第十四話:【第一部・最終章開始!】神殺しの動機は
長い口づけが終わり、エリアスが唇を離す。 リリアは完全に目が潤み、頬は上気し、エリアスの胸にしどけなくもたれかかっていた。
(よし、最高だ! このまま誰とも口をきかずに抱えて帰って、ベッドに放り込もう)
エリアスが私欲に満ちる中でそれは起こった。
『……警告。シナリオ逸脱を確認。修正プログラムを起動します』
ピキーン! 空間が灰色に染まり、時間が停止する。 目前にあった「甘い夜」が遠のき、無機質な空間が広がる。
天空から神々しい光と共に「神」が降臨する。
『我は管理者なり。歪んだ因果を正しにき――』
「……あ?」
神の口上を遮り、地獄の底から響くような声がした。 エリアスは、ぐったりしているリリアの顔を自分のジャケットで隠し、神を睨み上げる。
「おい。今、いいところだったんだ。 空気読めないなら死んで詫びろ」
『……ヒッ』
溢れ出る殺気に神は怯んだ。
リリアは酸欠とキスの余韻で、状況が半分も分かっていない。
「……んぅ? エリアス……? まだ、なの……?」
ブチッ!! ――無防備なリリアの言葉ににエリアスの理性の糸が切れた。
リリアを背後に庇いつつ、片手にとんでもない質量の闇魔法の塊を生成する。
「さっさと消えろ。塵一つ残さず、この空間ごと消え失せろ」
王城ごと吹き飛ばす気満々らしい様子だった。
『ひぃっ!? ちょ、待て! ここ王城だぞ!? ヒロインはどうした、このバグ勇者を止めろ!!』
ガシャーーーン!! 派手な音と共にテラスの窓が砕け散り、メイド服のアリスが回転しながら飛び込んでくる。
彼女は神を攻撃するのではなく、エリアスの魔法を放とうとしている手を全力で掴んで軌道を逸らす!
「お待ちなさい、このバカ公爵ーーッ!!」
ドゴォォン!! 魔法が天井を突き破り、空の彼方へ消えていく。
「……あ? 何をする聖女。僕の邪魔をするなら、君から先に……」
「落ち着きなさい!! 貴方、ここをどこだと思っているのですか!?」
「どこでもいい。僕の夜を邪魔した害虫がいる場所だ」
「ここは王城! 今夜、リリア様と甘い夜を過ごすための寝室がある場所ですよ!? ここを消し飛ばして、野宿で初夜を迎えるつもりですか!?」
「…………ッ!!」
エリアスはハッとして殺気がスッと収まり、冷静だがどこか狂った目に変わる。
「……一理ある。危うく、リリアに不便をさせるところだった」
「ふん。全てはリリア様のためです。 さあ、城を壊さずに、あの『邪魔な物体』だけをピンポイントで排除しますよ!」
「ああ。神の解体ショーの時間だ」
『……なんなのコイツら。 なんで「初夜の場所確保」のために団結してるの? 僕、世界の管理者なんだけど……?』
朝7時更新の連載が、ついに大きな区切りを迎えます。
王子が隠していた「キラキラの裏側」が暴かれる、怒涛のクライマックス。
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