第十三話:王前での愛の誓い(という名の脅迫)
海割りのように開いた道を通り、国王の御前へ。 エリアスはリリアを下ろすが、腰をしっかり抱いて支えている。
「お、おお……エリアスよ。 なんというか……その……派手な入場であったな?」
(目が怖い! 昔の可愛い甥っ子はどこへ行った!?)
「申し訳ありません、陛下。 僕の愛が重すぎて、彼女が歩けなくなってしまったもので」
(……聞きたくなかった!!)
挨拶もそこそこに、エリアスは本題を切り出す。
「つきましては陛下。ご報告があります。 私とリリアーナは、学園の卒業を待たずに来月、結婚式を挙げます」
「は……っ!?」
あまりの衝撃にリリアは言葉が出ない。
(『婚約破棄』じゃなくて『結婚』!? しかも来月!? 誰の許可取ったの!? 私の許可は!?)
リリアの膝が恐怖とパニックでガクガクと震え出す。 それを見たエリアスは、愛おしそうに彼女の肩を抱き寄せた。
「……リリア、そんなに震えなくていいんだよ。 『公爵夫人』になる重圧を感じているのかい? 可愛いな」
「ち、ちが……!」
(違うの! 展開が早すぎて脳処理が追いつかないのと、周りの視線が痛いの!)
エリアスはリリアの耳元で、甘く、しかし絶対零度の声で囁く。
「大丈夫。君を煩わせる障害は、僕が全て消しておいた」
「父上には『隠居』してもらうし……」
国王へチラッと視線を向ける。
「たとえ王家であろうと、僕たちの愛路を邪魔するなら容赦はしないよ?」
「ひいっ!? ……あ、いや、うむ! 祝福するぞ! 全力でな!!」
国王は、生存本能によって即答した。
「え、エリアス、ちょっと待っ……むぐっ!?」
リリアが抗議しようと口を開いた瞬間、エリアスがその唇を塞いだ。 バードキスのような可愛いものではない。 完全に、「捕食」だった。
「んっ、んぅ……ッ!?」
エリアスの舌が、驚いて開いたリリアの唇の隙間から、遠慮なく侵入してくる。 敏感な粘膜をこじ開け、絡め取り、リリアの呼気を全て奪い尽くすかのように貪る。
(う、嘘……っ! ここ、会場のど真ん中よ!? 国王陛下の目の前よ!?)
リリアは必死にエリアスの胸を叩いた。 しかし、エリアスの腕は鋼のようにリリアの腰と後頭部を固定しており、びくともしない。 それどころか、抵抗すればするほど、エリアスの興奮を煽ったようだった。
「ふ……っ、ちゅ、ぬ……っ」
角度を変え、何度も、何度も。 唾液が混じり合う濡れた音が、静まり返った大広間に淫らに響き渡る。
(あ、ダメ……息が……頭が、真っ白に……)
酸欠と、エリアスから流し込まれる強烈な熱に当てられて、リリアの視界が明滅する。 叩いていた手から力が抜け、だらしなくエリアスのジャケットを握りしめるだけになった。 膝から力が抜け、完全にエリアスの腕にぶら下がる形になる。
エリアスは薄目を開け、トロトロに溶かされたリリアの顔を至近距離で確認すると、恍惚とした笑みを深めた。
(ああ、可愛い。最高だ。 このまま理性を奪って、僕なしでは生きられないようにしてあげる――)
――その時だった。
『……エラー。警告、シナリオ逸脱率、限界突破』
世界に亀裂が入る音がした。 あまりにも濃厚すぎる愛の営みが、ついにこの世界の許容範囲をぶち壊したのだ。
ここまで読んで頂いてありがとうございます!
エリアスの暴走は止まるところを知らず、リリアの心配が現実となります!
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