指輪
嘘をつくのは、僕だけのものにしたいからだよ
珍しい蝶がいたから
靴ひもが解けたから
そんなことを言ってね
君を見ている
シロツメクサで作った指輪
気付いたんだ
だから、急いでゴミ箱から探した
君の温度
脂肪のぬめり
キューティクルのざらつき
薬指の、爪の冷たさ
笑い声を攫っていく警笛
雲とランドセル
ストーリーになって
君が愛おしい
覚えているのは、口元のほくろだったっけ
今度は僕が指輪を作ろう
帰り道、影のように立つ君の足元で
僕が君の欠損を埋めてあげる
お読みいただきありがとうございます。
こちら四種のウイスキーをブレンドして作られております。