嬉しい』だそうだ。良かったね、アリス」


「まあ、アリスったら。そんなに謙遜しなくていいのに!」


「リリア様! 騙されないで! その男は悪魔です! 今すぐ逃げてぇぇぇ!!」


「……なるほど。『リリア様、見てください。あちらの雲、猫の形をしていて可愛いですね。癒やされます』と言っているよ」


「えっ、どこどこ? アリスってば、メルヘンチックなのね!」


 アリスの必死な形相にリリアは気がついた。


「あら、感動して震えてるのかしら?」


「ううう……私が……私がリリア様に『あーん』したかったのにぃぃぃ……!!」


アリスは涙目でうなだれる。


「……『私のような平民の手では恐れ多いので、ぜひエリアス様の手からリリア様に食べさせてあげてください。それが一番映えます』……だってさ。気が利くね」


「アリスは本当にエリアス推しなのね! 分かったわ、エリアス、あーんして?」


 アリスは白目を剥いて卒倒した。


「アリスったら、今日は喉の調子が悪かったのに、無理して私を楽しませようとしてくれたのね……。なんて健気なヒロインなの!」


「そうだね。本当に……都合のいい聖女様だ」


 エリアスはサンドイッチを食べながら、肩をすくめた。


「さて。リリア、僕のお弁当も食べるかい? 君のために、公爵家のシェフを総動員して作ったんだ」


「えっ、食べる!」


 こうして、中庭のランチタイムは、 「無音で発狂するヒロイン」と「ニコニコと食事を楽しむ悪役令嬢&ヤンデレ」という、シュールな地獄絵図となったのだった。

最後までお読みいただきありがとうございます!

おかげさまで本作、【日間ランキング224位】にランクインすることができました!

皆様の応援が、執筆の最大の動力源です。


もし「続きが気になる!」「エリアスの執着がもっと見たい!」と思っていただけましたら、下の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にして応援いただけると、順位がさらに上がって作者が泣いて喜びます……!


合わせてブックマークもいただけると、更新を見逃さずにお楽しみいただけます。

明日は第4話。いよいよ「あの舞台」への準備が始まります……!


あわせて、明日2/13(金)21:00より、新作『「聖女」として召喚されましたが、私は世界の「鍵」らしいです。~完全無欠の美形たちが、それぞれの事情で私を逃がそうとしません~』の連載を開始します。

【URLはこちら↓】

https://ncode.syosetu.com/n4323lm/


今作とは一変、世界の存亡をかけたシリアスなハイファンタジーです。

なんと結末が4つに分かれるマルチエンディング仕様!


明日の夜、また新しい「執着」の世界でお会いしましょう!

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