第十七話:【第一部・最終章完結!】これが私の、最高の推し活(ハッピーエンド)
神が消え、静寂が戻った大広間。 エリアスが差し出した手を前に、リリアはふと、二人の顔を見つめる。
かつてのゲーム画面で見た「完璧な王子」と「慈愛の聖女」の面影はない。 けれど、目の前のエリアスは、今まで見たどのスチルよりも「生きて」いた。 隣で笑うアリスも、聖女の仮面を被っていた時より、ずっと楽しそうだ。
(……そっか。 神様はバグだと言ったけど。 エリアスは、自分の意志でこれを選んだんだわ)
(誰にでも優しい王子様より、私だけを見てくれる今の彼の方が……うん。 正直、すごく嬉しいと思ってしまっている私がいる)
リリアは小さく息を吐き、口元を緩めた。 それは諦めではなく、愛おしさを含んだ微笑みだった。
(私が変えてしまった運命だもの。 彼らがこの道を選んで幸せだと言うなら……私が責任を持って、最後まで付き合ってあげなきゃね)
リリアは、震えることなく、しっかりとエリアスの手を握り返した。
「……ええ、エリアス。 貴方がそこまで私を求めてくれるなら。 私も、貴方以外の未来なんていらないわ」
「……ッ! ああ、リリア……!」
リリアからの初めての能動的な愛の言葉に、感極まって強く抱きしめる。
感動的な抱擁の横で、アリスが「いいなぁ」と指をくわえている。
「あのー、盛り上がっているところ恐縮ですが。 私もリリア様の役に立ちたいのですが! 神殺しの実績もありますし、『専属侍女』なんていかがでしょう!?」
本来なら、独占欲の塊であるエリアスは即答で断るはずだ。 しかし、エリアスはアリスを一瞥し、フッと鼻を鳴らした。
「……ふん。 本来なら僕たちの城に他人は入れないが。 先ほどの『リリアの安眠を守る』という判断……あれだけは評価してやる」
「えっ、雇うの!?」
「『番犬』くらいにはなるだろう。 リリア、君を守る盾は多いほうがいい。こいつなら、神が来ようが追い返すだろうしね」
「やったー!! ありがとうございます、魔王様! いえ、旦那様! リリア様のお着替えからお風呂の世話まで、全て私にお任せを!」
「……あ? それは僕の仕事だ。 貴様は廊下で立っていろ」
「ちっ、心が狭いですね」
リリアは、火花を散らす二人を見て、吹き出しそうになるのを堪えた。
◇◇◇
こうして、私は断罪を回避し、最愛の推しと結ばれた。 オマケに、最強の推しヒロインも付いてきた。
……普通とはちょっと違うかもしれない。 重すぎる愛に、胃が痛くなる日もあるかもしれない。 それでも。 自分たちで選んだこの結末を、私は愛していこうと思う。
◇◇◇
「さあ行こう、僕の愛しいお姫様」
「はい。……幸せにしてよね、エリアス」
「愚問だね。世界一……いや、神話級に幸せにするよ」
リリアは苦笑しながら、その腕に身を委ねた。 その顔は、間違いなく幸せそうだった。
【TRUE END:推し活の果てにある、極上の檻】
祝・第一部完結!
ここまでお付き合いいただき、本当にありがとうございました。
ヒロインを追い詰める王子の『重すぎる愛』、お楽しみいただけましたでしょうか?(笑)
物語はここで一区切りとなりますが、第二部への構想も着々と進めております。
しばし休息をいただいた後、また皆様にさらに濃密な『執着』をお届けしに戻ってきます!
【お知らせ】
マイページでは、現在『不貞腐れ令息』の短編も毎日更新中です。
さらに3月2日(月)からは、公爵令嬢が王子を『躾ける』新作Dom/Subファンタジーも開始予定!
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明日からは、番外編二編が始まります!




