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 それからのヴィヴィアンの生活は一変してしまった。

どんなに男性職員に媚を売ろうが、彼らがヴィヴィアンの為に動くことはなくなった。

相談がある、と夜の食事に誘ってもお断りされてしまう始末だ。

当然だが仕事の代わりなどしてもらえない。

可愛くて甘え上手だと思っていたのが、本性は違うとわかったのだから当然だろう。

相変わらずアリシアからはちまちました事務仕事が回されてくる。

「ヴィヴィやん今日もよろしくね~。

可愛いランクBのヴィヴィやんならこんな仕事ちょちょいのちょいだよね~」

などと煽ってくる。

「キィーあたしはランクAよ!!!」

「ランクAならなおさらこんな仕事軽い軽い」

あはは~とアリシアはヴィヴィアンの肩をたたいてくる。

その手を振り払ってヴィヴィアンは今日も事務仕事をさせられていた。


そんなヴィヴィアンに近寄るのは今ではトビーとタクキムくらいだ。

それもタクキムは廊下で腕組みをしてヴィヴィアンを待ち伏せした上「ヴィヴィ、今日は俺が付き合ってやるぜ」などと言い、それも‘俺に誘ってもらえてうれしいだろう?’とウィンクをして見せるといううざさ 全開である。

そんな態度のため、ヴィヴィアンはまったくうれしくない。

「鏡見てから出直してきなさいよ!!」


そう言ってタクキムの相手をしないようにしているのだが、「ちょ、まてよ」とか「照れんなよ」などと言って毎日のように誘ってくるためうっとうしい事この上ない。


ヴィヴィアンは自分をちやほやして欲しいのだ。

ヴィヴィアンちゃん可愛いから奢っちゃう、というのを待っているのだ。

何故ならヴィヴィアンは可愛いのだから。


トビーはちやほやしてくれるが、ヴィヴィアンの目的はそれではない。

ヴィヴィアンはメンクイだ。

そして彼女は贅沢が大好きだ。

だから彼女が自由に、そして贅沢に遊べるだけの財力があるカッコいい男が必要なのだ。

それには貴族の生活が一番だろうと思っている。

貴族に見初められるために担当者に媚を売ってここに配属してもらったのだから、何としても他の貴族に取り入れるだけの人材に紹介してもらいたいのだ。

だから上級文官とお知り合いになる為の踏み台としてトビーを懐柔していたのだ。


「あれ~ヴィヴィやんじゃない?ぐうぜ~ん」

「アリシアっ・・・先輩」

「トビー副室長もご一緒なんですか~?」

「ああああ、アリシアあああ??あの、そのまあ、色々相談に乗ってあげて。

仕事で悩んでいるみたいだったから、部下の悩みを聞いてあげるのも上司の仕事だからな」

「へー相談ですか?ヴィヴィやん悩み事?だったら私達も一緒に聞いて解決したげるよ~」

「私達?」

振り向くとユーナにマーガレット、他2名ほどの女性がアリシアの後ろに立っていた。

「「「「「お邪魔しま~す」」」」」

そう言って女性達はヴィヴィアンたちの席に無理やり座ってきた。

「ちょ、せま」

「あ~店員さ~んテーブルくっつけていい?」

マーガレットがすかさず店員に確認をとって、空いたテーブルをくっつけてしまう。

注文した飲み物が来てから、

「ねえねえ、ヴィヴィやんの悩み事って何~」

「そうそう、私達に話してごらん」

「ヴィヴィアンさん、安心して話してくれていいんですよ」

「そうそう、言いふらしたりなんてしないから」

「「「私達口が堅いのよ」」」

まったく信用できないが、自信満々に口々にヴィヴィアンに聞いてくる。

「いえ、あの、その、皆に聞いてもらうほどじゃないというか」

「え~私達には言いたくないの~?もしかしてメグの悪口~?」

「なんでよ、悪口言いたくなるのはアリシアのでしょうが」

「マジで?私に言いたいことがあるんだったら今言っていいよ」

「アリシア先輩、本人に面と向かっては言いにくいですよ」

すかさずユーナが指摘をする。

「トビーさんに聞いてもらってますから大丈夫です」

たまりかねてヴィヴィアンがそういうと、

「あら~、そんなにうちの夫を頼ってくれてるのね、嬉しいわ」

と、トビーの後ろに立った女性が声をかけてきた。

「ひぃい、お、お前何故ここに・・・」

「アリシアちゃんたちからお誘いされたのよ。

女子会をするから先輩もどうぞってね。

まさか自分の夫が若い子の手を握って相談を受けてあげているだなんて知らなかったわ」

トビーの妻、メリーアンがにっこりと笑っていた。

メリーアンはアリシアたちの先輩であり、部署は違った今でも仲良くしているのだ。

「あ、あ・・」

「ねえ、私もその部下の相談とやらを解決できるように協力するわ。

だってほとんど毎晩彼女と夕食をとっていたのよねぇ、私の作ったご飯も食べずに」

「あ・・・」

「毎晩相談聞いてても解決しないってあなたが無能だって事じゃない?」

「あ・・・あ・・・」

「だったら解決できるように私も相談に乗ってあげるわよ」

「あ・・・」


「副室長カ〇ナシみたいじゃない?」

「アニメの?ぷぷ、あ、しか言ってないもんね」

「カ〇ナシじゃなくてカミナシじゃない?」

「ぶーっ、うまいこと言うね」

アリシアたちはこそこそと話しながら盛り上がっている。

「てかアリシア、あんた自分のダンナの時も居酒屋に乗り込んでなかった?」

「あ~そんな事もあったね」

「アン先輩も同じように呼び出すなんて、まったく」

「だって、ヴィヴィやんをいじめるなってうるさいからさ」

「副室長ヴィヴィアンのヒーロー気取りでしたもんね」

アリシアたちが話している間にメリーアンは椅子を追加して席についた。



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