04
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昨夜はユリエルさんと漫画の話で盛り上がっていた。
彼女とは趣味が合うらしい。好きな百合のシチュエーションについて語り合っていたら、あっという間に就寝時間の十一時になった。
学校で起きたショックな出来事のせいで傷心していた私だったが、ユリエルさんとのトークはいい気分転換になった。そのおかげで気持ちよく眠りに就くことができた。
一夜明けて朝を迎えた。目覚まし時計のアラームが部屋に鳴り響く。
カーテンの隙間からは太陽の光が差し込んでいる。
私はアラームを止めて身体を起こす。
ベッドのすぐ近くにユリエルさんが立っていた。彼女は私の顔を覗きこんでいる。
昨日の夜からずっとそこにいたのだろうか。
「おはようございます、紗友里さん」
「おはよぉ……」
まだ眠い目をこすりながら、私は欠伸をした。それから、両手を挙げてグーッと伸びをする。
さぁ、学校へ行く支度をしなくては……。
ベッドを降りて制服に着替えることにした。
普段履いているスカートは宮園さんに預けてある。それに、そろそろ衣替えの季節なので、今日からは生地の薄い夏用のスカートを履いて登校しよう。
「私は外で待ってますね」
今から着替える私に配慮してくれたユリエルさんは、壁をすり抜けて出て部屋からいった。
天使はドアを開けなくても建物や部屋に出入りすることができるのだった。
一人になったので、落ち着いて脱衣することができる。
私はパジャマの上下を脱いで下着だけの姿になった。
鏡の前に立ち、自分の全身をじっくりと眺める。
色白い肌をした小柄な少女がそこに映っている。これが私なのだった。
昨日、お風呂から出ようとした時だった。私はリリィという悪魔の女の子に襲われた。
彼女は私を見て「いい身体」と言った。あれはどういう意味だったのだろう? 文字通り、私を褒めてくれていたのだろうか。
自分ではそれほどスタイルがいいとは思わない。褒められるほどではないだろう。
宮園さんのように胸があって、ウエストが引き締まっていて、くびれがある身体が理想的だといえる。それに比べて、貧相な体型をしている私なんて……。
「はぁ……」
ため息が出る。
もっと恵まれたスタイルだったらよかったのになぁ。
ユリエルさんによると、私は自己評価が低すぎるのだという。もっと自信を持っていいと言われた。
しかも、彼女だけでなく、宮園さんやリリィちゃんも私のことを「可愛い」と褒めてくれたのである。それがお世辞じゃないとしたら、私は自分が思っているよりも魅力的な子なのかもしれない。
あまりいいとは思えない私のスタイルも他人の目には違って見えていることも考えられる。
もし宮園さんが私の裸体を見たら、どう感じるのだろうか。
綺麗だと思ってくれるかな? 素敵だと言ってくれるかな?
宮園さんが私の裸で興奮してくれたら嬉しいのにな。
私は鏡に映る自分の姿を見ながら妄想を始めた。
隣には宮園さんが立っており、私の身体をまじまじと見ている。
それから、うっとりした表情を浮かべて、身体を撫でまわしてくるのだ。
『松浪さんって、すごくいい身体してるわね』
私は自分の手を宮園さんの手だと思って、身体じゅうをあちこち触った。
彼女に胸を揉まれたり、お腹やお尻を触られているシーンを想像しながら。
「はぁっ、はぁっ……」
妄想が加速する。すると、本当に宮園さんに身体を弄ばれているような感覚がしてきた。
『可愛いわよ、松浪さん。もっと聞かせてほしいの。あなたの鳴き声を』
「んっ……」
宮園さんが私を求めている。
私は彼女の期待に応えなければならない。
『もっと触ってもいいかしら?』
「いいよ……」
どこでも自由に好きなだけ触ってほしい。
宮園さんの手がもたらす感覚はすべて快感になるのだ。
「宮園さんっ……! んああっ……」
「またエッチな妄想をしているのですか? お盛んなのは結構ですが、早く準備しないと学校に遅刻しますよ」
「にゅうううっ!?」
股を指で触ろうとした時だった。ユリエルさんの声で一気に現実へと引き戻された。
ああ、私は朝から何をしているんだろう……。
彼女には自分の考えていることが全部丸わかりだということを忘れていた。
「そういうことは学校が終わってからにしましょうね。後で一人になれる時間を作りますから、その時に最後までやってください」
「はい……」
ユリエルさんの気遣いに感謝する。
鏡には顔を真っ赤にさせる自分が映っていた。
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