02
感想をお待ちしております。
目の前にいる女性はとても可愛らしい見た目をしていた。
年齢は私とあまり変わらないのかな? 多分高校生くらいだと思う。
髪の毛はまさかのピンク色。瞳の色は水色だった。クラスのイケてる女子たちの中でも、さすがにここまで派手な色に髪を染めたり、目立つ色のカラーコンタクトをしている人はいない。
容姿の件はさておき、今この人は自身のことを何と言っただろうか。
「天使……ですか?」
「はい。天使です」
聞き間違いではなかった。やはり彼女は天使を自称している。
へぇ、そうなんだ。
だから背中に翼が生えてるんですね。頭に輪っかが付いてるのも納得です。
……なんて、そんなの信じられるわけないでしょ。
天使なんていない。そういうのは架空の存在でしかないのだ。
この人の恰好はただのコスプレに決まってる。
「ところで、どうして私の名前を知ってるんですか?」
「天使だからです」
「どうして私が宮園さんと仲良くなりたいと思っていることを知ってるんですか?」
「天使だからです」
「どうして私をここへ連れてきたんですか?」
「天使だからです」
何一つ説明になっていない。彼女は真面目に会話する気がないのだろうか。
そもそも、ここはどこなんだろう?
足元には気化したドライアイスのような白い煙がモクモクと漂っていて、頭上には真っ青な空が一面に広がっている。まるで雲の上にいるみたいだった。これは最新の映像技術を駆使した演出なのだろうか。
「ここは天界です。私たち天使が暮らしている世界ですよ」
「さっきから天使天使って、冗談で言ってるんですよね?」
「冗談ではありません。本当のことです」
頑なに冗談だと認めない自称天使の女の子。
ま、いいか。今はそんなことを気にしても仕方がないし。
「えっと、お名前をもう一度お聞きしても……」
外国人っぽい名前だったと思う。
「ユリエルです。恋愛成就の天使・ユリエル。以後お見知りおきを」
そう言ってユリエルさんは私に名刺を差し出してきた。
天使って名刺持ってるんだ……。
お読みいただきありがとうございます。
感想をお待ちしております。