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3話 好きな人

1話と2話 少し修正を入れました。

そちらを読んでからこちらを読むことをお勧めします。

ミサキは次の授業が移動教室の為、クラスメイトと移動していた。


初日の件もあってクラスの女子との接点はほぼ0だ。唯一、川﨑マナは前の席という事もあってちょくちょく話しているが、親しい関係かというと答えはNOだ。


(このままでは元の世界に戻った時絶対後悔する・・・。何とかしなければ!)


男子達はそんなミサキの事などお構いなしに話しかけてくる。ミサキは最初はなるべく聞くようにしていたが、そうなんだ。凄いね。と返していれば盛り上がる事に気づいてからは、適当にあしらっている。


「~~だけどミサキちゃんはどう思う?」


油断していたミサキに唐突な質問が男子達から来た。思わず賛同してしまう。


「えっうん。私もいいと思うな。」


男子達は一斉によっしゃー!と声をあげる。


(やばい。何にも聞いてなかった!なんだ?何の話だ?)


ミサキの背に汗が流れる。


「じゃあ、来週の土曜日、浦島駅集合な!」


男子達はどうやら来週の土曜日にどこかに行くようだ。


(俺は、いいと思うって言っただけだから、入ってないよな?うんきっと入ってない。俺にテーマパークの写真を見せてくる奴もいるが、ただ見せてきてるだけだよな?)


ミサキはまた思考の世界に逃げようとしたが、女の子と遊園地なんて最高!っなどと声が聞えてきた為、逃げ切れず聞こえない程度のため息をついた。


その時だった。


遠くに教科書を持った女子がこちらに向かって歩いてくる。肩辺りまで伸ばした水色の髪に前髪

を四葉のピンで止めている。表情は少し暗く憂鬱そうであった。


(間違いない。)


「杏奈!」


思わず、男子の輪から飛び出し、走り出してしまう。杏奈は下を向いて歩いていたため、距離が5メートルほど近くなってからミサキに気がつき、えっ?と声を出した。そして、距離は1メートルほどでミサキは停止する。


「はぁ、はぁ、杏奈。心配かけて、遅くなってごめん。」


ミサキは息を切らしながら前かがみで呼吸を整える。ミサキは杏奈に会えた事が久しぶりに思えて涙が出てしまう。


「あっあの。人違いじゃないですか?」


「違う!杏奈に話しかけてるんだ!本当に会えて良かった!よがっだよぉー!」


ミサキは思わず、杏奈を抱きしめてしまう。


「うわわっ、ちょっと困ります!私そういうのじゃないんで!」


杏奈は「えっ?えっ?」っと言いながら抵抗していたが、ミサキが泣き出してしまった為、仕方がなくミサキを抱きしめ返す。


するとチャイム音が聞こえてくる。ぼそっと杏奈が話す。


「あっあの、授業始まっちゃいましたけど・・」


「えっ・・本当だ!会えた事が嬉しくてつい・・。あっごめん離すね!」


ミサキは杏奈を離すとミサキの鼻水が杏奈の服にくっつき橋を作っていた。ミサキは思わず、顔を青くする。


(しまった!杏奈と出会うのはまだ先だった。急に抱きしめて泣き出して、絶対変な奴だと思われてる!)


ミサキがあたふたしていると杏奈はハンカチを取り出しミサキの鼻に優しく押し当てた。


「よくわからないけど、気にしないで。ほら。チーンして。」


その時、ミサキの心に火が付いたような感覚が起きた。


(やっぱり、この人を好きになってよかった。)

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